特定の物品を書くだけのつもりが、なぜかSFの導入になってた続かないSS
注意
こちらはFF14二次創作です。
ネタバレがふわっとあるかもしれません。
ヒカセンが弊宅ララフェル♀な世界線です。
具体言及は一切ないですがNPC×光も前提にあります。
メインとジョブ・クラス関連クエストはだいたい発生している設定です。
時系列が本編とズレており存在しない物事の妄想も多数含まれます。
それでもよろしければどうぞ。
本文
幾度も世界を救った英雄の生きた時代も久しく、冒険者という職業が歴史上のものとなるほどに時を重ね、多くが変わったエオルゼア。その山間に雪深くある、人と竜の国の話。
征く手段あれど未知も多かった空も、日常で使われる道となった。
今の時代、たいていは一定距離ごとに空中停止した『浮信号機』が行儀よく灯り、備え付けのスピーカーから合成音声により、様々な言語によるお知らせが流されている。
『航空局より、管制空域の天候のお知らせです。
Ⅲ層帯、霊風。風向は270-340風速は58。
Ⅱ層帯、曇り。風向は240-300 風速は30。
Ⅰ層帯は雨。風向は260 風速8となります――』
知らせに耳を向けながら、緑色の道を法定速度の上すれすれで飛んでいく
影が一つ。航空識別をするための魔導具の足に、荷物をたっぷり積めるコンテナを腰まわりに、そのほか騎乗者のための用具--と、多量の装備を身に付けながら快速を披露するワイバーンが一翼。そして彼が身に着けた鞍に跨る、寒冷地向けの茶色い飛行服に長銃を担いだ、大柄なララフェル族の女性……この地域の名物ともいえる『竜便』の一騎らしい。
「最近さー竜語も聞き取れるようになったけど、案内のやつって作り物感
すごい、なんていうか「ゆっくり」なんだねぇ!皆が笑っちゃう理由やっとわかったよ~。」
ワイバーンに乗る女性--パイロットは笑いながら相棒に言う。
「ああ、導入され始めは、噴出さないようにするのが大変だった。」
運んでいる側のワイバーンは肉声の、流暢なヒト族共通語で答える。
「でも合成音声の精度上がっても切り替えしなかったんだっけ?」
「慣れてしまったからな。特徴的な方がわかりやすくもある。」
「なるほっどー。」
油断はせずとも緊張せず、和やかな空気感で飛んでいく二人。
運ぶ荷もすっかり空となり、街の竜留めに帰る道すがらである。
「明日お休みだし、美味しいもの買って帰ろうね!大事に置いておいた
ローマニ・ロッソ開けちゃおうかな~。」
「思いを馳せるのは良いが、よだれは勘弁してくれ…そろそろつくぞ。着陸確認を頼む。」
「おっと了解!着陸……っ!詳細不明物、目視!針路方向330!」
パイロットの視野に、通常なら存在しない、明らかな異物が――黒い、巨大な立方体が空中に静止していた。
ついでに言うならば、ここは『英雄』が探索した遺構が漂う空域でもなく、現代の防衛機構もある場所ですらない。
「帰り際か、まったく…管制に緊急事態宣言を出せ、そのあと高度を下げて退避するぞ。」
「了解!……緊急事態、緊急事態、緊急事態。こちら『鱗便203』--」
発見場所に留まり、対応を始める。パイロットが管制に緊急事態を伝える間
ワイバーンは警戒をもって異物を見つめていた。
物体の表面意匠としてはいずれかの古代文明の産物…のような気もする。
なにより常時行っている『探知』に一切引っかからなかった。なんであろうと油断できるものではない。
「空域への展開依頼完了!最寄りの基地におりてから、市街移動高度で帰るようにって指示もいただきました。」
「承知。……最寄りとなればドラゴンヘッドか?」
「そ!管制通達はあるけど、基地の皆さんに声掛けして帰ろね。」
計画立て、すわ降下を開始しようとした瞬間、異物表面に光が走る。
「うぇ?!」
「なんだ?!」
数度の明滅ののちに、異物から緑色の光が放たれた。
たちまちに周辺に嵐が巻き起こり、一騎を簡単に巻き込む。
身構えていたものの、突然の暴風にパイロットは身を投げ出された。
「!」
『相棒!』
声を出すのも難しい風の中、必死に身をひるがえすワイバーンが見えたのを最後にパイロットの意識はなくなった。
体の半面に冷たいものが当たっている感覚がある。
その感覚に意識が戻ったパイロットは慌てて体を起こし、自身の状態を確認する。縛帯にある相棒の歯の跡と、腕に付けている安全装置が使用済みになっていることから、鞍から脱落したことは分かった。
手足を試すように動かしてみる。
「体は動く。のと…装備脱落はなし!」
ほっと息を吐くと白く立ち上った。
諸々のことがしっかり働いたおかげで、外傷は軽微な打ち身だけで済んだようだ。また、高高度を飛行しているため器物・装備落下があった日には、それも緊急事態だ。
「問題はないか「首は無事!?もげてない!?」
いつの間にか、傍らで心配そうに見守っていたワイバーンの声掛けに
食い気味に近寄るパイロット。背伸びをしてぺったぺたとワイバーンの首元へ触れて確認する。
「…元気そうだな。」
溜息一つ返される。
「第一、ヒトを一人持った程度では何ともないぞ。」
「ほんとに?私重いよ?」
「体躯が大きいというのは同族では、だろう…心配のしすぎだ。」
「そ、そか。…助けてくれてありがとね。ところで…」
眉を八の字にしながら、周囲を見回す。
ずいぶんとさびれた、古めかしい建物の廃墟が背にあり、高台地形。足元から見える先まで簡単に溶けそうにない雪原が広がっている。山の稜線にわずかに見覚えがある気がしたが、散々飛び回っている自国領空と比べ、あまりにも人気がない風景が広がっている。不安げな顔のまま相棒を見上げる。
「『空に何もない』なんて、どこの田舎かなここ…地形はなんとなく、イシュガルドっぽいけど。こんなところ無いよね?」
「……。」
耳を傾けつつもワイバーンは景色を見たまま考え込んでいるらしい。
「しかし……いや馬鹿々々しいが、この風景ならあり得るな…。」
「な、なにが?」
ぽつりとつぶやいたかと思えば、何かを決意したかのように頷くと
パイロットに向き直った。
「…当初計画通り、ドラゴンヘッドへ行くぞ。」
「え?!」
「現状に仮説は立てたが、確認をしたい。それができたら説明をする。」
「わ、分かった。」
荷を整え、こんな異常事態でなければ気持ちよく飛べただろう
快晴に向かって一騎は飛び立つ。
その様子を廃墟ーーかつては樵達の集落として知られた、ヘムロックと呼ばれていた家々だけが見送った。
あとがき兼すぺしゃるさんくすの話
フライトシムで航空機が様々な緊急事態に陥ったらどうなるかというゆっくり動画シリーズをつべで拝見していて。『技術発展と平和の維持、人口と産業の増加と、そうなるまでに課題はおおいけど、エオルゼアが何百年か発展してったら、バードストライクならぬ幼ドラゴンによるドラゴンストライクが社会問題になったりするのかな…』とニッチネタをたいっつーで投稿
→相互たいーつの龍野さんとやり取りしてたら『ドラゴン語ゆっくり音声』とか『ゆっく竜詩』というパワーワードが生まれた故に書きました。
龍野さん、その節は大変ありがとうございました。
つまり冒頭の信号機が書きたくて書いたので捏ねた文章でした。
音声は『ゆっくり』想像してみてね!
おまけ
続きはないくらいの妄想こねこねだったのですが書いててこうかなーという感じの流れは思いついたので、ダイジェストメモをば…
ドラへへ行ったら航空基地じゃなくて明らかに(彼らにしたら)古い要塞になっててパイロットちゃんが感づく
最後の確認しよ!(震え声)ということで覗きをしていたら、すごく若いエマネランとオノロワをみて(ワイバーンくんが幼体のときにぎりっぎり面識あった)時間移動が発覚
パイロットちゃんが嘘だドンドコドーンと落ち込むが、仕方ないので、困ったときの冒険者登録をする。
「今がいつか」と「どうにかこうにか帰れないか」と七転八倒生活を始める
世間とのジェネレーションギャップに頭抱えたり、輸送系の仕事を中心にやるも、安全な道のなさに自分の時代に来るまでの先人の努力に涙したりする
設定集(こっちが本編かもしれない)
竜便(またの名をドラゴン宅配便)
ドラゴン族とヒト系種族の乗り手で営まれる配達業。管制のコールサインは『鱗便』
ドラゴン族は風の流れを感知できたり目視から対地速度割り出しも頑張ってくれるので、リアル航空機でいう航空機本体兼メインパイロット。
パイロットは魔物等脅威接近時の火力と諸事務担当なので、リアル航空機におけるコパイロット寄りの仕事が多い。
(ドラゴンも荷が空ならブレスを遠慮なくやるが)
二人のいた『現代』ってどんな感じの想定?
ヒカセンの生きてた時代から300年以上は経ってるくらいの想定。
王制の国がほとんど残ってなかったり、全体的に科学技術の伝播と発展があり、魔術の仕組みもシステマティックになってたりとか。
『現在』イシュガルドは航空交通の整備がエオルゼア地域内では最速で
(ドラゴン族との共存のため)領空中に浮信号機か浮標識がある。
また『現代』に至るまで2、3度、大きな戦争が起こっている。
登場ドラゴン:配達士ワイバーン
朝焼け色の鱗、栗色の瞳のワイバーン。ヒカセンに縁のある一翼の仔。
相棒とは一家ならぬ一族ぐるみの付き合い。
とあるドラゴンへのあこがれから、飛行が得意な形へ進化をした。
手だけはしっかり親譲りなので、受け取り伝票にサインをもらったり
如雨露で植物に水やりができる器用さがある。
竜語を想念でつたえるより肉声でヒト族共通語をしゃべる
(ドラゴン世代感覚として)今時の若者。
登場ヒト族:パイロットララフェル♀
薄紫色のくせっ毛、青い目、身長最大サイズな弊宅ヒカセンの
子孫ララフェル。パーツ色は違うのに顔つきはご先祖様瓜二つ。
未来のイシュガルド在住。
家で引き継がれている光の戦士の紀行録(原本)やフォルタン伯爵の
回顧録の影響で竜乗りに憧れ、ララフェル族の中では体格が不向きと周りから言われていたが、頑張って配達士になった。
余談ながら幼馴染兼仕事の先輩でもあるワイバーンと同居までしている。外から見ると全力で番として囲われているが、パイロット当人だけは仲良し!程度の認識。