1stからの引き継ぎかたを考える 浅草ロック座2020 10月公演 「STEPS ON BROADWAY 2nd season」

1景 安田志穂(以降敬称略です)
1stでは小宮山せりなさんが超絶技巧エアリアルを見せた演目でしたが、2ndでは安田志穂さんが引き継いでいます。安田さん、エアリアれるかただったんですね。これまでエアリアルの姿をお見かけしたことがなかったので驚きました。以前ポラ館で拝見したときに、「憑依」するタイプの踊り子さんだという感想を持っていたのですが、今回もメイン景にバックの景に、安田さんは七色に憑依を見せていました。
エアリアルは小宮山さんの演目が「動」だとすると、安田さんはじっくり見せる「静」の演目。見せどころをしっかりつくる、正統派のエアリアルという感じがしました。1stの目まぐるしい動きが小宮山さんだからこそできたのが一因かもしれないし、もしかしたらアレは危ないということで演出にアレンジが加わったのかもしれません。

2景 早乙女らぶ
言っちゃっていいですか。私が見た今回のMVPは早乙女さんです。まずグループダンスのときの踊りがキレッキレ。後の景のバックダンサーでの登場時もキレてました。あと表情も単なる笑顔という感じではなく、なんというか、目に見えてイキイキしていました。2公演ぶん見たのですが、特に2回目がスゴかった。ベッドショーで手拍子を誘導するタイミングもぴったりだったし、ブリッジの姿勢に移るときに、一瞬衣装で前が隠れそうになったのを瞬時に手でパッと払ってポーズ切り。プロの技を見ました。最後にお客さんを見ながら一緒に手拍子をするときのノリ具合が本当に楽しそうに見え、きっと会心の出来だったのではないでしょうか。

3景 ALLIY
1stで空まことさんが自身の求めていた演目を見事に演じきっていた3景ですが、引き継げるとしたらこの方しかいないんでしょうね。1stでは空さんの踊り子人生の詰まった現時点での集大成の演目という感じでしたが、2ndのALLIYさんは今まさに隆盛したHIPHOPを受け取っているというか、テン年代のHIPHOPを生きてる人の演目だという感じがしました。
グラマラスな身体を生かした演出というか、1stよりも裸体を見せていく演出に変わったものと見えます。1stで私がエロいエロいほざいていた、パーカーを着直すシーンあたりもいくらか変わっています。
あと2ndで改めて気づいたのは、バックのダンサー4人が、パーカーのフードを被ることですべての性別的な属性を消して踊っていたように見えたこと。すげーなーと。

ちなみに……ALLIYさんの衣装のアウターがどうもアリモノには見えないんですよね。バックプリントの文言は(これくらいなら書いても大丈夫でしょうか)「Only I can change my life. No one can do it for me.」ですよ。こんなにこの演目向きのものあるんでしょうか。ワッペンは外からつけられるし、もしかしてほぼ無地のものをアレンジして作っているのかな、と。

4景 藤咲茉莉花
前回拝見したのが「Femme Fatale」2ndの3景でした(大好きな演目です。今回ファムファタ3景コンビがどちらも出演してるんですね)が、今回はあのとき見たよりもだいぶキリリとしたお顔立ちな気がしました。お化粧その他の力も少しはあるでしょうが、この景にはうってつけな堂々とした感じがあります。マントを翻したり小道具を振ったりする仕草にも凛々しさがあります。指揮官として真剣な顔で踊るなかに一瞬見せる笑顔のギャップ。よかったです。

5景 雪乃凛央
今回の浅草でデビューというかたです。浅草は6月の「EARTH BEAT」以降、特色ある踊り子さんや新人・若手の踊り子さんを意識的に起用していますね。
グループダンスは雪乃さんに加えて早乙女さん・安田さんでした。この3人でいうと安田さんは雰囲気お姉さんっぽい面がありますが、やはり「憑依」の人、わんぱく感が出ています。早乙女さんはここでも抜群のキレを見せていました。何か、身体中から有り余っているエネルギーがしぜんと外に出ているかのようでした。
雪乃さんは開脚がキレイで身体が柔らかそうだと思いました。あと退場時にぴょんぴょん跳ねて戻られるのですが、そのときにおっぱいがすごいふにゃんふにゃん揺れていて、こちらも柔らかそうだなーと……。

ちなみに……5景1曲めは必ずと言っていいほど手拍子をリードするお客さんがオモテ拍でとっちゃうのは何故なのでしょう。中盤で踊り子さんが促して毎回そこでウラ拍に戻る(でまたなぜかオモテ拍に再度戻る)という流れが定番のようになってません? 確かに途中でテンポが変わったりするので難しい曲ではあります。手拍子は劇場や踊り子の要請がない限りは客の自由だとは思いますが(「手拍子と手酌はやる側の自由である」と誰かが言ってました)、SOBの鬼門なのでしょうか。

6景 楓彩
ファムファタ3景コンビのもう一方は楓さんでしたね。やはり細かい演出が1stから変わっていました。ベッドショーでの1stの桜庭うれあさんはもう少し音にシンクロさせた動きがあったように思うのですが、2ndの楓さんはその豊満な体型に合わせたゆったりした振り付けだったように見えました。ベッド着も変わったはずです。ボッティチェリの描くヴィーナスっぽい体型と言えばいいのでしょうか、これに長い裾のベッド着がよく合ってました。

7景 水元ゆうな
まず単純に、ロック座所属ではない水元さんが浅草に乗り、さらにトリを務められることにびっくりしました。過去にもあるようですね。なんかこのあたりのどの劇場に乗る/乗らない問題は混みいった(それこそ大人の)事情があるものだと思っていたのですが……とにかくいろいろな踊り子さんが浅草の舞台を踏むのって見ている側には楽しくていいことだな、と。
水元さん、カッコよかったっす。表情で魅せてくれます。口元に何度か手をやるシーンがあるのですが、毎回100%の表情、悩ましげにこちらにやる目線、たまんないです。
グループダンスでのALLIYさんもいい。メイン景もよかったのですが、こちらでも「観客を手玉に取るようなちょっとワルい女」感があり、本領を発揮されていました。水元さんとのコンビネーションも良かった。

いよいよ今年も残り3公演のようです。かくも不思議な年に、浅草ロック座公演を全部観ようと考えたのは何の因果かわかりませんが、とにかく完遂できそうで嬉しいです。ひとまずは踊り子・スタッフのみなさんが今年の興行を無事に走りきってくれることを願っています。まあ、私は相変わらず来年も全部観るでしょうけどね。

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