浅草ロック座 5月公演「Daydream 1st」

上原亜衣さんのストリップデビュー&引退興行のときのフライヤーがまだ家にありました。私が浅草に通ってまだ2回か3回目くらいの頃のもの。あれから浅草ロック座に毎回行くようになるとも、そして今回復帰公演を見ることになるとも、その頃はまったく思ってませんでした。
6年ぶりの上原さんは……劇場で見ているぶんには、あのときと変わってないような……という印象でした。

1景は橋下まこさん。フィナーレとやや重なるような世界観の、ダンスレビューとでも言うんでしょうか、そんなテーマの景です。ピンクのポールを使ったダンスが印象的だった、去年はじめの「FLASH」の幕開きなんかに似ている。
群舞はいつも見せてくれる笑顔はそのままに、でもダンスは美しくてカッコいい感じでもある。と思うとベッドショーでは一転してムーディに。パンティの紐を解きながらなんちゅう視線を投げかけるの……。そして立ち上がりは元気に、と起伏に富んだ展開。景を通して、満面の笑みからこちらを誘うイタズラな笑顔まで、表情のグラデーションが多彩。改めて”表情の人まこさん”が堪能できました。

2景の群舞はアダルト〜な3人が担当。広瀬あいみさん、鈴木千里さん、赤西涼さんがシンプルなダークトーンのワンピースでしっとりエロい。3人が重なったり離れたり、つかず離れずの距離感で踊るのがなんか色っぽい。
あいみさんのソロパートは中近東の踊り子スタイル。あいみさんの雰囲気によくあった衣装だと思います。もともとお腹などが空いたセクシーな服装ですが、あいみさんの衣装はさらにストリップ仕様でエロく仕上がってました。

3景は赤西涼さん。洋風なレビュー、中近東の踊り子、ときて3景は和ですか。キツネモチーフの和装がとてもいい! 初めは逆光線で赤西さんのシルエットだけがわかるのですが、着物につけられた毛の質感や帯のフワフワ感だけを見せる演出はとっても効果的。
キツネ面のように目もとを赤めに塗り、人懐っこく距離感を詰めてくるような動きかたはまさに小動物的かわいらしさ。2景群舞からの変貌ぶりに驚かされます。

4景は鈴木千里さん。相手役が武藤つぐみさん、そして小道具がバラ……もうこの時点でヤバいですね。じっさいヤバかったんです。ヅカ的世界観と言いましょうか、どっちが男でどっちが女でとか、どうでもいい。とにかく美しくてカッコいい人間がふたり、その愛し合う姿にはただ圧倒です。
どちらも力量のものすごい人だとは思っていましたが、群舞でコンビ組むのは初めてではないでしょうか(少なくとも私が毎回見続けている2020年以降では初)。我々がどこにも立ち入る隙の無い完璧な関係。オリの外から鉄格子に顔くっつけながらでも見ていたい。
千里さんソロパートではフードをかぶって登場。しかしそのオーラは抑えきれないものですね。フードご開帳からのベッドショーもすごい。3連続ポーズ切りからのひとテンポ置いてのスワン、流れるように綺麗に決めていくのが見ものです。

5景はムービーの挿入からスタート。7人の紹介を某映画パロで行うのですが……「サイコパス広瀬あいみ」「スイーツ脳橋下まこ」「アルコール依存赤西涼」は単純にひどい言われようで笑ってしまった。群舞は全員登場ということで、ついに上原亜衣さんがステージへ。
群舞のつぐみさんと千里さん(永澤さん着替えタイムには橋下さんも加わって)の関係性が好きです。4景の延長戦をやっているかのような視線の交わり合い。また、キャピキャピした振り付けを カワイイ系の永澤さんや上原さんも、クール系のつぐみさん千里さんも、みんな一緒に踊っている姿がやっぱりいいです。千里さんが独特のオーラを発したままかわいげな振りを踊っているのを見ると、脳が現象に追いつかなくて処理落ちしますね。
メインの永澤ゆきのさんはロック座初乗りでしたが、踊りのキレ、ポーズ切りのキレはキャリアすら感じさせるほど。すでに場にもなじんでいて今後が楽しみ。

6景はキャスティングが絶妙でした。中休憩以降は全景で上原さんが出てくるというシステムも面白い。そして何より武藤つぐみさんの地味子(いや地味男か)オタクの似合いかたが尋常じゃない。つぐみさん、踊り子としてのキャリアの中で徐々に中性的な美しさに近づいていった踊り子さんなんじゃないかなと思っているのですが、ほぼ完全に仕上がっている感のある現在でもあんな役どころを演じると絶妙なオタク感が出るのかと驚きです。とはいえダンスのうまさやエアリアルショーでは見た目では隠しきれない完璧さが漏れ出てくるのですが。
あのエアリアル含めてオタク氏の見たデイドリームだったのか、それともオタク氏は妖精に出会って美しい何かに変化したのか……余韻のある景でした。

いよいよ上原亜衣さんの7景。ダンサー陣はみんな笑顔で(とくに橋下まこさんの笑顔はすんごい)、上原さんだけ笑っていないという群舞。どういうことなの……と思っていたが、小道具のステッキやフィナーレまでつながっているような世界観を考えると、なるほどマジシャン&アシスタンツなんですかね。
ベッドショーでは……歴史秘話はじまっちゃった! 「6年の時を経て、ついに上原亜衣さんは浅草に戻ってきたのです」――渡邊あゆみアナのナレーションが聞こえてきたような。
フィナーレはバリバリのステージ衣装で出てきます。ゆったり時間を使ったメンバー紹介や三方礼など、かしこまった感じもたまにはいいなーと思いました。

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