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ニコリ182号のオモパを語りたい

昼間はダムのほとりで作問しておりました、齋藤スバルです。
この土日でさっくりとオモパコーナーの問題をこしらえたので、ほとぼりが冷めぬうちに「ニコリ182号」のオモパ感想を残しておきたいと思います。twitterに放流していたのとだいたい同じです。

ななめぐり

余計な要素が一切ない見た目の芸術点が高くて好きです。それでいてちゃんとパズルとして楽しく解けるのだからすごい。
難点は単純仮定やユニークネスで強行突破されない難手筋が作りづらいかなという所なのですが、これは別に「ドッスンフワリ」とか「ヘルゴルフ」ほどではないし、二軍が1ページに減ってしまったタイミングも相まって普通に二軍昇格行けるんじゃないかなと思います。
というわけで今回は10x10をメインに投稿予定。

テトロチェーンY

矢印数字とテトロミノの相性が良くて、いろいろなことができて作りやすく安定しているなあという印象。でも安定しているがゆえ語ることがそんなにないという。

マルタリング・①

当初は原案者のプライドもあって意地でも原案の方を推す予定だったのですが、いざ①の方に手を出してみると、こちらの方が泥臭い数え上げに頼らないスマートな難手筋が組み込めると分かりあっさりと浮気。見事な即堕ち。
複数の丸太を入れられなくなった分できなくなった手筋は数多ありますが、丸太を1つだけにしたことでできるようなった手筋もまた数多。
何より原案では数字を明示しないと成り立たなかった展開(丸太が確定すると同じ部屋内の離れた場所がリンクして決まる)がこちらでは数字なしでできるのが大きい。数字ヒントが少ないのは美徳なのです。あと余計な紛れがなくなったおかげで白確定のテンポが心地良くなったのも大きい。
丸太が1つだけになったことで実質「ななめぐり」と同様の領域ループ手筋が使えたり、部屋内でL字を作れない感覚は後述の「ワールドツアー」にも通ずる等、うまくやれば現環境のループ系たちの漁夫の利を得られるかもしれない。素晴らしい改案に謝意を表します。

ワールドツアー

「キンコンカン」と「さしがね」という良質な素材を「領域ループ」という黄金の味付けで仕上げたのだから美味くないわけがない。さくさく直進が決まる感覚が心地よいです。
ただ、この丸確定⇒白確定⇒直進のテンポが強すぎて、袋小路の処理での折り返し展開がちょっと微妙になりがちなのが玉に瑕だと感じました。
そしていろいろ作問してムラムラ感じたのが「ここで立体交差させたい」という欲求。そこで、立体交差ありのループにしてしまう改案も一緒に送ることにしました。その名も「ワールドツアー・X」。最近よくあるネーミングだあ。大盤面だとややこしさが一気に増すので賛否は分かれそうですが。

ナンバーベルト

「ナンバーロープ」の改案かなとタイトルから妄想していましたが違った、「マルイチバツニ」や「01コンパリゾン」あたりの坂本さんチックな数字系でした。
黒マスと数字にダブルで2x2禁制約がかかっていたり、各数字が1本の線になってないといけない制約があったりと末端での別解処理が気にならないのが良いです。うっかりすると破綻するくらいの制約の強さが気持ち良い。
気になる点はやっぱり盤外情報の存在でしょうか。このパズルに関してはルールをちょっといじることでエッセンスを残しつつも盤外情報の必要性を失くせる気がしています。数字を1と2だけに絞っちゃうとか、いっそ入れるのを数字じゃなくして計算要素ごと何か別のヒント形式に置き換えちゃうとか。

えあふわ

タイトル妄想では「スクエア+ふわり」でドッスンフワリ的な何かなと思ったら全然違いました。盤面の外につなげるという点では Anglers に似ていますかね。
5x5サイズ時点で大きめの数え上げを常に意識していないといけないパズルで、通気口から矢印が何個でも出せる設定もあって別解祭りと納得のいく問題がかなり作りづらく、申し訳ないですがこちらはお見送り。
ただ「紙屑を避けて風を通す」というストーリーは面白いなあと思ったので、このコンセプトのもとルールを再検討すればまた別のオモパとして転生できそうだなとは思います。インスピレーションを沸かせる作品でした。

サイコロタワー

タイトルで一番気になっていた作品。ラストを見越して拾っていくという点では定食化が決まった「ボンバーワーズ」に似ている感覚です。
「小さくなっていくように矢印を通す」ではなく「上に積んでいく」というルール文の脚色のおかげで動きのイメージがしやすく、それが心地よい解き味に直結しているなあと感じます。先述の「えあふわ」しかり、数理的な論理とは独立しているはずの「背景のストーリー性」というのは、人間が解くときには強く関係してくるのだなと改めて感じた次第。
灰色マスでラストの目を揃えなければいけないルールのおかげで結構大胆な展開が可能で、細かい推理は段数ヒントで調整できると、いざ作ってみるといろいろできるなという感じでした。

シンカミノ

編集部コメントで拾っていただいている通り、これまでの自作オモパの中では最高傑作だと自負しています。特にお気に入りなのは「領域にも数字にも頼っていない」という点、その結果としてアブストラクトながらも機構感あふれる良いビジュアルになったんじゃないかなと思います。
元々は「ナンバーロープ」のロープルールの特性である「マスの間に好きな形で順序を定義できる」、これを活かしたパズルを作ろうとしてできたものなのでした。同じ形を保って進化させていくルールは、ちょうどUnderstandやTaijiにハマっていた時期だったこともありパッと思いついたもの。
作問はちょっと癖があって難しいのですが、黒マスと表出四角の2要素でそれぞれ1マス単位の制御が効くため難易度調整や別解調整は意外と楽です。割とすぐ闇が深くなるので、ニコリ向けには黒マスを多めにおいて調整しています。
puzzlinkのエディタも順調にいけば来週火曜あたりにリリース予定なので、作ってみて楽しんでいただければと思います。

以上、182号のオモパ感想なのでした。
シンカミノ流行ってほしいなあ。

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