ぴったりなキャスティング、びっくりなキャスティング 浅草ロック座11・12月公演「DREAM ON 2nd season」

1景。最初に出てくる囚われる女性は高崎美佳さんなんですね。このキャスティング、めっちゃ納得なんですよ。群舞って同じ振り付けをこなしていても、それぞれの踊り子さんのクセというか、身体に染み込んだ特徴みたいなものがしぜんと表れます。今回も通しでみて改めて気づいたのですが、高崎さんの踊りって品があります。囚われの身にぴったりだと思いました。宇野莉緒さん(変身前)の何も考えてない(ように見せてる)無邪気な感じもよくて、群舞のときから見どころいっぱい。
メインの鈴木千里さんも、出で立ちの威厳ある感じ、お顔立ちの気高い感じが決まっていて、この景は全員バッチリハマったキャスティングにしびれました。鈴木さんがとにかくカッコ良すぎて……周りの席で何人かステージ写真を買っていた女性がいたのが目に入ったんですが、みんな鈴木さんの写真持ってましたもんね。気持ちめちゃくちゃわかる。
さらにベッド着は1stからガラッと変わっていて、1stの橋下まこさんは群舞からイメージを引き継いだ「”圧”のある女海賊」感があるものでしたが、鈴木さんは完全に群舞とは別の顔。威厳ある感じはそのままに、でも「女海賊の夜の顔、別の顔」って感じでした。ポーズを切ったあと、何かをつかみ取るような手の動きは明らかに何かを意図した演出でしたね。何をつかみ取ったんだろう……。

2景はこのメンツの中で鈴香音色さんに引き継がれたのか! と驚いた演目でした。シルエットから透ける爆乳や、あみあみなコスチュームの間から見える”むにゅう”ってなったおっぱいを嫌いな人なんてこの世にいるのかしら。打率10割で誰をも悩殺するやつです。EARTH BEATの2ndでも感じたことなのですが、鈴香さん出演時はこれでもかっていうエロ演出入れてきてません? 今回も胸とお尻を120%生かす振り付けになってます。
ベッドショーへとお盆あたりまで歩いてきた鈴香さんの靴に注目。近づいてくるまで気づかなかったのですが、実は激エグ演目です。あんな靴で踊ってたんですか!? ってなります。楽日まで足首グネらないことだけを心よりお祈りします。

3景の群舞、今回も良かったです。電車に揺られたり、酔っ払っていたり。一見するとすべてが乱れた動きのようにみえる中でも、それぞれの動きが相手の動きを制御したり、促したりする(よくわからないでしょうが……アルゴリズム体操みたいなイメージ?)様子が好きでした。
ところで1stのつむぎさんといい、今回の宇野莉緒さんといい、服装に「奥様感」が漂っているのはどういうことなんでしょう。それもつむぎさんからは若妻感、宇野さんからは幼妻感が漂っていたような。演目の背景を考えさせる景です。

4景。赤西涼さんのキメキメにかわいらしくなった演目はポラ館でも浅草でもおぼえがなく、個人的には初めてだったはず。大きなひとみ、首もと・手首・ネイルのキラキラが美しい。赤西さんは、群舞のときは長い手足をゆったりしなやかに伸ばす振りが特徴だと思います。そんな振りが気品と色気を生んでます。
この景ではなんといってもウェイター役の武藤つぐみさんとプリンセス赤西とのロマンスがキモですが、上に書いた赤西さんの気品もさることながら、つぐみさんのちょっとチョロい(?)ウェイター感がなんとも言えず似合ってます。長いえりあしなんかも若年男子っぽさが出てます。
赤西さんからご指名を受けたつぐみさんの「え、オレでいいんすか!?」の表情がリアルでありコミカルであり、最高です。

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▲「次回公演まで時間があるな……」とか思って大した考えもないのにお参りに行ってはいけない。仏様は見ている

5景は君島みおさん。これまで存じ上げませんでした。一度休業されて、近年は浅草で出演されているとか。5景では長い髪の派手めなウィッグをつけられていて、のちの8景の君島さんとはまた別の、「カワイイ色っぽい」タイプの演目でした。似合ってたなー。すごい似合っていただけに、8景で再び出てきたときのギャップにまた驚きました。

6景はまさに高崎美佳さんのためにある景じゃないすか! ロリィタな高崎さんとゴシックな高崎さんの両A面、SNSでよく画像をお見かけするのですが、まさにイメージ通り。ご本人も衣装を自前で用意されたというこだわりようです。ぜひご本人SNSを追いかけてみてください。ふつくしい……
群舞では遊び心ってか完全にこちらを笑わせにかかっている場面があり和みます。千里さんはいたって真面目な表情でふざけるし、つぐみさんは脱力して楽しんでる感じでした。
高崎さんのベッドショーでは、目線の投げかけ方に何ひとつムダがないというか、上目づかい基調のなか、たまに鋭く流し目を見せられると……もうこれは言葉では表せないっす。3rdまで出演されるとのことなので、ぜひ流し目にぶった斬られましょう。

7景は武藤つぐみさんソロ景、静かな中にも力のこもった演目でした。前半は1st同様、静かさと元気さが同居した感じなのですが、後半のエアリアルは神聖さが出てました。今年はリングにシルクに●●●に、浅草だけでも色んなつぐみさんのエアリアルがみれてよかったな。
あと「DREAM ON」のつぐみさんは6景バックのおちゃらけた感じやフィナーレMCの手慣れた感じはユルく楽しく、4景のウエイター憑依とメイン景の神聖な感じは外さずキメていて、公演全体を通じて力の入れどころと抜きどころをマスターしているように感じました。踊っている側が楽しいのが、観ている側はいちばん幸せ。

8景、1stをみたときもメチャクチャ気合入った景だって言いましたけど、今回はさらに若干演出がプラスされてました。なんかもう気合いどころか執念、いや怨念すらこもっているかのような演目じゃないですか。
細身で肩周りやお腹には筋肉の質感も見えて、髪型はベリーショートな君島さん。1stの徳永しおりさんからの、今度は私の中のマリアのイメージを覆していく人選。浅草のいいところってこういうところだと思います。

2景は痩せ型だけが似合うとは限らない。8景がいわゆる絵画に出てくる聖母的な、ゆったりとした”見た感じの母性にあふれた女性”である必要はない。自分の中でうっかり凝り固まったモノの見方をほぐしてくれるような場所が浅草ロック座なのだと改めて気づかされました……これって共感オバケな限界アラサーの考え過ぎなひとりごとでしょうか? そうじゃなければいいのですが。

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