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わたしのHAMACHI Vol.04 -UtaEさん-

【北海道出身という縁でつながり、共にアイヌ文化を伝えたい】


対談者

【UtaE(うたえ):写真右】
2009年に北海道清水町にハポネタイ(母なる森)を構え、現代を生きるアイヌの個人史採録とアイヌアートの展示やライブに取り組む。アイヌの口琴楽器ムックリ奏者・パフォーマーとして国内外でアイヌ文化の伝承と交流に努め、2014年、ドイツで開催された国際口琴大会に参加。アニメ「ゴールデンカムイ」ではムックリのパートを担当している。2021年5月よりエフエムおびひろ(JAGA)『anu anu 〜母なる森ハポネタイ〜』にラジオパーソナリティとして出演中。

【江口 薫(えぐち かおる):写真左】
 合同会社サブマリンCCO

■ハポネタイ(母なる森)の活動に今必要だったもの

ー本日はよろしくお願いします。江口さんとUtaEさんは北海道繋がりで知り合われたと聞いています。どのような経緯があったのですか?

UtaE:えぐっちゃんとですか?

ーえ、あ はい!えぐっちゃんと(笑)

UtaE:共通の友人を通して知り合いました。私が取り組んでいる"母なる森ハポネタイ"の活動について、視覚的な情報を伝えたくてグラフィック化をお願いしている方なのですが、その方にHAMACHIと言う活動を教えていただいて。HAMACHIメンバーの中でも特に北海道出身ということで、えぐっちゃんと巡り合わせてもらいました!

<ハポネタイfacebookページ>
https://m.facebook.com/haponetay

最初聞いた時はHAMACHIの世界観についてまだ理解できていなかったので、本当にそんな人たちがいるなら話してみたいと思っていたんです。

えぐっちゃん(以下、江口):最初はホームページを作りたいという話でしたよね。

UtaE:そうです。

江口:まあホームページだったらできますよってことで始めたのですが、お困りごとを掘り下げるうちに、実はすぐに必要なのはホームページじゃなかったということが見えてきて。で、あの、ホームページはまだ作ってません。結論から言うと(笑)

ー何だったのですか?すぐに必要なものって

江口:まず、UtaEさんの思いを聞いて理解して、それを可視化することが必要だとわかりました。次にそれを誰に届けたいのかを深掘りしました。見えてきたのは、まず目の前の人たちに届けたいと言うことだったので、ホームページでもいいんですけど、チラシですとか、それに記載する文章を考えることの方がもっと大切だなと。UtaEさんもお一人で推進していてなかなか全てに手が回らないところもあったので、推進役としてもご協力できればと。

そう言う状況から、一番に思いを届けたい相手が誰か?を考えた時に、一番最適な手段がチラシだったんですね。

UtaE:最初はチラシ職人でしたよね(笑)すっごいですよエグっちゃんのチラシ!たとえばイベントを開催する場合、イベントやりますよ、という情報だけでなく、チラシの裏にハポネタイについての説明とか、応援が必要ですというメッセージなど、ハポネタイの現状を載せられるというところが、とても重要なポイントだと思っていて。今まではSNSで集客していたんですけど、SNSだとなかなかそうもいかず。しかもすごく好評なんですよね。知人から、"いいチラシばかりだけど、UtaEちゃん1人でつくってるの?"って言われたり。それくらい反応がいいんです。

えぐっちゃん(=江口さん)作成のチラシ

■チラシ作成の恩返しは、ラジオへの出演権!


ーこれまでチラシの作成を依頼されたことはあったのですか?

UtaE:これまでも、デザイナーさんなどに依頼したことはあったのですが、えぐっちゃんはポイントを掴むのがすごい早いんですよね。作ろうとしているチラシに対して、どんな情報があれば完成するかという明確なイメージがあるのだろうと思ってます。だから、打ち合わせとかもすごく短く済みます。

ーすごいですね、江口さんベタ褒めじゃないですか!

UtaE:そうです、江口さんって、言ってみればスーパーサラリーマンなんです!チラシの効果として、例えばこんなことがありました。ほんの数日前なんですけど、応援お願いしますということでチラシを配っていたら、イベントには行けないんですけどハポネタイ応援したい、と言ってチラシをもらってくれた方が、後日、チラシの裏に載せている口座に援助してくださったんですよ。

その人とはすごくたくさん話したわけでもなく、ちょうど私が名刺を切らしていて、チラシですみませんってお渡ししたら、それを見て支援していただいたみたいなんです。

ーすごいですね!伝わったんですね!伝え方によって変わるんですね!

UtaE:私もちょっとびっくりしたんですけど!これまでこちらからたくさん話してお伝えすることばかりで、逆に応援したいと言う方の声を拾えてなかった気がしてたので、こうやって向こうからの声も拾うことができるようになったと思うし、一つ進むことができたのは大きいですね。

ー今回、チラシを作りを依頼されて、UtaEさんとしてはお困りごとが一つ解決されたと では、それに対するお返しは、どのようなものを考えられたのですか?

UtaE:3つありまして、1つ目は、ハポネタイのグッズです。今私の着ているこのTシャツとか、パーカーとか文具とか、いろいろあるので、その中からいくつかをお渡ししたいと思っています。

2つ目がワークショップです。アイヌの文化に対する講演やワークショップをしているのですが、今度、サブマリンさんの集まりでやらせていただきます。

江口:とても大好評のワークショップと評判ですよね、楽しみです。

UtaE:3つ目は、私が主催しているラジオ番組に出ていただく。

ーワークショップについては、とても好評という噂を伺っております ラジオ番組もされているんですね

UtaE:はい、普段はゲストをあまりお呼びしていないんですが、えぐっちゃんと山谷さん(合同会社サブマリンCEO)がラジオにぜひ出たいという話になったときに、それならお返しができるからぜひと。私的にはそこまで喜んでもらえるとは思えませんでした。

ーご自分のラジオを持たれている方ってなかなかいらっしゃらないから、サブマリンメンバーとしても、とても良い宣伝効果になったのではと思います

UtaE:以前はアーティストさんの方にゲストとして出ていただいたりしていたんですけども、スタジオを用意したりいろいろとセッティングが大変だったり、最近は移動先でスマホで収録という形も多かったので、ゲストはお断りしてたんです。でも、えぐっちゃんには、本当にお世話になったし助けられたので、誰よりも先に出演いただこうと言う気持ちになりました。最終的に6週にわたって出演していただきました!

UtaEさんがパーソナリティをつとめる番組『anu anu 〜母なる森ハポネタイ〜』の収録の様子

■ボランティアでもなく、仕事でもない、ちょうど良い関係

ーチラシの作成と、ラジオ出演という形で、得意なことをお互いに交換してもらいましたが、お金を払って依頼することと比べて、何か気づきはありますか?

UtaE:これまであまりお金を払って依頼ってむしろなかったので。みんな自分からやるよってやってくれていました。でも、こちらから、これ以上は申し訳ないかな、とセーブしたり、納期などあまり無理を言えなかったりしました。

ータダだからこそ、お願いしにくい

UtaE:はい。手伝ってもらってる気持ちがあるからこちらも言いにくいし、向こうも手伝ってあげてるよってスタンス。だけど、えぐっちゃんは、こちらに遠慮させる暇もなくバンバンやってくれるんで、前に進めたし、時間とっちゃってえぐっちゃんのご家族に本当に悪いなって言うくらい。これ頼みすぎじゃないか?ってのを1ミリも見せてくれなかったので、ここまで頼ることができました。

ー江口さんとしても、対価をもらう関係上、積極的にコミットしてくれたということですね
これまでサポートしてくれていたメンバーはボランティアみたいな感じだったんですか?

UtaE:ボランティアというよりは、仲間としてやってくれてはいるんですけど、私がマネージメントしに手が回らなくなってしまうような時でも、えぐっちゃんはちゃんと引っ張ってくれるし。

江口:まずは思うことを吐き出してもらって、それを整理するという打ち合わせを何回かやりました。
同じ北海道というのもあったかもですし、コミットするために何度も話すうちに、信頼関係ができたんだと思います。

ー対価をもらうからコミットに対する責任は生まれる、かと言って極端に仕事色が強いわけでもなく、ちょうど良いモチベーションが良いコミットに繋がったのでしょうか

UtaE:やっぱりボランティアだけでなく、しっかりコミットしてくれようとするスーパーサラリーマンが、私にとって必要だったんだって思いました。
結果、ファンもめっちゃ増えたんですよね。私みたいなフリーランスって世の中たくさんいますけど、サラリーマン力必要としている人、たくさんいますよ!

ー手伝うという感覚ではなく、コミットしようとする意識があったのがよかったんですね

UtaE:そうですね。えぐっちゃんが現れてお仕事要素を持ち込んでコミットしてくれるので、他のメンバーも意識してやる気出してくれたり、いい影響になっています。

ー江口さんは、今回のUtaEさんの依頼を、ボランティアで受けた場合と、HAMACHIとして受けた場合で、対応は変わっていたと思いますか?

江口:時間の掛け方はもしかしたら同じくらいかもしれません。ただ、ボランティアだと、他との優先順位との兼ね合いで、少し優先度を落としてしまう可能性もあるかなと思います。一方、HAMACHIでやるのは、自分の中ではお金をもらうのとイコールと考えているので、そこは明確に違うと思います。

他にも、ボランティアとの違いとしては、必ず対価をもらえると決まっているという点があるかなと。例えばボランティアだと、なんかくれるかもしれないけど、くれないかもしれないねみたいな、ふわっとした感じで仕事を終えて、例えばTシャツをもらうことができたと。でも実際、最初からTシャツあげるよっていうのは決まってないことが多いわけじゃないですか。一方HAMACHIだと、最初から対価をもらえることが決まっていて、それだけでも取り組む気持ちが変わってきますよね。

ーなるほど、対価があるから、コミットへの責任が生まれる けれども縁が根っこにあるから、やらされ感もない ちょうど良い関係が構築できるかもしれませんね

本日はどうもありがとうございました。最後にお二人から一言ずつ宜しいですか?

江口:ハポネタイのサポートはとてもやりがいがあります。短期的な視点だけでなく、中長期的に引き続きやっていきたいです。私のサラリーマン力も上がっている気がしています(笑)。どうもありがとうございます。

UtaE:えぐっちゃんと一緒にやり始めてから5ヶ月で足元が固まり始めてすごく前進ができています。これからは大きくジャンプできるなって思います。これまで走れてこれたのは、えぐっちゃんとサブマリンメンバーのおかげだと思っているので、今後も勝手に皆さんが後ろにいてくれていると思って日々前に進んでいきます。どうぞこれからもよろしくお願いします。

文・インタビュー:田尻剛士(合同会社サブマリン)