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交換日記2(7)宝石の輪郭

<2周目のお題「宝石の」>

1周めのとき、私は交換日記には向いていない、と言ったのだけれど。気にしなくてもいい流れにはなっている。ただ、安心しつつも頭を抱えているのが、今であったりもする。


美しいものは美しいものとして、躊躇いも気兼ねもなく憧憬を向けていたい。
それは例えば花であり、それは例えば宝石だ。誰のために咲くのでも、誰のために光るのでもなく。他でもない自身のために美しくある。誇りであり、理由である。そこに払うべき敬意を忘れてはならない、と。
まずはそんなこと。

さて。

宝石にまつわることとして思い出すのは、かのスタジオジブリ作品『耳をすませば』。
雫が地球屋の主人からもらい受けたエメラルドの原石。まだ眠っているような荒削りの輝き。されど、とても魅力的にきらきらと。
当時こどもながらにあの場面にひどく感銘を受けて、自分にもそんな何かがあるのだろうか、あったならいいなぁと胸を躍らせた。

ああ、そう。そうなのだ。
この世界は時に、ひどく煌めいて眩しい。
誰かの輝きはよく見えるものだ。
自分が濁っているときには、特に。

きっと誰しもが、宝石の原石を宿しているのだと思う。大なり小なり、色も形もさまざまで。
眩しいなぁ、と思いながら目を瞬かせているような日々を過ごしている。

あのひとの赤はルビー、いやもっと深いからガーネットだ。穏やかでいるように見えて、ふれてみたらきっと温度は高い。

あちらは、そうだね、アクアマリンかな。もう少し透けたら消えてしまいそうだ。けれど、だから、綺麗なんだよね。

うん、あなたは……え、少し待てって?
自分自身はどうなんだ、って。
すべてを見透かすような目で。

それは、

(どうかお願い、見つけてほしいんだ)

(もしも。ああ、もしもだよ。自分ではからっぽにしか思えないこの器の中に、宝石が隠されているなら)

(どんな風に、映ってる?)


ここまでお読みくださり、ありがとうございました