ウミガメと深刻なマイクロプラスチック問題。

古ぼけた展望台の、怪しい階段を降りると、

狭い階段を降りながら、幼き頃に読んだ海底2万里を思い出していた。

僕は、今、ピエール・アロナックス博士である。

そしてこの展望台こそがノーチラス号なのだ。

階段を降りるとそこには無数の天窓があり、そこから海の者たちに出会うことができる。

僕がぼっと天窓の向こうの海を眺めていると、なんと天然のアオウミガメが会いに来てくれたのだ。

甲羅の放射状の模様や、甲羅にあまり藻類が付着していないところからアオウミガメだと判断した。

ただし、僕は専門家ではないのであっているかどうかはわからない。

日本で見られるウミガメのうち、繁殖を行うウミガメはアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種である。

また、餌も異なる。

アカウミガメは、甲殻類など、

アオウミガメは、海藻など、

タイマイは海綿類を食べる。

このように、各者は異なった餌を好むようである。

よって、生態学的に見て競争関係に当たらないので、各者が個体増殖率に影響を及ぼすことはないと考えられる。

まぁ要するに、お互いのライフサイクルを邪魔しないってことだ。

しかし、現在、ウミガメは大幅に減少しており、絶滅の危機に瀕している。

悲しいことに死体として漂着した個体の多くからマイクロプラスチックが確認される。

マイクロプラスチックは、その名の通り非常に細かいプラスチックである。

我々人が何となく捨てたプラスチックが、海の侵食を受けて細かく砕かれ、顕微鏡サイズとなって海を漂う。これをウミガメがそのまま食べるというよりは、ウミガメが餌にしている生き物がまずマイクロプラスチックを付着、体の中に蓄積し、それをウミガメが食べることで大きく蓄積されるためである。

ウミガメは、食物連鎖のピラミッドから見たときに、生態環境にもよるが、高次の捕食者に当たることが予想される。

一般的に、生物濃縮は高次の捕食者にとってより深刻なものとなる。

生物濃縮によるマイクロプラスチックの問題は何もウミガメを含む海洋生物だけの問題ではない。

これは、巡り巡って我々人に帰ってくる問題である。

あなたが今日、昨日食べたその海の幸の中には、もしかすると多量のマイクロプラスチックが含まれているかもしれない。

あなたがもし、あなたの体をマイクロプラスチックで満たしたいと思わないのなら、

あなたは海にゴミを捨てず、きちんと陸地で処理するべきだ。



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