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時には”壁”のように ~協働事業「びびんこ」って?②(協働スタート)~

ソシオファンド北九州の中心的な事業である協働事業「びびんこ」
社会課題の解決に取り組むソーシャルベンチャー(個人・法人に関わらず社会起業家及び社会的企業やNPO等)に対して、資金とメンバーのスキル・経験・ネットワークで力強く支援するプログラムです

具体的なプログラム内容は、
①メンバーによる約1年間の経営サポート
②最大50万円の資金提供(助成)

前回の投稿では、協働事業「びびんこ」の概要と選考方法について説明しています

今回は、「①メンバーによる約1年間の経営サポート」(以下は「協働」と表記します)で、具体的にどんなことをしているかご説明します

協働は、ほとんどの場合、1~2週間に1回程度のミーティングを繰り返すことで進めていきます

そこでまず取り組むことは「壁打ち」
「壁打ち」とは、自分の考えや思っていることを言葉にすることで自分の中にある考えを整理していくというもの
私たちメンバーは、その”壁”になることから始まります

「壁打ち」では、協働団体のみなさんから、
「事業を始めるきっかけは?」
「解決したい社会課題は?」
「その社会課題をどうとらえているの?」
「その解決になぜ今の事業が適しているの?」
「課題解決を通じて目指す社会は?」
「これから団体(個人)はどうなっていきたい?」
といったことを、時間をかけて語っていただきます

語っていただく内容は、協働団体のみなさんにとっては当たり前のことばかり
ただ、協働団体のみなさんにとっては当たり前が、私たちメンバーにとっては当たり前でなかったり、知らなかったりすることも多々あります

「なるほど、そういうことなんですね!」と納得したり、
「それってこういうことですか?」「その言葉の意味って何ですか?」と質問したり、
「その話、もう少し具体的に教えてください」と詳しい説明を求めたり

この作業、協働団体のみなさんにとっては、かなり大変な作業だと感じています
自分たちにとって当たり前のことを改めて言語化する
「いやいや、これって当然ですよね」
「わざわざ言語化しなくても、自分の考えはまとまってますよ」
ということも、何度も質問したり、詳しく説明を求めたりすることも

「壁打ち」の様子

なぜ、そんな「壁打ち」から協働をスタートするのか?
それは「壁打ち」には次のような効果があると考えているから

①協働先の振り返り・気づき機会を作る

協働団体にとっては、改めて事業に込めた思いや事業内容を言語化することで、振り返る時間になります
当然と思っていたことを改めて言語化する、それも第三者である私たちメンバーに理解できるようにするために
そのために、普段とは違った言葉で、視点で説明することも
そういったことを繰り返すうちに、自分でも気づかなかった心の奥深くにある思いや願いが言語化されることも

②協働先の事業や事業へ込めた思い深く理解する

何よりも協働を進める上で、協働先を深く理解すること、そこから協働がスタートします
協働先の取り扱う社会課題、事業分野に詳しくないということも多々あります
まずは取り組む社会課題とその周辺状況、事業内容と事業の有効性、事業に込めた思いをしっかりと理解していきます

③信頼関係を築く

「壁打ち」を通じた対話により、お互いの個性や思いを確認していきます
協働のための”基盤”となる共通理解・共通言語が醸成されていきます

そんな「壁打ち」だからこそ、協働スタート時に、じっくりと時間をかけて取り組みます

ただこの「壁打ち」、”壁”となる私たちの力量・熱量も同時に問われます
“壁”である聞き手の私たちは、まずは静かにじっくり話を聞き、タイミングよく相槌を打ち、気持ち良く話ができる状況を作っていく必要があります

同時に「壁打ち」では、私たちの協働へ対する本気度・熱量を見られていると感じています
協働が始まるまでに、何度も顔を合わせているとは言え、協働先のみなさんにとっては、まだまだ得体の知れないソシオファンド北九州とそのメンバー

「この人たちはどんな人たちなの?何を考えているの?」
「本当に真剣に協働に取り組んでくれるんだろうか?」
「協働で成果がでるんだろうか?」

と様々な不安を抱えています

だからこそ、私たちもこの「壁打ち」の段階から真剣勝負
この「壁打ち」による協働先への理解、信頼関係づくりが、その後の協働に大きな影響を及ぼすことをメンバーも全員知っているからです

こうやって、まずは”壁”になることから協働はスタートします

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