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絢爛マイユース

愛してやまない同期が、会社を辞めた。3年間、仕事は違えどずっと一緒だった。

彼女のことを考える時に、いつも入社日のことを思い出す。最初に入ってきた人から奥につめて座って〜と大会議室に詰め込まれ、私の左に座ったのが彼女だった。初めの2週間くらい、隣だった気がする。私の右に座ったスラリとした男も、後に同じ部署になる人だった。ファミレスで働く彼女と、おしゃれボーイの彼。同じ部署にならなかったら、研修の2ヶ月だけの関係だったのだろうか。運命なぞあまり信じたくはないが、2人が隣だったのは何かしらの力なのではないかと考えてしまう。ちなみに、私の目の前に座っていた女の子は今では会社内で1番の友達だ。入社当時の私は、相当引きがよかったんだと思う。

3人同じ部署に配属された。5月末のことだった。どの部署に配属された同期も親睦会と称して飲み会を開いて、例に漏れず私たちも飲んだ。一回きりの部署が多い中、私たちは今に至るまでコンスタントに2、3ヶ月に一度飲んでいる。1番初めは憧れや彼氏彼女のことだったのに、歳を重ねるごとに結婚や引っ越し、仕事の愚痴も増えていった。私個人のことでいえば失恋や恋愛、通院、服薬もしていたが、2人に隠し事をしたことはほぼなかった。ちなみに、3人とも写真を撮らないタイプなので、いつ会ったかの記録はスケジュールでしか振り返られなかった。

ずっと3人違うチームだったし2年目以降は私だけ別部署になった。けれど、仕事中に3人の社内チャットで文句を言い合う、お昼を食べるのが何時なのか約束できる、時にはどうしてもつらいときに社用PHSで呼び出す。そんなことがずっと当たり前にできる距離感だった。私が泣くたびに、受け止めようか?大丈夫か??と手をお皿にしてゲラゲラ笑ってくれる、ありがたい存在だった。一緒に泣かれるよりもずっと嬉しかった。言葉もかけられないくらい大変そうな時は、そっと紅茶花伝を彼女のデスクに置いていた。

彼女が結婚して遠くに行って、付き合いが悪くなるのではと寂しくなる時もあった。けれどなぜか今までと同じペースで会えていたし、彼が同棲をはじめても何も変わらなかった。相変わらずAirPodsはなくしそうになるし、ひとりでハイボールを飲んでいた。私はずっと恋人ができなくて焦ったり変に妬んでしまいそうになった時もあったけれど、妬むよりも2人のことが好きだった。

彼女が退職することを聞いた時期が、ちょうどめちゃくちゃ仕事が辛い時だった。そのあたりから、これまでよりもさらに涙腺が弱くなったように感じる。自分自身の異動のことや業務量、仕事の進め方。そしてそれらなんでもを話せる彼女がいなくなること。あまり覚えていないけれど、体感としては毎週泣いていた。

2人のことは友達としてものすごく大好きだけど、やはり同性にしか話せないこともあった。いつも5分で昼ごはんを食べている彼女を捕まえて、30分話し続けていた。

まだまだ辞めないなと思っていたけれど、あっというまに辞める2週間前になった。2人でお世話になった先輩、元上司、後輩、私もついていって色々な人とご飯を食べた。人見知りだと言う割に誰とでも仲良くなれる彼女が羨ましかった。

辞める日も、辞めてからあってもずっと泣いていた。昨日は一旦最後の日だったが、駅で解散する時にまた泣いてしまった。改札口では、卒業式後の大学生がたくさんいた。私自身は卒業しないのに私だけが泣いていた。2人はまた、手でお皿をつくってくれた。

これで終わりではないとしんじている。3週後にまた会うし、2ヶ月後に会う約束もしたし。けれどでもやっぱり悲しい!!!

ひとりできた関西で、同じ誕生日の、同じような仕事のやり方をする、彼女に出会えてよかったと本当に思う。そして、性格も趣味も仕事のやり方もなにひとつ合わない彼と友達になれたことも本当に誇らしい。いつかわたしが結婚した時は、あげた倍の分のプレゼントをもらうと言っている。等倍でいいから、またなにかとかこつけて会ってほしい。私もあと1週間後で異動だ。もうオフィスを見渡しても2人はいなくなるし、仕事中に泣きつくこともできない、ここからが本番な気がしている。

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