キラッとプリチャン2期の振り返り

やると言ったのでやります。例によってボロボロネタバレがあります

キラッとプリチャン2期とは

 大人気女児アニメ、キラッとプリ☆チャンのシーズン2は、前期で特に語られることのなかった主人公、桃山みらいの人格について間接的な描写でもって視聴者にやっと提示してくれる内容となっており、これにより、桃山みらいへの感情移入をグッと楽にしてくれています。間接的な描写というのは、バキでたまに出てくる目撃者の証言みたいな感じです。下記の新キャラが担当します。全人類をかわいいで救済しようとする金森まりあと、そのパートナーである黒川すずに関しては今回は特に言及しません。

虹ノ咲だいあ

 2期の最重要目隠れ美少女、それが虹ノ咲だいあちゃんです。超絶シンプルに言えば、プリチャン2期は虹ノ咲だいあちゃんが友達を作る物語と言えるでしょう。2期では全編で八面六臂の活躍を見せる彼女の最大の特徴、それは桃山みらいの大ファンだということです。桃山みらい率いるミラクルキラッツが1期でプリチャンデビューする際のエピソードにあらかじめそこにいたという体で回想シーンに仕立て上げられ、実はその頃からファンだった、それがやっと今回物語に登場しましたよ、といった偽回想が用いられています。彼女はずっと憧れていたのです。モニター越しに見ていた、プリチャンでみんなを笑顔にする桃山みらいの存在に……。そして、満を持して彼女の物語は動き出します。

 虹ノ咲だいあのパートナーとして、バーチャルプリチャンアイドルのだいあがいます。便宜上、虹ノ咲だいあ(物理)は以下虹ノ咲さんと呼称し、だいあ(架空)は以下だいあと呼称します。

 だいあは引っ込み思案な虹ノ咲さんがプリチャンで活動し、ジュエルオーディションやだいあフェス、ジュエルコレクションと言った様々なイベントを表立ってサポートしてくれる優秀なAIです。虹ノ咲さんは恥ずかしがり屋なので、基本的にはだいあを通じて現実世界に影響力を及ぼしています。だいあは虹ノ咲さんの初めての友達そのものであり、虹ノ咲さんにとっては憧れのアイドルそのものでもあります。複雑な関係です。虹ノ咲さんの心から生まれた理想のアイドルにして友達、それがだいあです。この辺りはちらほら伏せられたり明かされたりと2期を貫く軸の一つですが、いつしか虹ノ咲さんは気づきます。だいあを使ってイベントを行っている自分は、みんなに嘘をついているのだと。嘘をついたまま友達になろうだなんて都合が良すぎると。葛藤し、ある時彼女は罪悪感からすべてをぶちまけ、謝罪し、走り去ってしまいます。なんやかんやで友達になって解決しますが、2期は虹ノ咲さんがメインであることに異論はないでしょう。丁寧な伏線と内面描写の回収が光ります。1期でもやってよ!!

桃山みらい(2期)

 1期で猛威を振るった[独自研究]最強主人公、言わずと知れた桃山みらいです。当然ながら2期でも猛威を振るいます。開始早々ジュエルアイドルの座の獲得に始まり、手違いで宇宙に射出されそうになった時には一瞬で死を覚悟した挙句涙ながらに友達に向かって別れを告げるほどのメンタルを披露。また、虹ノ咲さんが己の嘘に追いつめられる悪夢の中に半笑いで「全部知っちゃったんだ!」と登場するなど、仕事を選びません。

 基本的な挙動は1期と同じですが、虹ノ咲さんの目線が加わることでこれまでとは変わった味わいになります。虹ノ咲さんは陰ながら桃山にあこがれを抱き、桃山のようなアイドルになりたい、友達になりたいと考えるようになった子です。彼女の目線を通すことで、桃山の優れたる部分が何なのか、客観的に描かれることになります。僕たちには分からなかった部分です。

騎士竜戦隊リュウソウジャー

 なんで?という方もいるかもしれません。詳しくはこちらに書きましたので、ご覧ください。

・リュウソウジャーとは?

 上記記事を読んでください。この項目、要りませんでしたね。

・何故ここに項目があるのか?

 関連性について一部専門家から指摘があるからです。例えば、主人公にして持ち前の男気で全てを解決する桃山とコウ。二人は内面の描写が極端に少ない一方、虹ノ咲さんやナダといった憧れを持つ者の目線から語られることで人物像が補強されるという特徴を持っています。ナダの感じていた劣等感は、コウが自然と持ち合わせていた悩む前に行動する、仲間を信じるというキラッとときめく良い所(プリチャン用語)に対するものです。一方、虹ノ咲さんの感じていた劣等感は、桃山が自然と持ち合わせていたキラッとときめく良い所(プリチャン用語)を見つけ出すことでみんなを笑顔にする力に対するものであり、ここにも奇妙な一致があると言えるでしょう(本当にそうか?)。以下、上記記事からの引用です。

人の心が分からないし人の目とかも気にしない、常に自分の最善と思う振る舞いができるコウの事がホンマに嫌いやったことがナダの目を通して丁寧に描かれたことで、コウという空っぽの化け物の理解を助けてくれたんですね。


・コウとナダ、桃山と虹ノ咲だいあ、ガイソーグと黒だいあ

 上記記事より再び引用します。

 ナダが「ホンマに嫌いや」と言ったのは、コウではなく己自身だった。虹ノ咲さんが嫌いだったのは、友達が欲しくて、みんなに嘘をついていた自分だった

 コウの存在によりナダさんが痛感するコンプレックスと、桃山の存在により虹ノ咲さんが痛感するコンプレックスは、同じです。憧れの存在が目の前にいるからこそ、その凄さを近くで見てしまったからこそ、そのようにあれない自分がちっぽけに思えてしまう。近づけば近づくほど遠く感じるみたいなやつです。その結果、ナダさんはガイソーグという呪いの鎧(押韻)で己を偽ることしか出来なくなり、虹ノ咲さんはだいあという仮面を被らねばプリチャンアイドルとして活動できなくなってしまうわけです。

 ナダはガイソーグの呪縛から解き放たれ、ガイソーグの制御に成功します。かつて呪いだったものを乗り越え、己の力としました。一方、虹ノ咲さんもだいあを乗り越えてしまいます。だいあに頼ってばかりいられない、これからは自分一人でもなんとかやっていくぞ!……このポジティブな考え方が、虹ノ咲さんに頼られるというだいあのアイデンティティを刺激し、だいあは別の人格、黒だいあになってしまうのです。AIに過ぎなかっただいあが、友情、そして嫉妬……感情に芽生え、自我を持ってしまった。とても美しく、哀しい奇跡です。

 何の話でしたっけ?黒だいあとガイソーグ、共通点はアレです。カラーリングが似てる。

・脚本の類似

 突然終盤で伏線の回収が上手くなります。チャンプリのロケットとか、エラスとマイナソーとか。そういう感じです。


不安要素との戦い

 キラッとプリチャンには不安要素があります。2期は不安との戦いでした。憧れたからこそ遠く感じてしまう、近づきたいからこそ近づけない、それでも友達を作りたくて続けてしまって、でも嘘をついたままの自分には友達を作る資格がない……プリティーリズムから参戦したなる店長も交え、この上なく素晴らしい王道展開で描かれてきたはずの桃山みらいと虹ノ咲さんの関係性、虹ノ咲さんの独り立ちから来る寂寥感からグレるだいあちゃんとAI特有の自我の芽生え……極上のシナリオは、物語の終幕への期待と、不安を生じさせます。簡潔に言いましょう。これマジでちゃんと綺麗に終わるの?と。

 この記事を書いていた当初、物語は98話でした。ジュエルコレクションの決着、心のジュエルにダメージを受け続ける黒だいあちゃんの救済、そして虹ノ咲だいあの成長……物語で使える尺はもう残りわずかです。だいあ、消えないで!と願いながら僕は不安で仕方ありませんでした。

 これ、本当に綺麗に終わるんですか?


そして99話と100話と101話

 これも当初は100話前に下書きしてたんですが、ちょっと忙しくて後になっちゃいました。

 99話。僕は……怒り狂いました。桃山の心ない一言が、黒だいあのアイデンティティを完全に奪い、感情を決壊させてしまいます。いや、まあ良いでしょう。そういうこともあります。主人公の親が応援に来てないのは加点評価です。だってあいつはそういう奴だから。物語には山と谷が必要です。次回が良ければ何の問題もない。終わり良ければすべて良し!

 100話。僕は……茫然自失でした。虹ノ咲さんが黒だいあに思いを伝え、心を閉ざした彼女を救う話だと僕は思っていました。それが……それが!蓋を開けてみれば、何故か桃山が、虹ノ咲さんと、デュエットです。そして黒だいあは浄化され消滅。元のだいあに戻ります。何これ?いや、おかしいよ。黒だいあが心を閉ざす原因を作ったのは桃山みらいです。その桃山が虹ノ咲さんと二人仲良く歌ってる姿を見て、嫉妬で閉ざされた心、開きますか?開かないでしょ。

 黒だいあの消滅もです。黒だいあは確かに表に出ている人格が別なだけで存在自体は同じですが、虹ノ咲さんに友達ができることが喜びだったはずなのに、いざ友達が増え、自分が手伝わなくても良くなってみれば、何故かとても哀しかったと独白する黒だいあの葛藤や感情それ自体は元のだいあとは別物として考えてあげるべきです。彼女の悩みや存在は肯定してあげないの???それは違うよじゃないんだよ桃山。この問題は虹ノ咲さんとだいあの二人だけで解決すべき問題なんだよ桃山。パスワードは要らないんですけど、魔法でこじ開けたのは桃山の方じゃねえか!また、だいあと黒だいあのデュエット曲があると期待しまくっていた僕は、呆然としていました。

 そんな中、虹ノ咲さんがだいあに向けた言葉が本物だったことは唯一の救いだったと思いますし、プリチャンがダウンした瞬間に真っ先に自分のコーデをチェックする桃山の挙動は100点満点だった。

 そして101話。プリチャン衛星メテオ。なんで?分かりません。バグバグッチュのせいらしいです。なんで?分かりません。だってバグバグッチュの王は倒したし、現実世界に影響力を行使できるほどの存在に成長する要素一切なかったでしょ。分かりません。衛星周りは1期のキャラを拾って来たりと、伏線の回収がやたら上手いです。ただ、めちゃくちゃ嫌な予感はしていました。バーチャル存在が黒幕という展開が、もう、悪い結果しか生まないと思っていたからです。蓋を開けてみれば案の定、案の定でした。これで何故、前回謎の力を使い果たしたキラッチュが消滅しなかったのか、謎です。公正世界仮説に真っ向からケンカを売る脚本、俺は騙されないぞ!

 だって、だいあは頑張ったんですよ。今まで感じたことのない心のざわめきに耐え、それでもジュエルコレクションを成功させるためにMCとして会場を盛り上げ続けたのは、きっと虹ノ咲さんへの思いが彼女を支えていたからです。それに、別に黒だいあは悪いことをしていません。バグバグッチュが増長したのも、黒だいあが直接の原因というわけではなく、どちらかと言えばプリチャン運営サイドの問題です。セキュリティに問題があっただけです。大体だいあは別にバーチャル世界のネットバトラーってわけじゃなくてただのお助けAIだし。悪いことしてないのに頑張った奴が謎の報いを受けるのは道徳に反してるでしょ。聞いているのかデザイナーズ10。ちゃんと仕事してたのミッキー二階堂だけだったぞ。謎の強力な力による過剰な報いを受けることになり、だいあは……許さねえ……タカラトミーアーツ!!!

 でもホイップさんが元気に過ごしてることが判明したのは良かったと思います。娘のライブを応援しないのにキラ宿の危機には駆けつける男。


3期にむけて

 3期……どうなるんでしょうね。メルパンが可愛いなと思っていますが、VRの方向に行くのって結局はヴァーチャルとかファンタジー寄りになるわけじゃないですか。プリチャンはファンタジーじゃないって言ってたのに!!

 あと、キラッチュが虹ノ咲さん以上に桃山大好き存在として生を受けることは確定的に明らかなので、懸念しています。だって桃山を止められる奴がいなくなっちまったら……このキラ宿は終わりだからよ。俺だけがメルパンを守護ってやれるんだ……。

 おわり


 

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