浅草ロック座 2023年3-4月公演「FEMME FATALE 3rd season」

1景はののかさん。バックは武藤つぐみさんと徳永しおりさん。初っ端から最強の3人が出てきたという感じだ。ののかさんは革っぽいイメージ、ふたりはエナメル風の衣装だろうか。群舞のときのつぐみさんの表情がいい。今回の公演通してつぐみさんの表情に味があった。回によってはロリポップをくわえていたりして、そのおちょぼ口具合がまたかわいい。安定の3人+ダンサーによる、安定の群舞。
群舞のときは3人の統率の整った感じが見どころだったのに対して、ソロシーンでは個のチカラを見せつけていくののかさん。ベッドショーに入ってさらに目ヂカラが強まった感じがする。ベッド着は群舞の衣装のカラーリングに寄せて、景全体で調和をとった感じ。カップのないブラとかパンティがエロい。パンティを結んだ形もさらにエロい。コケティッシュさとワルさが程よく出てました。ちょっと荒っぽいポーズ切りにも身体がついてくるのはさすがのののかさんだと思いました。

2景はフィナーレのMCがだいぶこなれてきた木葉ちひろさん。1stの矢沢ようこさんの雰囲気を引き継ぎつつも、2ndの時より自分の間を保ててるというか、無理ない喋りができていた印象です。
2景も木葉さんなりのモーティシアが完成されていたように感じました。品はいいけど”黒い母性”を感じるマダム感というか、近づきたいのに気軽には近づきがたいダークさがあった。肩口まで黒かった髪色が毛先のほうだけ変わっていて、黒い衣装とコントラストが出るようにしていたのが芸の細かいところ。アンニュイそうだったり、険しい表情だったり、黒バラを見つめて微笑んだり、ラストの黒バラを引きちぎる怒りに至るまでの細かな表情の変化も2ndよりしっかり感じられました。

3景は白鳥すわんさん。ファムファタ3景史上いちばんの運動量だったのでは!? 着ぐるみ着ててもけっこう激しい振りで、それでいて群舞が終わったあとも息を切らさず元気いっぱいのベッドショーを展開していてすごい。バックダンサーは鈴香音色さん、武藤つぐみさんに徳永しおりさん。浅草ラストの男装徳永さんタイム、じっくり楽しみました。……ってか3rdまで見て初めて男装役がジャックモチーフなのだとピンと来ました。浅草の男装陣がみんな原作超えするカッコよさなのがいけないのです。
ベッドショーでの演出に趣向を凝らしていた3景ですが、今回もすごかった。1stと2ndでは小道具を要所で光らせる演出でしたが、3rdはもうベッド着の段階からピッカピカに光らせてやろうという。原作の中の何がモチーフだったかは1st、2ndよりよくわからなくなってますが、その辺はもう大ざっぱでいいだろ、という。そんなことより宴じゃ、ピカピカじゃ、と。すわんさん本人のキャラクタにバッチリハマった派手さがあった。振りはバレエステップを多めに、かわいさを前面に。この”バレエ+カワイイ”で浅草のポジションが固まりつつあるのかな。

4景はゆきなさんのオトナ景。20年以降では21年「PEARL」⑥景の真珠の耳飾りの少女とか、「秘すれば花」②の鵺とかがどちらかというと大人っぽい演目でしたが、今回はまさしく艶と品のあるオトナの女。確かに、心のどこかで”いつかはこんなゆきなさんが見たい”と思っていたのかも知れない。踊りは当然うまいわけで、あとは表情やしぐさから抑えきれないロリ感をどうするのかが見どころだろうと思っていましたが……。
いや、めちゃくちゃいいじゃないですか。いつもあれだけ武器にも魅力になっていた甘えた感じの笑みもほとんど感じなかったし、アップテンポな曲にもゆったりと間をもたせてベッド着を脱いでいくゆきなさん、これぞオトナの余裕お盆の底から柔らかく光るライティングもまたいい。ゆきなさんの白い肌を照らすとともに、赤いベッド着によく映える。立ち上がりもゆっくりした曲調に合わせて流れるようなポーズ切り。当然できるとはわかっていたのですが、いざ実際にゆきなさんのオトナ景を見せつけられると、やっぱり新鮮でドキドキしました。

幕間では徳永さんが直接話すメッセージムービーが流れました。ヘンに言葉を選んだり、てらいがない語り口で、ストリップに対する真摯さが伝わってくる。これまでの来演映像、初来演時の手の振り方の初々しさが何とも言えない。
これで南まゆさん、真白希実さんとの3人トリ体制が終わる訳ですが、今後はどうなっていくのでしょうか。ここ数年で引退公演etc以外で浅草のトリに複数回乗っている踊り子さんは3人以外に松本菜奈実さんと安藤もあさんくらいでしょうか。ということは3rdまである公演には松本さんを起用していくことになるのかな。気になります。

5景、浅草キャッツ・アイふたたび。前回21年祭音④ではあらきまいさん・鈴木ミントさん・中条彩乃さんというラインナップでしたが、今回は宮野ゆかなさん・ALLIYさん・鈴香音色さんの3人。前回は【メイン+踊り子2人+ダンサー2人】という体制だったこともあって、前回と今回で重なっている人はおらず、全員キャッツアイ初参戦じゃないだろうか。1stから3rdまで、あまりこういった景に出るイメージのなかった踊り子さんが多く出ていたので新鮮で楽しかった。
鈴香音色さんのソロパートは群舞からガラッと変わってベッド着がゆったりとしたドレスになってました。青ベースに赤と白のマーブル模様だったかな? かわいい。ヒモパンが片方ほどけるハプニングが出た回もあったのですが、それもそのはず、ビジューいっぱいで前側が重たそうな下着。脱いだあとは首もとに持っていってネックレス風にする工夫が面白かったです。
4景のゆきなさん同様、曲に対して振りはややゆったりで、群舞のハツラツさに対してベッドでは大人っぽさを感じました。表情も豊かで、情感たっぷりに踊る姿が印象的。

6景をしっかりシメられるのは武藤つぐみさんを置いて他にいない、そんなキャスティング意図だったのだろうか。すべての動きが柔らかく、力が入っていないように見える。もちろんそれが踊っているぶんには一番難しいはずですが……。
すわんさんもバレエ仕込みの柔らかな振りができるからコンビネーションはピッタリ。
群舞終わりは2人で移動盆に乗るパートが復活してましたね。こっちに向かってくるつぐみさんの、虚無だったりやるせなさだったり、なんとも言えない表情が印象的。脱いだ靴を数歩あるいているかのように動かすのも示唆的。つぐみさんはこの景にめちゃくちゃ合ってる。”一生、中2のままでいてもいい存在”がつぐみさんなのかもしれない。そうあっても大丈夫な職業がストリッパーなのかもしれない。とかそんなことを思う。立ち上がりの曲の中で一瞬お盆に戻って派手にステップを踏んだのが過去景を思い出させるようでもあるのがまたいい。この6景という演目を使って自分をめぐる旅にでも出ているんじゃないか、とかいつもいつもつぐみさんの景では考えすぎて頭がぐるぐるしてしまう。

7景はラスト浅草の徳永しおりさん。幕間で「大好きな真白希実お姐さんの憧れのCHICAGOに乗れた」という話をしていましたが、立派に踊れてました。長い手脚がよく映えていてとてもスタイリッシュ。堂々と本舞台の真ん中で踊ることを許されている存在だと思いました。
本舞台からお盆にくる間の2曲めのノリかたが、お客さんと一緒に楽しんでいる様子ですごくいい。
ベッドショーでも表情がいきいきしていて、パッと客席のほうを振り向くときの目とかすごく勢いがあった。髪をクシャっとかきあげてこちら側にしっかり視線を向けながら笑いかける姿にしびれます。”ストリップ楽しい!”というメッセージを顔いっぱい、身体いっぱいに出しているのが伝わってきました。

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