6景のくまになりたい人生だったな… 浅草ロック座12月公演「DREAM ON 3rd season」

1景の木葉ちひろさん。ここまで1st,2ndとベッド着にバリエーションが出ていた景ですが、3rdもまたベッド着はこれまでと違ったものでした。キャプテン感ある服を羽織りながらも、中は下着のみ身につけていたのが独特でした。髪を半分だけ編み込まれていたのがカッコいい一方で、ポーズを切る間にフワーッと舞う長い髪(色合いもまた良いのです……)には色っぽさを感じたり。まさに木葉さんだからこそできたキャラクタなのではないかと思います。もともと目ヂカラのあるかたという印象なのですが、今回は真剣な目つきのあとで高笑いのような笑みを見せるところが絶妙に似合ってました。
群舞メンバーではとらわれの高崎さんが海賊たちに囲まれてぐるぐる回られているときの「何なんこの人ら……」的な表情が個人的にめちゃくちゃ好きです。あと木葉さんソロにいくまでのお着替えタイムでは海賊役ダンサー4人がいきいきしてたのよかったな。

2景の羽化は1stや2ndより時間かかったな〜。一言でいうと、羽化の粘っこい感じがものすごくよく出ていた景だと思いました。演目タイトル的に虫がモチーフなのでしょうが、何かもっとねばーっとした、動物の出産時の粘膜や粘液を想像するような景でした。友坂麗さんの、ネットに包まれたときの華奢さを感じさせない動き、そして這い出たあと本舞台から盆までのストロークではとにかくじっっっくり見せます。そう、そう! 生き物ってこの感じ! 再現度高い!
ベッドに来てもすくっと立ち上がるようなベッドショーではありません。ここも姿勢低く、生まれたばかりの生き物が四肢を使うか使わないかという動きまでリアルに表現される徹底ぶり。わかりやすくポーズが切られて拍手喝采、という景ではないですが、静かに圧倒されます。
あと友坂さん、口紅がラメ入りだったんじゃないかな。体に巻きついたものと呼応するようにくちびるもキラキラ輝いていて綺麗でした。

3景はまたしても新演出が。大見はるかさんは髪色が明るめなのもあってか、これまでの人妻感・幼妻感というよりはどちらかというと”職場のアイドル”っぽい雰囲気がありました。そこで新演出がいい感じに働いてるんですよ! 大見さんの溢れ出るアイドル感をあえて抑えるためのひと工夫なんじゃないかと推測。と同時に、今年の浅草の大見さん演目をみていた人には楽しい仕掛けにもなっていて、この演出はさすがだなと思いました。
群舞に登場する黒髪ウィッグの星崎さんがこれまたかわいいのも見どころ。

4景はブロンドに戻った星崎琴音さんの出番。2ndでは赤西涼さんでしたが、「Peace Love Rock」のときも同景担当でしたよね(3景Vol.1星崎→Vol.2赤西)。醸し出す雰囲気が似ているのでしょうか。そしてPLRのときも3景にはバラが出てきたような。
2ndの赤西さんは踊りに品があって……という話をしたと思いますが、星崎さんはなんでしょう、身体から発される天然の“お嬢様感”ありません? 洋風なお顔立ちもあるのかな。カラフルな男性陣に言い寄られる星崎さんの表情のかわいさがたまんないです。

5景は阿部乃さんのショート演目ですが、1stや2ndに比べて着物がどピンクで激しくなってました。いたずらっぽい笑顔の演目で似合ってるなと思ったのですが、阿部乃さんがよく生かされてる演目なら、次に書く6景も同じくらいよかったなと思います。

6景。3rdではいよいよミニツリーが登場して、さらにコミカルな景になってました。やはり高崎美佳さんの良さにあふれた演目ですね。群舞ではアベノ女王様と並んだとき、普段の見た目やお顔の印象とは違って高崎さんが年下に見えてくる不思議。群舞のロリィタ、ソロのゴシックで衣装とともに振り付けの感じや立ち居振る舞いをあそこまで変えられるなんて。ロリ崎さんが肌身離さず抱えているテディベアになりたいと心から思いました……いくら力の限りギュってされても無力なくまの助、しかもときに腕を強く引きずられたりぞんざいに扱われるくまの助、その日の気分によって呼び名さえ変わるくまの助(くま三郎)。最高じゃないですか……

7景を3rdでもう一度見直すと、2景と対になっている印象を受けました。2景は羽化をモチーフにしていますが、この景では森の中の開けた草地で気ままに遊ぶ妖精が、最後にそれこそサナギにでもなっていくような、なにかに還っていくような雰囲気があります。
武藤つぐみさん、4景での星崎琴音さんとのやりとりも絶妙で(3rdの関係性だと、育ちが良すぎて世間をあんまり知らない星崎お嬢様とそのあまりの品の良さに惚れてしまったウェイター武藤、的な想像をしてしまう)、マジで両性具有な存在なのでは? 天使か? と最近は疑ってしまいます。

8景はデビュー即引退となってしまうのがあまりにも惜しい阿部乃みくさん。板付きの幕開け時はその体格の小ささがはかなげな雰囲気を出していて良いと思ったのですが、ダイナミックな場面に変わってからも腕や肩まわりの筋肉がしっかりしているので見栄えがありました。脚もきれいで、ポーズ切るときに上げてるのもサマになってます。引退はもったいないな……ストでやっていったらどうですか? と思う(気軽にそんなこと思っちゃって申し訳ない)くらいの演目を見せてもらいました。

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これにて2020年の浅草ロック座演目を全部観たことになるのですが、「一年通して観ていても、ストリップって全然飽きないな、すごいな」というのが振り返っての感想です。
まあポラ館の踊り子さんを観ていても、浅草のような大規模館で観ていてもそう思うのですが。もちろんその裏には踊り子さん自身の想像力やそれをカタチにする練習、浅草なら製作陣の方々のサポートもあって、初めて飽きずに観ていられるんですよね。改めてそのお仕事にお礼を言いたいと思いました。ありがとうございます。

仕事や世の中の雑事を忘れてストリップを観ていられる時間は自分の生活の中で本当に貴重です。来年は公演が滞ることなく行われる一年であることを願います。

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