浅草ロック座 11月公演「夢音 DREAM ON 1st season」

前回の「DREAM ON」は2020年の年末公演。今回は祭音に対して、ドリオンを「夢音」と当ててきたんですね。なんかオシャレ。

1景は桜庭うれあさん。「今日の主役!」的タスキをかけて登場。いわゆるアメリカの卒業パーティー兼ミスコンみたいなやつですよね。”陽キャ”以外誰も楽しめないという話ですが……。
1曲めはタイトルで検索するとPVやトレーラーが出てきますよ。見てみると、だいぶディテールまで近づけたんだなとわかります。バックダンサー含めて熱演です(来年ちょうど日本公演がある、あの作品です)。そこからは同じ作品の音楽を使いながら、さらに自己肯定感の喪失から立ち直りみたいなことをテーマに絡めています。
うれあさん×ブロンドヘアに間違いなし。1曲めでは元気に、2曲めでは強いオンナを、3曲めで沈んで、ラストで自分を愛して立ち直っていく、ひとつの景でうれあさんのいろんな表情が見られて幸せ。とくにベッドショーから履いている黒のブーツ、カッコいい。

2景はロック座所属ではない虹歩さんが登場。過去にも乗られていたとのことですが、私の観測範囲では主に外部からの来演は東洋ショー所属のかたが多かった記憶で、よく関東圏のロック座以外の劇場で乗られている(=私がよくポラ館で目にする)虹歩さんが乗るということでずっとワクワクしていました。
果たして虹歩さんのソロ景……最高でした。せつなすぎて、私にはとても抱えきれませんでした。
幕開きの時点でお衣装が素敵。完全に古い洋画の世界のコーディネートなのに、虹歩さんならバッチリ似合っちゃう。かぶってたスカーフを使った表現も味があっていい。脱ぎタイム中にキャンドルの灯りだけがぼんやりともるステージの上。とにかく雰囲気がある。
3曲構成の演目ではあるけれど、とてもゆったりとした時間が流れているような気がした。ラストがJ-POPなのは、虹歩さんも演出に加わって出たアイデアなんじゃないかと勝手に推測。何度か見ているポラ館での虹歩さんの印象では、最新の曲を中心に日本語ポップスを踊りこなすというイメージがあったので。J-POPって何がいいって、歌詞により感情が乗る(英語詞はそもそも勉強しないと聞けないし)じゃないですか。ズルいですよね……ラストだけ日本語詞をじっくり聞かせる展開は。そこに、日本語詞の感情をこの上なくうまく踊りで伝えられる虹歩さん。そりゃ抱えきれんって。泣いちゃいますよ。

3景……いや、余韻、余韻!! 私いま、うるうるしてたんだけどな。と言いたくなるようなコテコテにいやらしい演目で緩急つけるのも浅草のいいところだと思ってます(ここで涙を拭く)。
今回の公演はうれあさんのパツキン祭りなんですか? いっぱい見られて嬉しい。海外のストリップクラブっぽいモチーフなんですかね。複数人がただエッチな見せかたをするためだけに身体を動かす、この気まずくてエロい雰囲気がゾワゾワしてしかたがない。
水戸かなさんのベッドショーでは、出ました椅子。今年春の「ECSTASY⑥景」で私は学んでしまったのです、「椅子を使ったベッドはエロい」と。そしてやっぱりその通りだった。今回は椅子の脚からこちらを覗きこむ水戸さんが好きかな。どんなアングルからでもエロを逃さず見せつけてやる! って感じがして。
あとライトがふんだんに使われていて場内がだいぶ明るかったのも、ポラ館のポラロイドショーのときの気恥ずかしさに似たものを感じて、なんか嫌なようで嫌じゃない、むしろアリ。

4景の早乙女らぶさんは前回ドリオンのリバイバル演目。群舞の振り付けは前回を踏襲しているのかな。今回はALLIYさん、手下役なんですね。前回はバックの踊り子さんはティンカーベルだったような記憶があります。ちょっと手下より背が低いらぶ船長もいいなあ、なんて思って見ていました。今回のらぶさん、初めから終わりまで表情はキリッとしています。「ECSTASY④」でも書いてますが、らぶさんは目もとが涼しくて、イメージはロリ系ながらもカッコいい表情もサマになるのがいい。群舞で前盆まで出てくるらぶさんの、ゴリッゴリに”攻めた”目が良すぎる。
ベッドショーに入ってもキリリとした表情は変わらず、ポーズ切りへ。これもまた予備動作やポーズのアレンジの具合がいいんです。移動盆に乗って戻っていく背中が、こんなにカッコいいことってある?

年末公演恒例、幕間の映像はロック座フィナーレ集。今年は同一公演3シーズン構成が多かったこともあるのか、前後半制ではなく今回公演で全部見せる形式になっていた。次回から各踊り子さんの来演シーン集になるとか。「愛あればこそ」では川上奈々美さんの引退があったなあ、「Day Dream」のフィナーレよかったなあ、アレコレ思い出しているうちにすぐ10分経っちゃいます。もう年末か……。

5景は踊り子全員集合。鼓笛隊にチアリーダーの雰囲気も合わせたようで、ポップでいい群舞。スネアの担当は……あれ、南まゆさん。いや、まゆさん年初の「電⑦」でギターソロ弾いてませんでしたっけ? こうなったらベースとボーカルもやってみませんか。ロック座のスタッフさんなら全部合成してまゆさんだけで「ひとりで●●演奏してみた」動画を作れるはず。来年の幕間映像に期待です。
メインは前田ののさん。ベッド着がとてもお上品。去年の年末公演「Re」のフィナーレの雪の精っぽい衣装を思い出す。今年はベースに赤、アクセントに白のコントラスト。クリスマス景をここに持ってきたんですね。私が見た日はリボンさんがいて、白いリボンがさながら雪のようでとても綺麗でした。ののさんは曲に乗せたポーズ切りのテンポの良さがいいですね。最後にお尻をぷりんとさせるあいさつもかわいいじゃないですか。

6景はALLIYさん。南まゆさんとのコンビダンス。白・青のALLIYさんと白・黄のまゆさん。青と黄色、わかりますね? これまでも「ECSTASY⑦」でそれっぽい演出ではないかと書いたことはありますが、今回はより断定できる演出。思えば「ECSTASY」の頃に始まって、もう半年を超えるのですね……。
ふたりの仲睦まじい様子をあやとりで表現するシーンが素敵だ。ふたりあやとりって平和でいいですよね。連帯とか平和を表現するとてもいい比喩な気がします。
ALLIYさんのベッドショーでは、笑顔の中に時おり隠れた真剣さが出てくるのが印象的でした。こんなにも表情の複雑さを出すのがうまい踊り子さんだったのかと改めて気づかされました。

7景は南まゆさん。バックにはダンサー4人と虹歩さん、前田ののさん。……ロック座の流派に虹歩さんが交わっていることに勝手に感動している。1曲めのようなダンスは虹歩さんにとって得意中の得意なんじゃないでしょうか。体幹すごい! 片足で立ったり、左右に強く体重をかけてもまったく軸がブレない。ダンスの中でテンポを刻む感覚の鋭さに感動。ロック座メンバーの群舞でも人によって同じ振りにも細かな違いがあって、その違いを感じるのが楽しみな私にとっては、今回虹歩さんが入ってさらに多様性が出たことが嬉しかったんですよね。
アクティブな群舞から、まゆさんのソロに入ってやがて動から静へ。お盆に向かう途中の弓を弾く動作がかわいい。私のほうにも一本飛んできて、思わず「うっ!」ってリアクションをとってしまいました。ベッドショーは動きに緩急があったのが印象的で、躍動感あるポーズ切りだったように思います。

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