浅草ロック座 12月公演「夢音 DREAM ON 3rd season」

今年の浅草ロック座も昨日までで2022年の17公演をすべて終了し、明日からは2023年の新春公演が始まります。私は、今年もなんとか全シーズン全演目を一度はみることができたはずです。これで感想をnoteに書きはじめてからは3年。たまに踊り子さん本人に読んでもらえているっぽかったり、どなたかを介してリツイートやいいねがちょこちょこもらえることも出てきてありがたいです。いつまで続けるのか自分でもよくわかっていませんが、気が向いたらご覧いただけると幸いです。

さて、2022年最終シーズンのドリオン、1景は樋口みつはさん。過去香盤をたどっていくと、初来演が昨年「Re」③景で、今年に入って以降は「ECSTASY」「祭音」「夢音」すべて1景での出演でした。さらに前回の「祭音」、今回の「夢音」ともに1景は大見はるかさん、桜庭うれあさんとのリレー
初来演から約1年ですが、エース級の先輩たちとも肩を並べる群舞のキレ。友坂さんや神野さんを引き連れてのメイン、かっこいい。あと群舞では、ダンサーのうーさんがメガネ男子の役どころ、1stでも見たような気がするのですが、絶妙な味が出てますよね……。
ベッドショーでは手鏡ごしにルージュひきながらこっちを見てくるシーンにドキッとさせられました。立ち上がり4曲めは唯一の邦楽で歌詞を押し出した感じですが、曲のノリや歌詞にすごく合った振り付けに感じた。表情もよかったな。

2景は広瀬あいみさん。広瀬さんの表情をハッキリ見せない感じ、ミステリアスさが生かされる景でした。表情をハッキリ見せない、と言ってもカウンターのほうを見る流し目なんかはすごく色っぽい
2曲めで本舞台からお盆に入ってくるまでの振りの優雅さは誰よりもピカイチだと思う。ベッドショーもぐっと抑えて気持ちを飲み込むかのようなあいみさん。本心を飲み込む……すごく品があるし、オトナだけれど、とてもパワーが必要な振る舞いですよね。そんなこと含めて、大人の色気を感じさせました。

3景、ここで友坂麗さんなのかっ!!! これはおもしろい組み合わせ。バックも赤西さん、樋口さんと、なんかこういう演目をする想像がわかない3人組なのもいい。品が無いわけではないのですが、なんだろう、いやらしいエロさなんですよねえ。
ベッドショーは1st、2ndと演者に合わせて割となんでもアリな感じでしたが、3rdでも友坂さんのイメージにあうような品があるものになってました。思い出すのは、前回のドリオン=2020年暮れの「DREAM ON③」。浜野蘭さん、鈴香音色さんとされていた”cocoon”の演目でした。ヴェールをまとって出てくる雰囲気とか。とはいえ、全体のベースがクレイジーホースなのに、そこからこの連想はすごい、なかなか出てこない。
ポーズ切りの予備動作がカッコいいです。片脚を上げるポーズ切りの途中で、逆側のヒザを使って身体をゆっくり沈めていくとか、ポーズ切り中にも緩急がある。友坂さんといえば、の髪をかき上げるしぐさもキマってる。

4景、赤西キャプテン! そしてスミーから創造つかないほどのイケメンメガネ男子つぐ姐さん! ということで赤西涼さんメイン、武藤つぐみさん脇役の演目です。振りがしなやかな赤西キャップ、立ち居振る舞いから偉大さが出てるんですよね。群舞ではサーベルにまで血が通っているかのような綺麗な動き。そしてつぐみさんのポンコツ度合い。全部計算づくじゃないか! ズルい!
ベッドショー、1stと2ndでは見られなかった、まさかのフックつけたままベッドでした。というかフックをキーアイテムに持ってきてしまうスゴ演出。傘とか扇子つかう踊り子さんは割といるけど、フックは固定=持ち換え不可じゃないか! そしてそれに応じる赤西さんの身体能力よ。フックが彼にふりかかる諸悪の根源であり、またその裏返しに自らのアイデンティティでもあるかのように、アンビバレントに扱う様子、とてもよかったです。(でもって口に咥えたり、股をなぞらせたりすると激エロ小道具にもなるヨ!)

5景は神野ひなさん。まずは踊り子全員集合の群舞ですが、やっぱり全員揃うとおもしろいです。ポンポン隊はポンポンを目立たせる大きな動きが多いから、それぞれの動きにそこまで違いは無いのでは……と思いきやそうでもない。かがみ込む動作の深さとか、上体と下半身をひねるときのひねり方なんかがビミョーに異なってくるんですよね。
ベッドショーは1stから徐々にクリスマス度が高まっていく演出、3rdで極まってロコツなクリスマス衣装だったのがちょっと面白い。大人びた感じもロリロリもいける神野さんですが、今回はややロリっ気のあるソロを演じていました。最初から最後までキュートですが、技術の高さに底支えされていて、かわいいだけじゃないことを感じさせます。

6景のメインに武藤つぐみさんを持ってきたんですね。藤川菜緒さんからのリレーはおなじみの感がある、と私は勝手に思っているのですが。そして武藤さん景だからエアリアルを使ったのかー。3rdで変化を加えてきて、とても新鮮味がありました。
エアリアルショーの最初は何かに火をつける動きに見えました。荒廃した街で暖をとるようなイメージでしょうか。その後、リングに乗りショーをはじめるつぐみさん。浅草のエアリアルって高い位置から華やかにやるのが多いと思っていた(当然見栄えもするでしょうし)のですが、今回はやや低めにリングを取り付けて静かに見せるポーズが多かったなという感想を持ちました。当然演目の雰囲気に合っているし、しっとり、じっくり見せるエアリアルは幻想的でもありました。服装が幼稚園とかで着るスモックっぽくて幼さを感じさせるのがまたかわいい。

7景、今年の最後の最後はあやみ旬果さん。あやみさんとしても最後の浅草(=最後のストリップ?)になる、ということになるのでしょうか。1st、2ndとは異なるオリジナル演目です。ライティングやバックダンサー陣(うち踊り子は広瀬さん神野さん)の衣装などはカラフル基調、あやみさんはモノトーンでまとめていて、やや抽象的な演目に感じました。群舞でのあやみさんは2020ドリオンのフィナーレ服(1〜6景踊り子用の白いやつ)だったと思います。階段状のセット(線路っぽい)も同じドリオン仕様。あやみさんのツイートでは4年前の引退公演も「Dream on」だったとあるので、衣装とセットは2018〜2020〜2022と継がれているみたいですかね。
4年ぶりとは言いますが、あやみさんはお盆まわりでの振る舞いはスムーズだし、全体的に醸し出す雰囲気がおしゃれでした。ベッドショーでのラスト、深くおじぎをしたあとで微かに何か言っているように口を開いているのが見えました。お客さんに言っていたのか、はたまた自分に何か言葉をかけたのか、印象的なひと幕でした。


自分語りは他人からするとクソつまらないので極力しない方向でやっていますが……今年のクリスマスイブ、当日午後に会う約束をしていた彼女とその日の午前に急に音信不通になってしまいまして(たぶん人間関係リセット症候群的な発作が起きたのだと思われ、ラインも電話も不通)、メンタルがボロッボロになりながら、心の隙間を埋めに浅草でドリオン納めをしました。いくつかの景で彼女のことを思い出し、目を潤ませたり過呼吸になりかけたりしたのですが、ストリップはとても柔らかく自分を受け入れてくれるものだと改めて思いました。何がどう効いているとか説明はうまくできないのですが……とりあえずどうにか数日は頑張れています。

4年めもメンタルが保てば感想を書きますのでよろしければご覧ください。(あと人間関係リセット癖のパートナーを持つかた、向き合いかたやパートナーにできることを教えてください……そんなものがあるのであればマジで切実に)

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