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浅草ロック座 6月公演「Daydream 3rd season」

笑顔は子ども、ダンスはオトナ、その名は……

そんな1景は中条彩乃さん。前回は昨年末の「Re」⑥景なので、なんともう半年ぶり。
群舞で見せる笑顔がこの日はなぜかとても子どもっぽく見えました。無邪気、というのでしょうか。でもダンスはとても大人っぽくキレとしなやかさを兼ね備えていて、なんかそのアンビバレントな感じが新鮮。笑顔から意図せず漏れる幼さと振りの美しさ大人っぽさのギャップ、なんだかクセになる。
そしてベッドショーでは……オトナでした。3曲目のポーズ切りがすごい! ポーズからポーズへの流れるような動きのよさ、脚を開く前に腿にいちど触れるところなんてなんだか観客と呼吸を合わせているよう。で、立ち上がりの4曲目ではノリのいい曲調に合わせてロリみ復活。ラストは楽しく! 戻っていきます。

何とは言いませんが、すごく揺れてます。何とは言いませんが

2景は有沢りささん。前回の来演が2019年だったようで、ポラ館でも拝見したことがなかった私は初めてです。赤西さん・矢沢さんとのトリオは1stにも2ndにもましてアダルト度数が高まってませんか。エロスダダ漏れな3人の群舞です。動きのなまめかしさに加えて、やっぱり表情がいい。喜怒哀楽のどれかにがっちり寄るのではなくて、たぶん「喜」と「楽」なんだろうけど、その曖昧なあたりでただうっとりするような感じ
そして有沢さんのソロシーン。いや、何とは言わないんですが、すごく揺れています。何とは言いませんが。お盆に向かっていくとき、そしてお盆から戻っていくとき。お盆からの下がり方があんなエロいって何なの!? 2回以上見るつもりのかたは、どちらかでお盆〜本舞台の間の席に座って見てほしい。

「60日間おどりつづけたキツネ」って絵本になりそう

3景は「Re」シリーズ皆勤賞のタフネス赤西涼さん。大変ですよ、赤西さんが浅草ロック座にいる間に、東京は梅雨に入って、そして梅雨が明けました。……タフネスとはいえ、さすがに色んなところで色んな無理をしながらだと思うので、やり抜いてゆっくり休んでくださいね(投稿ツイにいいねを頂くのでここだけでも読んでいることを信じる)。
1stや2ndではこれまで、キツネ衣装の美しさやその衣装から出た手指の振りのしなやかさがスゴいという話をしました。今回も巫女装束になったときのウエストの細さに改めてビビるなどありましたが、いちばん印象に残ったのは(主にベッドショーでの)視線や表情。もちろんほとんどの景のベッドショーで踊り子さんが客席に視線をやります。ただ、3景はとくにその回数も多い気がしますし、濃度とでも言うのでしょうか、赤西さんのひとつひとつの視線送りにメッセージがちゃんとあるのが見えるんですよね。それがいいなと思います。

YAZAWA×ののか、どっちになりたいか……いや、どっちにもなりたい

そんな4景です。群舞は矢沢ようこさんとののかさんがメイン。矢沢さんの雰囲気は、いつかのフラメンコ景(2020年「EARTH BEAT」④”アンダルシア”)を思い出させるダンディーさ。こういう雰囲気が本当に合います。そしてののかさんは男装っぽい(”中性装”とでも表現できるかな)と思うのですが、これももう、たまんないっす。なりたい、なれるもんならなりたいです。
矢沢さんのベッドショーでは、細いながらも強い芯の通った彫刻のような身体に毎回目を奪われます。ポーズ切りに耐える腹筋や背筋や脚の筋の均衡、こうしたものも全て見せてのストリップだと教えられているかのようで。黒光りするドレスも含めて、本当に彫刻のようでした。

これは、牛……?

5景。スタッフ(?)による二つ名遊びがさらに進化している。いや、赤西さんは「酔拳」から退化しているのか……? そして準メイン徳永しおりさんの「堕落した牛」。ご本人曰く”遊戯王の下級モンスターみたい”。「強欲な壺」「音楽家の帝王」「堕落した牛」……確かに、ねぇ。初期の下級カードのネーミング感はある。場に闘牛士が召喚されると攻撃力上がりそう。ののかさんに至っては「童貞」。なんか雰囲気で攻めるタイプの大喜利の回答っぽさがあって逆に好き。
徳永さんの”牛”は衣装が力作とのことなので下調べしていくといいかも。私は牛じゃないところまではわかりましたが帰って調べました。ここまでカワイイ雰囲気に振った徳永さん、浅草ではSR? SSR?
メインは椿りんねさん。ベッドでは下半身のむっちりさにドキッとしてしまいました。”自分に重ねて演じている”という3曲目から拳銃を使った4曲目。拳銃は「春のBANGまつり」(昨年「FLASH」④)以来でしょうか。振りかざしても見映えがするし、アレのメタファー(ほぼ直喩ですけど)にもなるし。りんねさんの客アオリのよさもあって客席全体が盛り上がる景になってました。

あの体育座りのキマってる感はバスケ部じゃないですか

6景はののかさん。ここでののかさん、納得! 今回はだいぶダンスの素養があるオタクとみた。たぶん部屋でひとりでYouTubeを見たりして踊っている。クラスメイトに見つかっていないだけで、センスは確実にあるタイプのオタク。たまにいる天才肌。
とはいえ、オタクムーブはちゃんと(?)残っていて、妖精が触った手のにおいの嗅ぎかたとか、手をつなぐ前のゴシゴシとか、ののかさん流オタク観がよく出てるのかな。
ベッドショーの表情の陰りはどういうことなんだろう。オタク時代の意識が残っている世界線なんだろうか。1st、2ndのときも深い景だっただけに、考える余地がドンドコ出てくる。立ち上がりの曲(4曲目)の前にちょっとだけ笑顔が見えて、ポーズ切り中は微かな笑顔。3rdのベッドショーの主人公は、オタク君でも妖精でもないのか、それともオタク君であり、また妖精でもあるみたいな話(集合自我みたい!)なのだろうか……そんなことを微かな微笑みからえんえんと考えています。

怠惰な牛ってブラック・マジシャンに進化するカードなんですね

7景は徳永しおりさん。1stと2ndはフレッシュな顔ぶれでの7景、そして3rdは”7景の女王”の登場。どちらも楽しいですが、徳永さんの雰囲気を見込んでの群舞のつくりだったのかなと思うくらいに7景でのアンニュイな表情が合ってます
3曲目4曲目は新曲で、ちょっとドープな雰囲気に変わっています。本舞台の引き割り幕が閉まるキッカケがしおりさんのムーブなんですが、これは3rdで初めて見たような。このムーブがあることで、”観客の前に出ていた”群舞←→ “部屋でひとりになってる”ベッドショーみたいな話になってるのかなと想像できました。群舞の雰囲気を最後までつなげた感じで、曲と振りもぴったりでしたね。

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