制約の環とパズルの質についてふわふわした考察<未完>

本記事は ペンシルパズルI Advent Calendar 2020 9日目の記事です。

※注 12/9時点で未完成です(2章以降)、漫画でいうならネーム状態。MPが底をつきて行動できなくなったので一旦これでコミットします。回復した暁にはいつか完成させます。>

齋藤スバルという者です。普段はニコリ社の雑誌に投稿していたり、パズルスクエアの運営側の人だったりします。枠がまだ何日か空いておりましたので、今年も僭越ながら参加させていただきます。

本記事は、パズルの作問や新ルール(オモパ)のデザインの際に最近なんとなく考えていることをメモ書き程度に書き起こしたものです。特定のパズルの解き筋や定理についてガッツリ語るものではないです。タイトルにもあります通り、大変ふわふわした着地点の良くわからないものになっておりますのでご了承ください。こういう視点もあるのか、という程度に軽い気持ちでお楽しみいただければ幸いです。

1. 制約の環について

まず、タイトルにある「制約の環」について説明します。これは自分が勝手に造り出した言葉です。

パズルというものには必ず、解を求めるために必要な「制約」「ルール」というものが存在します。例えば、ネットパズル界隈で大盛況を誇るヤジリンであれば「全体で一つの輪を作る」「数字はその矢印の先にある黒マスの数」「黒マスは縦横に隣接しない」「白マスには必ず線が通る」といった具合です。

それでは、「制約の環」というのはどんなものなのでしょうか。これは字のままに、盤面に張り巡らされたいろいろな「制約」が絡み合って環っかのように「閉じている」状態のことを言います。解き手サイドの用語というよりは、作り手サイドの用語です。

言葉ではイメージがつかみづらいと思いますので、シンプルな「スケルトンパズル」を例に説明しましょう。スケルトンとは、与えられた単語全てを盤面にピッタリ入るように配置していくパズルです。スケルトンパズルでいう「制約の環」とは、この場合ちょうど盤面の輪っか状になった部分に対応すると考えています。ここで以下のような盤面を考えてみましょう

画像1

(作り手側にとっての)スケルトンパズルの制約というのは、

1. 出てくる単語は何かしら意味のある言葉でないといけない。
2. 1マスには1文字分しか入れられず、交差する部分では縦の単語と横の単語で同じ文字を共有していないといけない。

です。ちなみに、今回の問題では出てくる単語がパズルの名前に限定されていますが、こういった「縛り」も一種の制約と考えることができると思います。ここらへんはまた後で触れます。

画像2

上の盤面には、緑の線で描いたような輪っかがあります。この輪っかがちゃんと閉じるようにするためには、ただあてずっぽうに単語を置いていくわけにはいきません。逆に、輪っかではない部分(図の青色ますの部分)は、とにかくどこか文字が重なってさえいれば何を入れようが自由です。青の部分には「クロット」の単語が入るのですが、これは別に「ク」の字が入っていれば他のパズルでも成り立つわけです。例えば「カックロ」とか「スウドク」とか「クロドコ」とか、なんでもいいんです。

まとめますと、制約の輪とは、制約が絡まりあうことでどこかで「つじつま合わせ」をする必要があるもの、と言えます。本記事は、この制約がなす輪っかがどのように作問、そして新ルールの設計の質に絡んでくるかを考えてみたものになっています。

2. 作問の自由度の関係

制約の輪を盤面に入れ込めば入れ込むほど、当然ながら作問の難易度は高くなり自由度は狭まっていきます。だからといって、制約の輪を緩くしすぎてしまうと、先ほどのスケルトンの青マスの部分のように、他の部分とは完全に独立して好きなように入れれてしまい、パズルらしからぬ「恣意性」が出てきてしまうのが難点です。

以下力尽きましたので書きたかったことを箇条書きにします。

・数独は9x9の盤面に制約の輪が緻密に張り巡らされているので作問の自由度がなく個性が出ずらいがパズルとしては優れているという話。

・比較的最近のオモパのぬりめいず、月か太陽、ドッチループあたりなどは部屋の形も記号配置も自由で、ルール的に埋め込まれた制約が緩く自由度が高いが、その分自ら積極的に輪を埋め込んでいかないと流れが直線的な「解かされている」感じの強い作品になりがち。作っている側としてもどことなく腑に落ちない作品になりがち。

・ヒントの対称形配置やコンセプトの統一(難手筋の連続適用、言葉系なら使用する単語に縛りを設ける等)といった一種の「縛り」を埋め込むことでより堅固な輪を作り出しパズルとしての全体の質を高められるのではないかという話。

申し訳ありません、本当は画像の例とか出して文章としてまとめてちゃんと書くべきなのですが……。回復してからまたゆっくり改編していきます。


まえ:遠い誓いソルバーを作った話と実装した手筋集(ウドさん)

つぎ:異世界転生したらペンシルパズルがプロスポーツ化してた件(白岡市民さん)






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