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染、色

好きなところを、少しぽつぽつと思い返してみる。(ネタバレ?含みます。)



・秋に咲いた桜は春にまた咲くのか?

深馬が執拗に聞いていた、秋に間違って咲いてしまった桜は、春にまた咲けるのか。期待されるがまま流れるまま上手いこと美大主席入学まで漕ぎ着けて咲いてしまった自分が、正しくまた咲けるのかを心配している、ように見える。

実際ソメイヨシノには狂い咲きというものがあって、秋に咲く事がある。花が持つ葉の数も花の数も決まっているから秋の日照時間が少ない時期に葉が育つとうまく光合成出来ずに枯れてしまう。

才能にも限りがあって、それを何処かで感じて恐れている?冒頭。しつこいぐらいに何度もその話を聞きたがっている、小さな子供みたいに。

才能がある(あった?)前提で、無邪気な…暴力?自分が才能があって恵まれている事を当たり前と思って過ごす事で、傷付く相手がいる事を、一つも感じていない様子が好きだった。深馬の他人に興味のない、自分の事ばかりな考え方が真未を生み出したような気もする。


・飲酒

大学生なのもあってよく飲む。飲み慣れてそうな姿が印象的だった、これは正門くんなのかな?アルコールが入った状態の判断能力って、どうなんでしょうか。私がお酒が好きではないから多分そんな風に思うのだけれど、現実逃避、楽しさに逃げたりだとかひとまず嫌な事を忘れさせてくれるモノ。


・笑う、と、怒鳴る

色んな笑い方をする。笑いの演技?が好きだ、正門くんの。諦めたように、呆れたように、悲しそうに、楽しそうに、そして、気が狂ったように。

反対に、怒鳴る時の温度は、どこか一貫性が感じられた。相手が居るからなのかもしれない。…笑ってる時もそうか?怒鳴る時は自分を守る時がメイン、かなあ。殴り合いの喧嘩になりそうだった時の重力を感じる舞台の板を踏み込む音が忘れられない。


・真未と杏奈

女が好きな女と、女が嫌いな女。みたいな印象。原作未読で行ったものの、流れてくる事前の情報と写真。杏奈との件のキスシーンも、キスが、よりもその前の所作が生々しくて良かった。と、いうよりそれよりも中々な場面が多々あったので…という感じもある。面接中に2人が寝るシーンの清々しいクズっぷりがあまりにも、こう、色々刺さって最高でした。何事もないように部屋で鍋を作ったり、杏奈自身、には興味がないのにそういう平凡な安定や幸せは求めてしまう浅はかさ、みたいな。いや、そんなものは当たり前なんですけど、そこに相手、を介さない所が好き。

ダンス、というかグラフィックアート?を描く場面のしなやかな動きと力強さ、あと、やっぱり重力を感じられる。重心が低く動くあの感じが好きで、すきですきで。演技だけを見に来たと思ったのに、まさかそんな好きなところまで観れると思わなかった。


・電話

あの、セリフが。観劇後、原作を読んだ時にも最高で眩暈がしたけれど、床での後に、あの電話をかける。それがこんなにも嫌にならない。



・原作との差分

終わらせられないのは美優だったはずで、真未は終わりの形は決まっている、と言った。自分の死体は見れない、とも。終わりを見たくない深馬が、真未の死をもって、終わらせられたのかなあ。


ソメイヨシノは大半同じDNA、所謂クローン、らしい。接ぎ木の結果、毎年同じ時期に同じように綺麗な花を咲かせてくれる。もしかしたら秋に狂い咲いた桜が本当の桜だったりするのかもしれない。





・深馬と正門くん

共感できそうにないのに、舞台として少し重たくもあるのにそれを微塵も感じさせず、ただ、役として、深馬として演じ切ったまさかどくん。嫌なやつとも似てるかも?も言ってたような気がする、やっと改めて雑誌を読み返せる。読み返したら追加したい、どんな気持ちで、どんな風に感じたんだろう。素晴らしい演技だったように思えます、わたしには。なにも隠すことも照れることもなく、実直なまさかどくんだからこその、深馬だったんでしょうね。


・ただただ、すきなところ

舞台中、所々に重力が感じられた。重さ、歩く時の振動。初めて、画面越しじゃないまさかどくんを、やっとこの目で、生で見ているんだという感動がじわじわと目の前を滲ませた。


演技中とカーテンコールの表情の違いで、この時やっと、初めて、まさかどくんをみたんだと実感した。六月、東京のグローブ座。