見出し画像

Pfizerのワクチンは盤石か?そしてModernaは?

2020年11月8日は科学が前進した1日

昨日、2020年11月8日は歴史が動いた日になったと個人的には思っています。
ついつい、興奮していくつかツイートしてしまいましたが、PfizerのCEO Albert Bourlaのコメントには感動してしまいました。

Pfizer/BionTechワクチンのおさらい

まずは、Pfizerのpress releaseの内容から今後を占うための重要なポイントをおさらいしましょう。
ご参考までに中間解析の考え方は以前のnoteに記載しています。

1. Pfizer/BioNTechのワクチン候補(BNT162b1)は90%以上の有効性を示した。
2. COVID-19の症例として94例が確定された。(BNTで8例以下、Placeboで86例以上)
3. これまで参加した43,538名の試験参加者では、重大な安全性の懸念は認められていない
4. FDAへの緊急使用許可申請 (EUA)については、安全性のマイルストーン達成後、11月第3週を目指している。
5. 確定症例164例の最終解析まで臨床試験を継続する。

ニュースなどを見ると、まだ40,000例のうちの94例だ、とか高齢者での憂苦性を示せないとだめだ、とか独自の理論を展開する報道も見受けられますが、サブ解析での有効性なんて求めていませんので、ご心配なく。
高齢者や様々な人種をリクルートする目的は、主に副作用です。
サブ解析での一貫性を事前に要求するのであれば、試験の規模がさらに何倍にもなってしまいますから、そんな無理ゲーはFDAも要求していません。

では、90%はうまくいきすぎだ、ということで万が一、64例まで達するための70例が35例ずつBNT群とPlacebo群で起こったことも考えてみましょう。実は、そのケースでも43例 vs 121例ということで、最低限のライン 53例 vs 111例(有効性52.3%)をクリアします。
何が言いたいかというと、有効性は超余裕でクリアしている、ということです。
あとは、安全性の懸念ですが、press releaseで述べられているように、現状は重大な安全性の懸念が出ていないので、こちらも大丈夫な可能性が高いです。

従って、Pfizer/BioNTechのワクチン候補(BNT162b1)がEUAを取得することはほぼ確定で、もう次のModernaはどうだ、とぼくは考えています。

Pfizer/BioNTechとModernaのワクチンは兄弟

Pfizer/BioNTechのワクチンもModernaのワクチンも基本的な性質はSARS-COV2ワクチンのスパイクタンパク質に対するmRNAワクチンということで、基本的な性質は全く一緒です。
投与されると、リポソームに囲まれたmRNAが細胞質に入り、mRNAからSARS-COV2ワクチンのスパイクタンパク質が翻訳され(作られて)、作られたスパイクタンパク質に対する抗体を自分の免疫で作るという手順になります。
つまり両社のワクチンは兄弟のようなものだと言えるかと思います。

両社のワクチンの比較をするためには、有効性と安全性に分けて考える必要があります。

有効性については、Pfizer/BioNTechはNatureにModernaはNEJMに論文が出されているので、キーデータである中和抗体のデータについて確認してみましょう。

画像1

いずれも同程度の中和抗体が投与用量でできており、またそのばらつきも一番右のCOVID-19に罹患した患者の血清と比べても高く、ばらつきが少ないことがおわかりいただけるかと思います。

安全性に関しては、ModernaのワクチンについてはAstraZenecaのような中断もありませんし、高齢者でも有効性と安全性は大丈夫そうだ、との報道もされています。

従って、ぼくはかなり高い勝率でModernaもEUA承認、そして日本を含めた各国への供給ができるのではないかと考えています。

Modernaの発表はいつ?

FIERCE Pharmaのニュースによると、Modernaは早くとも11/25になると言われていますので、もう数週間でpress releaseが期待できるとも言えるかと思います。

Modernaだけが商売をしている

もう一つ、ぼくがModernaに期待している点は、PfizerもAstraZenecaもJohnson & Johnsonもワクチンで一儲けしようなんて全く考えていない、リスクの高い社会貢献をしているという点です。
メガファーマは時々、このような社会貢献をすることで、特にアメリカで製薬会社への悪い評判を挽回しようとしているのではないかとも思います。

一方、Modernaについては、ワクチンの値段が$32 から$37ぐらいだろうということで、AstraZenecaは$10, Pfizer/BioNTechは$19.50と言われている中で一儲けしてやろう(FDAからOperation Warp Speedでいっぱいお金もらっているのに!)という気概が感じられるところも個人的には好きです。

今後の展開

おそらく、ModernaもBioNTechもFDA承認が決まるまで、株価は上下する日が続くかと思います。

責任は持てませんが、かなり高い勝率にbetできる少ないチャンスかと思いますので、自己責任の範囲で考慮しても良いタイミングと考えています。

それでは、今回の記事はここまでにしたいと思います。

本記事はすべて無料ですが、価値を感じていただけた際には、投げ銭いただけますと、次の記事を書くモチベーションになります。


それでは、また次回の記事に乞うご期待!

ここから先は

0字

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

もし、記事に価値を感じていただけた際には、サポートよろしくお願いします。