浅草ロック座 2023年2月公演「FEMME FATALE 2nd season」

1景は大見はるかさん。群舞では、メインの大見さんは、ハンマーを持つ藤咲さん・バットを持つ真白さんのクールさと同様に、やや控えめな印象に(原作比で)見えました。むしろ3人とも表情控えめなぶん、むしろ狂気を感じるというか。
大見さんのベッド着は1stとはけっこう大きく変わっていたはず。3rdまでかけてトータルで映画の世界観を表現しようとしているのかな。身体にタトゥーシールを入れたりしていて力も入っている。映画でのマジ●チじみた顔はやや抑えているけど、見下すときの目の感じやポーズ切るときの挑発的な感じは大見ハーレイクインの本領といった感じ。
安易な表情芸にしていないあたり、演出に品があると言うべきか……などと思っていたら! ラストの中指立てポーズまで激しい表情をとっておいたってコトじゃないですかね。うまい構成だ。

2景は木葉ちひろさん。原作よりもいささか肉感的でドキッとする。役柄上、目もとをはじめ、メイクがややしっとりめだなという印象が前半ではあったのですが、3曲めの途中から急に目ヂカラのギアが入った感じがしたんです。ベッドショーの動き自体も曲にノっていく感じの激しさを感じて、矢沢ようこさんの1stとはまた別方向の強さを感じました。
考えてみれば、本舞台での優雅な舞からはじまって、ラストではバラを握りつぶし、もぎ取るほどの激しさにたどり着く訳ですよね。ここまでの感情の変容にいたるスイッチとしてあの目ヂカラがあったのかな。
フィナーレではMCもされていました。1stのちょいフシギ路線を継いだ木葉さんのメンバー紹介も楽しくて好きだったな。

3景は前田ののさん。西園寺瞳さん→前田さんというリレーは昨年夏の「祭音」③景でもありましたね。着ぐるみ(ってか麻袋か?)が着れる身長・体格でのキャスティングでもあるのでしょうか。(あとデビューの月日が同じ6/1とか)
やはり着ぐるみ役のののさんに合わせたやさしい群舞。真白さん、藤咲さん、ALLIYさんのダンスもやさしめになっているのが何だか新鮮。全員もっともっと激しくも踊れるメンバーなのがなおさら面白い。
ののさんのソロシーンでは、瞳さんがモチーフにしていたキャラの雰囲気は衣装で部分的に継ぎつつも、全体的なテーマはそのキャラ(=敵役)と対決する、同作品の主人公のほうになってます(ガイコツのあいつ)。……ん? どういう世界観なんだろう。あの映画全体を表現しているのだろうか。
↑感想を色々読んでいたら、「彼はきっと、ジャックになりたがっていたんだろうね〜」という澄んだ心で解釈されていた方がいて、 “それだ、素敵だ”と思いました。
1stで印象的だったライティングの演出も形を変えて継承されてます。前回からどう変えようか、すごく悩んだんじゃないだろうかと思うような工夫の具合。今回もとてもよかったです! 何より、演出がエロさをそそる方向に改良されているのがいい!

4景に鈴木千里さんは納得の配役と言わざるを得ない。黒髪の襟足が長めに残ったヘアスタイルもいいな〜。背中開きのドレス、美しいよな〜。1stでは初見時のインパクトにただただ心を支配されていたのですが、2ndになってやっとその完成された作品に浸ることができた気がします。なるほど、ALLIYさんと木葉さんは「千里さんには叶わんなぁ」的な立ち位置だったのですね。そして1stでは赤西さんに、2ndでは千里さんに軽くあしらわれるダンサーズがかわいらしい(回によって変わるけど、私は気絶するみさきさんと色気づくう〜さんがめちゃくちゃ好き!)。
ベッドショーの後半2曲は1stから変更になっています。1stではスタンダードな楽曲2曲の構成。今回は後半1曲めがいわゆるエレクトロスウィングの曲になっていて、洗練されている感じ。1stが優雅さを出していたとすれば、2ndはとにかくオシャレ、瀟洒。千里さんの振りは曲にバッチリ合わせるところとゆるやかに合わせるところの微妙な違いを感じさせるところがすごい。カッコいい。
3rdは誰が継ぐの? つぐみさんかののかさん、はたまたすわんさんか。後半2曲はどうなるの? 気になることがいっぱいの景だ。

5景はALLIYさん(メイン・ブルー)、大見さん(グリーン)、前田さん(ピンク)、木葉さん(パープル)、千里さん(オレンジ)で構成される浅草キャッツアイ。大見さんと前田さんは踊りも表情もかわいめ、千里さんはいつも通りのクールめ、ALLIYさんと木葉さんはその中間といった雰囲気。千里さんがやるとニャンコの手もまたカッコいい……。大見さんはカッコよくもかわいくも振る舞えるタイプだけど、この景は終始笑顔が炸裂していた。そしてこの(大見・千里)コンビ、群舞の途中で何か勝負してません? にらめっこ? 群舞ハケるときの競争? 何かにつけてキャッキャウフフしてませんか! いいないいな、おれも現世では功徳を積んで、来世で千里さんと群舞でイチャコラできるようになるんだ。なるんだ。
ALLIYさんのベッドショーはあのパンティ何ですか? Tフロント的なやつ? ド直球にエロいALLIYさんのベッドを久々に見たような気がする。肉付きのいい体と超厚底ブーツで見栄えピカイチ。ラストの大開脚は壮観。厚底とたくましい肉体のなせるワザだ……。

6景はしっとり景マイスターな藤咲茉莉花さんのソロ。彼女にしか出せないイノセンスを存分に生かした演目になってます。ののさんとの視線の交錯もいい。1stの無邪気さに比べると、どこか落ち着いた物分かりのよさも感じさせるようなコンビだ。移動盆で客席に向かってくるとき、1stでは途中までふたりで座っていたのが2ndでは藤咲さんひとりになっている。
藤咲さんのベッドショー、微笑みと目を伏せるときと、表情に微妙な違いを作り出しているように見えて、そこがすごいと感じます。立ち上がりの曲はミュージカルで使われているものですが、厳しい現実に向き合って生きていくか、それを逃れるための空想にすがるか、というふたつの意識の間での葛藤を描いた、ざっくり言うとそんな曲ですが、心の内なる静かな葛藤を見事にベッドショーに表現しているのではないかと思います。

7景は真白希実さん。前回書いたように、ベースになっている2020年の「STEPS ON BROADWAY」⑦を実際に踊っていたのが真白さん。
群舞では、ここでも大見さんと千里さんがちょっと戦っている様子。タノシソウダナー
真白さんはミュージカルっぽい演目はとくに似合っていてカッコいい気がする。ステップがキマってるんですよね。そういう意味ではファムファタのフィナーレのいちばん最後、真白さんがお盆から右に左に大きな振りで踊りながら本舞台に戻っていくシーンの躍動感もとても好き。
ベッドショーでは小道具でハットが追加になりました。これだけで1stとはガラッと印象が変わりました。脱いだりかぶったり、手で触れたりするアクションがポーズ切りの前後でいいアクセントになってます。見た目にもポーズ切りの際に髪が乱れなくていいのかも。

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