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Modernaのプレスリリース、その後の展開は?

今回の記事では、2020年11月16日に発表されたModernaのワクチンmRNA-1273のプレスリリースについて、そして、その後どのような展開になるのかを個人の意見として発信したいとおもいます。
最後まで読んでいただけるとうれしいです。

Modernaのプレスリリースのおさらい

ModernaのプレスリリースはPfizer/BioNTechに引き続き2つ目の成功例でしたが、先日のPfizer/BioNTechに負けないぐらいのインパクトでしたね。
ModernaのワクチンmRNA-1273の第三相臨床試験(COVE study)において、COVID-19陽性者はmRNA-1273群で5例、プラセボ群で90例、ワクチンの予防効果は94.5%(p<0.0001)という結果でした。
やはりPfizer/BioNTechと同様のスパイクタンパク質を標的としたmRNAワクチンというだけあって、同様の結果が得られました。
また、重要な点として重症患者は11例で認められ、すべてがプラセボ群でした。この結果は、mRNA-1273には重症化予防効果も期待できることを示唆しています。
2回目のワクチン投与後の有害事象としては、疲労感(9.7%)、筋肉痛(8.9%)、関節痛(5.2%)、頭痛(4.5%)、痛み(4.1%)と注射部位の紅斑/発赤(2.0%)でどれも短期間のものだったようです。このことからも安全性には問題がなさそうです。

有効性、安全性のデータをPfizerのプレスリリースと比較して、有効性はちょっとModernaの方が良い、安全性はちょっとPfizerが良い、などと考える方もいるようですが、そもそも患者さんも異なるので、両者の数字の小さな違いを比べることに意味はなく、ほぼ同様というのが一般的な解釈になると思います。

BioNTech株が急落、問題はAstraZenecaとJ&Jのワクチンかも

ぼくも予想できなかったのですが、Modernaの結果を受けて、BioNTechの株価が約-13%下落しました。少しは影響があるかと思ってはいましたが、BioNTechの株価は結果発表の前まで下がりましたね。
ただ、BioNTechもModernaも承認された際には、各国とは契約が済んでいますので、2021年度までは出荷できるだけ消費されることは確実です。

問題はこの後に出てくるAstraZenecaとJ&Jのワクチンになるでしょう。
AstraZenecaはもうすでに臨床試験後半ということで、結果を待つだけですが、90%よりも明らかに低い有効性の場合は、大量に作った分は投与されるとしても、その後2年後3年後には投与されなくなる可能性があります。
また、Phase1/2の試験で少数例での結果を見てみると、やや有害事象が多いようにも見えます。

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ではJ&Jはどうでしょう。第三相試験のENSEMBLE studyには60,000人をリクルートすると公表していますが、試験のリクルート中にPfizer/BioNTechそしてModernaのワクチンが発売される可能性が高いです。CNBCのニュースでのコメンテーターのご意見に納得したのですが、倫理上の観点から有効性のあるワクチンがある中で、プラセボ群に割る付けることが難しくなる可能性があることを指摘していました。
従って、今後もJ&Jをはじめて続々とワクチンの臨床試験が予定されていますが、後発のワクチンについてはリクルートが難しくなることも想定しておく必要があるかもしれません。

保管温度は重要か

最近のニュースでは、Modernaの方が輸送や冷蔵の期間については利点があるので、Pfizer/BioNTechよりは良いだろうという記載も目立ってきました。
ただ、Pfizerはきちんと輸送し患者さんに届けるために、かなりしっかりと準備をしています。(話はそれますが、ここに関与するFedexはすごく利益が出るのではないかと想像しています)
下図は、その比較ですが、確かにModernaに有利ですが、そもそも同じmRNAワクチンのため、Pfizerも何かしらの改善策を考えているのでは、と想像をしていました。

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医薬品の長期安定性試験は、今回のワクチンのように短期間で開発する場合、十分な時間がないケースもあります。
その場合は、現在安定性が担保できる形で承認となり、追加で承認を取るケースもあります。

そんなことを考えていたところ、想定外のニュースが入ってきました。

Pfizer/BioNTechの次の戦略とは

PfizerのCSO (Chief Scientific Officer)のMicael Dlstenさんのコメントとして、すでにワクチンの第二世代に取り掛かっており、なんとパウダーで室温での輸送が可能なものを来年度に発売できるよう、準備を進めているとのことでした。
現実になれば、クリニックや病院で、パウダーの入ったバイアルに生理食塩水を入れてワクチンを溶かし、投与することになるでしょう。

さすが、Pfizer。ぼくの想像の3歩先を進んでいました。
Pfizer/BioNTechとModernaのニュースでマーケットは大きく動きますが、長期目線でもう少し様子を見ていきたいと思います。

ワクチンの課題

課題としては、いくつか挙げられますが、Pfizer/BioNTechおよびBioNTechの治験の組み入れ基準がそれぞれ16歳または18歳以上となっていることは課題だと思います。つまり、小児での安全性が確立されていません。
また、持続期間も今後の課題になると思いますが、いずれにせよ、両者のワクチンでは同様の持続期間になる可能性が高いと思っています。

ワクチンはいつまで必要か

もし、ワクチンが十分量共有されたとしても2-3年は終息に必要であることは明らかでしょう。しかし、デンマークでコロナウィルスが変異したものがミンクから見つかり、ヒトへも伝染したとのニュースが報道されました。
このことからもわかる通り、コロナウィルスの変異ということも考えると、やはり長い目で付き合っていかないウィルスなのだと考えられます。
もし変異した際へのワクチンの対応ということを考えると、簡単に対応できるmRNAワクチンはとても理想的なものではないか、と考えるようになりました。

それでは、今回の記事はここまでにしたいと思います。

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それでは、また次回の記事に乞うご期待!

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