ヴァレンティオンの様子

6.55メイン後のNPCさんの居場所などネタバレあり
6.0直後期のトシュさん生家案件(構成中…)完了後。
アルフィノ坊ちゃんとトシュさんがのんびりしてるだけになった。
一応アルフィノ×光になるん…?カップリングとは一体…ウゴゴゴゴ。

ーーっていうのを別のところでバレンタインデー前後にアップしてたのですがこちらであげていなかったので…夏なのに、こっそりあげる、うかつかな

「きゅうかの ほうそくが みだれる」
新たなる旅路の前に、各々ができることをしよう!となったが

やることが、多い。とても多い。

星の果てにいったときも、そこに至るまでの旅であっても
新たなる空へ向かう前には入念に支度がいるもので
ここしばらくのヴォイド行よりも静かであっても、多忙であった。

半ばくじけ、自室として拝借しているナップルームで頭を抱えていると
広げた資材のすみ、時節の勢いで買った製菓材の袋と目が合った。

「気ぃが付いたらヴァレンティオンシーズンだしなぁ。」

彼もまた、旅支度のために、ヌーメノンへ熱心に通っているし
頭を使うことが多いだろう。甘いものはきっと喜ばれるはず。
…気持ちだけでは不安で、どうにも実用面の理由を見出してしまう。
(悪い癖だぁ…)
ちょっとだけ溜息をつき。生ものを任せているリテイナーを呼ぶため、ベルに手を伸ばした。

「いえ~い、おつかれい」
『仕込み』を終え、向かったのは大書院。
場所柄、足音と声は控えめに、後ろからアルフィノに声をかけた。
もののついでにハグもした。

「トシュシュ、君か。」
ひそめ気味の声と、柔らかな笑みが返ってくる。
「なぁに読んでらしたのん?」
愛しい藍(あお)を見返してから、ふざけた声音で彼の手元に目線を移す。
「君に勧められるものを、と。軽く目を通していたんだ。」
「あや。」
噂に聞いて気になっていた、かの大陸の文化について知ることのできるという、紀行録の一冊だった。気遣いが心憎い。

「んへへ、ありがとネ…と。いい時間だし、一息入れねぇかい?
その…ほかにお呼ばれやらご用なけりゃ…。」
彼にしたら久々の帰省でもある。えいやっと準備をしたが
誘う土壇場でそういった可能性に思い至ってしまった。
常ごろのうかつさを呪いつつ、不安げに見上げると
「特に予定はないよ。何より、君の誘いとあらば伺わせてもらうよ。」
笑顔とともにほしい返事が返ってきて、ほっと胸のなでおろした。

「てぇわけで。久々のお茶はヴァレンティオン仕立てに相成りましてぇ」
じゃーんと、ナップルーム中央に鎮座する長机を見せつける。
広々と大きな、柔らかな赤いドマ紙が敷かれ、細やかな切り抜きが施された、白いレース紙がその上を彩る。
その中心には黄色がかった優美な金属線でできたケーキスタンドが立ち、分館で貸し出している大皿が元からこういう作りですよと言わんばかりに数枚鎮座している。その上には控えめサイズのビスマルク風エッグサンドや、ハートの形のクロワッサンアマンド。最後にザッハトルテと並ぶ。
「これはすごい!さすがだね。」
「できる分で張り切ってみたよぉ~ささ、座って座って!」
目で楽しんでもらえた事を感じ、ご機嫌にイシュガルドティーを準備しだした。

「久々だよねぇ、二人だけってのも。」
お供のできを確かめ、よしよしと思いながら思い返す。

調理師修行とその付き合い、から始まったこの喫茶習慣だ。
皇都の冒険くらいの時期に始まり、最初は我らが受付嬢も含め三人であったり、他の面々を加えてにぎやかにしていたが、だんだんと二人きりがいつもの、になった。別行動が増え、表向きの解散を経た故、かなりご無沙汰とはなったが。

「…すまないね。このところ、こうした時間が取れずに。」
「いんやいんや!」
渋い顔をしだしたアルフィノに思いっきり首を横に振る。
「ほんとに、やりたいことがあると、打ち込む質(たち)は、お互い様なんだしさぁ。それを良し!としてるでさね」
「けど」「それに!」
なお言いよどむ坊ちゃんにずずいとでかい頭で圧をかける。
「アルフィノ分がたりなくなったら補給にどっからでも飛んでくので」
「補給」
「そ!腰が軽いのが冒険者(このかぎょう)の売りゆえ~ご心配無用よう。」
居住まいを直して茶をすする。
「ほかでもない、君のおかげで自由の身なんだから、むしろ自信もってよいやつよ?」
誘う前によぎった、自信のなさへの反省と、変なところ似てるなぁの思い
をしまって、ウインクをくれてやった。

おまけ
「ところで、このティースタンド、どうやって作ったんだい?
脚の素材に見覚えがないから、気になってね。」
「ちょいと前に製法が出回った『新式』用のロジウム材で線細工しやしたぜい。」
「?!」
「装具(アクセサリー)使ってたんだけんど、どーにも余らせちまってねぇ…」
「な、なるほど。」