2020年公演も終わりが見えて 浅草ロック座11月公演「DREAM ON 1st season」

1景 橋下まこ(以下敬称略)
今回もまこさん、ニッコニコで来るんだろうな……と思ったらですよ! こう来るんだ! と今回も驚かされました。笑みは笑みなんですけど、「そういう笑みか」と。今回の1景はいつもの笑顔、封印です。
立ち位置としては、海賊船の船長役(色んなところで書かれているのでここまではバレ大丈夫かな)なのですが、手下に命令するときの振る舞いとか表情は浅草で数回見てきた中でも初めての雰囲気です。髪色やエクステもかわいいというより、強い色気? みたいな。
ベッドショーではその表情と高めのヒールで圧をかけてくるまこさん。真っ赤なリップといい、ハネ上げたアイラインといい、ほぼ完全にかわいさ要素は消していましたが、こんなまこさんもまたいい! 圧、かけられたい!
それと、お盆がせり出してくるときのライティングがカッコよかったです。あんな色み出せるんだなー、今まで見たことあったっけ? と思って見てました(このあとすぐ2景でも同じ色出てたんですけど)。

2景 浜野蘭
とにかく舞台美術がすごい! テーマはご本人のTwitterでお話しされているので探してみてください。そして画像検索でググると「おお、おぉ……」とちょい目を伏せたくなる画像が(わたしは呻きながら画像を見た)。
しかしストリップ演目に昇華されると何をとってもまあ神秘的! 最初に浜野さんが入っている装置、羽化の過程で出てくるものの光り輝くさま、柔らかさ、粘り気のような質感まで、見ているだけでありありと伝わってきて鳥肌立ちました。もちろん美術だけではなく、その世界観と一体になった浜野さんの動きがあってこその感動です。途中まではシルエットだけの表現だったのにもかかわらず、です。タイツを着けたままのベッドショーもむしろ裸よりエロい。他景でもやっているはずのおなじみのポージングが何らかの生物に見えてくるんですよ……不思議です。

3景 つむぎ
こういうテーマ、大好きです。日常から飛び出した一瞬、みたいな感じで、2〜3月公演「FEMME FATALE」の3景を思い出しました。
なによりグループダンスが絶妙でした。選曲、よかったですね。ちょっぴり哀愁ある曲(何しろ某バンドの解散アルバムですからね)で、日常と地続きな感じがよく出てました。あと酔っ払いサラリーマンの風貌と演技がめちゃくちゃよかったですね。わたしが「Peace Love Rock」1景で見た緑のダンサーさんと同じ方のような気がするのですが……
ベッドショーでは一転してそんな日常から異世界に連れて行かれました。つむぎさんが「えいやっ」って感じで躊躇なくストリップオフしていくのが面白かったですね。腹筋からお尻にかけてのラインが綺麗で魅力的。身体能力の高いところにも驚きました。

4景 豊田愛菜
これ……おねぇさんずらぶ2ndシーズンと言ってもいいのでは?(本家は横浜で絶賛公開中らしいですけど)
モチーフとは違うんですけど、3景が現代の浅草だとすると、4景は古き良き浅草(見たことないけど)の感じというか、レヴューとかダンスホールとかが栄えていた頃ってこんなイメージかなという連想もさせるような景でした。音楽にクリスマスを感じさせる曲が入っていて、この公演で2020年も終わるんだなと改めて気づかされました。
グループダンス、アガりますね。特に豊田さん演じる金髪美女と藤川さん演じるウェイターとの”逆”身長差が最高なんですよ。「おねぇさんずらぶ」というか「おねショタらぶ」というか。この関係性、たまらんのですよね。
豊田さんは金髪似合ってました。ヒールを優しく触って、かかと、脚へと持っていく指先の動き。赤と白のネイルもあいまってとても綺麗に見えました。

中休憩/5景 徳永しおり
今回の中休憩ムービー、見ものです。とくに1年通してロック座に通った人なら胸が熱くなる。その後の短めの5景は本舞台も使ってちょっと規模大きめにやってました。8景がシリアスな演目だったので、徳永さんの別の面が見られる景としてしっかりつくった感じなのでしょうか。

6景 椎菜アリス
待ってました! 橋下さんの今回の笑顔ポイントはこの景でした! 藤川さんの子どもっぽい感じもモチーフにすごい合ってるし、何よりここも徳永さんと椎菜さんの「プチおねぇさんずらぶ」だと思って見てました(もう何でもそう見える目になってるんじゃないかという説はある)。
椎菜さんはゴシック・ロリータな雰囲気(だったはず)の衣装。子どもっぽい役どころではありましたが、お盆の上でポーズを切る瞬間の一瞬の表情の変化もあって、そんな緩急が印象的でした。

7景 藤川菜緒
ソロ景でしたが動きいっぱいで表情も多彩、感情表現を身体表現に乗っけるのが上手いなーと感じました。前からずっと「踊り上手いな〜」と感想を書いていた記憶がありますが、ワザ以上に気持ちが乗った踊りが毎回アップデートされてるな、と感じます。あと鍛えられていないとできないであろう大きな動作・難しそうな動作を実に軽やかにやってのけるのがすごいです。お盆の上では優雅な表情を浮かべながらも、ずっと腹筋キープな時間もあったし。
どこか深閑とした森の中にいる小さくて活発な妖精の、天真爛漫さやその影の部分、でしょうか。そんな演目に見えたんですよね。

8景 徳永しおり
衣装についてめっちゃ雑な表現をすると、「小林幸子もびっくり」。赤を基調にした、ずいぶんとスケールの大きな衣装、というか舞台装置で登場です。ダンサー陣の衣装との調和も見もので、全てが赤の世界に誘われます。
タイトルがとても凝ってます。たぶん他ジャンル作品の元ネタはないんじゃないかなと思うのですが……聖書モチーフであることは明らかです。赤ってなんの赤なんでしょう。血の赤、バラの赤(赤バラは愛・殉教・受難の象徴でもあったり)、聖書でいえば罪の色も赤。テーマが深い演目です。曲もわざわざオーバーダビングを使っていたはず。今年最後の演目にチカラ入ってました。
ソロシーンではたぶん今年初めてせり上がるお盆を見たんじゃないかな。その上で踊る徳永さんはまさに神々しい。均整のとれた身体、かすかな笑み、大理石彫刻のようでした。最後、お盆に乗って戻っていく道中、戻ってから幕が閉じるまでの間も、ずっと目が離せない。

フィナーレはこの公演が今年最後の公演になることからか、がっつり冬を意識してます。ウチの地元の雪まつりで「ミス雪の妖精」的な感じで出てきそうなコスチューム。わかりやすい選曲もまた親しみやすくていい感じです。クリスマス頃に見ると、また感動するんだろうな。そう思うと2ndも3rdも楽しみです。

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