浅草ロック座 4・5月公演「WONDERLAND 2nd season」

1景は1stから引き続き武藤つぐみさん。ポラ館でも似た曲調の演目を見たことがあって、つぐみさん好みの選曲や演出なんだろうなと思う(たまに思い入れが垣間見えるツイートとかもしてた覚えがある)。今回見たときは曲と曲の合間に武藤さんの息づかいが聞こえてきて、とてもよかった。拍手をもらう技のタイミングや動きが若干変わったのだろうか
今回の小道具でのエアリアルについて、過去公演の写真集を見ていたら、前回「WONDERLAND(2018)」でも同じ道具を使っていた様子が出ていてびっくり。初出じゃなかったのか。

これは余談なんですけど、わたしが初めて行った浅草ロック座に出ていたのがつぐみさんだった。そこから主に浅草、まれにポラ館で拝見してきたけど、なんというか、すっかり独特な個性が出たなあと思って舌を巻く。(今の社会でいう)女性性を志向していないことは明らかだと思うのだけれど、だからといって単純な男性性を志向している訳でもない。踊る身体のしなやかさに見た感じの華奢さ、そしてエアリアルのたくましさ。昨年の「DREAM ON」なんか両性具有っぽさが出ていて若干近いものを感じたけど……「武藤つぐみ」という個性、だとしか表現できないよさ。

2景はmicoさん。昨年秋の「STEPS ON BROADWAY⑤景」が浅草初乗りで、以来2回目。わたしはその間に栗橋で一度見ている。興味のあるテーマをうまくストリップのサイズや形式に乗せる翻案能力というのか、変換能力というのか、とても高い人だなという印象。あとポラタイムのテンションがちょっとエキセントリックで面白かったのが思い出される。
『鏡の国のアリス』のトゥイードルダムとトゥイードルディーのモチーフからの冒険的な連想の景。2曲めの、本舞台から移動盆に乗っていわゆるデベソに行くまでの動き。あれって踊り子さんの裁量で振り付けが決まっているのだろうか。1stの前田さんとはまた違った、micoさんっぽいコミカルさが出たいい振りだった

3景は木葉ちひろさん。昨年は「Muse③」「PEACE LOVE ROCK②」に出演。メッセージ性の強い演目に起用されている印象。振りがきれいで、ヒップホップのグルーブの中でも美しく踊れる人だなあと思った。1stの中条さんは可愛らしいキャラでグラマーな身体だったのに対して、2ndの木葉さんはセクシー路線のスレンダーボディだなと思った。ベッドショー始めのTバックで踊る木葉さんがエロいエロい
服装では、蛍光色のアクセントがいろいろな場所に施されていて、1st以上に全身で統一感が出てたんじゃないかと思う。綺麗だったな。

4景は1stから引き続き沙羅さん。やっぱり今回の4景、何回でも見ていたい。沙羅さん自身から感じるいつものクールさ、しなやかさは生きていて、それに演出によって高貴だったり高飛車だったりな感じが掛け算されてるのがもう最高! 「心のどこかで期待している沙羅さん像」みたいなものに刺さったんだと思う。もっといろんなレパートリーでやってください。お願いします。1曲めみたいなジャンルで踊る沙羅さんをまず見たことがなかったように思うので、新たな魅力にウキウキでステージ写真を買ってしまった。羽根扇を使っていることで、しなやかさだけじゃなくて踊りに強さとか大きさが出るのもよかったのかも。
トランプ兵たちに支えられながらのっそのっそ歩くクイーン沙羅さんがなんとも言えずよかったな……。あとは沙羅さん衣装テイクオフ時にトランプ兵と庭師がアドリブ込みで遊ぶところも好き。

中休憩で次回のキャストを見てビビる。みんな大好きなんですけど! ちょっと早めのオールスター戦じゃないですか。今回公演でもまだいろいろな感想が頭をぐるぐる回っている状況なのに、次回「PEARL 1st」は行く前からおかわり決定かなとかいろいろ考えてしまう。

5景は踊り子全員出演の最初の群舞も見もの。今回は、南まゆさんの雰囲気がすごくいきいきしていて笑顔が印象的だったvsつぐみさんのプリンス憑依(?)のクールさ、のコントラストがすごくよかった。
ソロは赤西涼さんが担当。最初「あれ、本当に赤西さん?」と一瞬迷ってしまった(白ウィッグだし)が、お盆に着いてからの手振りのしなやかさで「やっぱ赤西さんだ!」と気づく。それくらい赤西さんの手の振りのしなやかさは特徴的。群舞で他の踊り子さんにまぎれていてもすぐに見つけられる。手も脚も細くてしなやかで、ポーズを切りながら手振りのキレイさでもう一段階魅せるところがすごいと思う。

6景は広瀬あいみさん。1st浜野蘭さん→2nd広瀬あいみさんのこのライン。なんかこの人選、わかる〜と勝手に得心してしまった。芸が細やかで、過剰な演出を加えなくても、身体の使い方や雰囲気で猫が表現できるひと。わたしは19年にポラ館で一度拝見して以来。いろいろ情報をあさっていると実に9年ぶりの浅草なのだとか。9年ぶりなんてもったいないくらい。本舞台で踊る艶かしさとベッドショーでのパワフルさ、硬軟おりまぜた驚きの表現力。
1stでは衣装テイクオフ時のことを書いたのですが、

“衣装テイクオフ時には、後ろから照明を当てられたそのシルエットがとてつもなくエロい。どう影になるのか完全に考えられた服の脱ぎかた。 ”

ここたぶん前回から若干の工夫が加わってるはず。ライトの前側で服を脱ぐ時間が長めになったような。そして帯を客席側に投げ出したりするアクションが加わっていて、前よりもなんか立体感が出たように思う。

7景は南まゆさん。昨年は「騒 -Roaring-⑦」「Muse⑦」「PLR⑧」と大活躍、今年も年初から「響〜Touch Your Heart〜⑦」に出演。モンディーズからもう4か月も経ちますか。
まずは群舞のときの衣装。1stの琴井しほりさんのときは意識していなかったけれど、カラフルな服装の生地がたぶんビニール地っぽい。ライトの反射具合も特徴的で目をひく。件の写真集を見ると、どうやらこれも前回の「WONDERLAND」からの流用アイデアのようだ。
南さんのベッドショーは、これまで見てきた南さんの演目のなかでは、わたしには一番表情とか雰囲気が良かったように映った。アリスのイメージと南さんのイメージとがシンクロ率高めにも感じた。細かな手の動きもうまく言葉にできないけど、いつも以上に良かった。
ラストの曲がガラッと変わったのには意図がありそう。いかにも「歌詞に意味がありますよ」と言わんばかりの選曲じゃないですか。単純に思いつくのは昨今のストリップ含む性風俗業界に対する社会的圧力の強まりだったりするんですけどね。考えすぎ? でも楽日は広島第一劇場の営業最終日でもあるんですよ? 大きくて楽しい劇場だったな、取り壊しは決まったけどフィルムの形(「彼女は夢で踊る」)で内部の様子が少しでも視覚的に残ったのは何より……とこの話はどこか別の機会に。

フィナーレもつぐみさんに注目してしまった。美男子つぐみ姐さんが美女たちとお戯れになっているところいいですよね〜。思わずグッときてしまう。MCもキレッキレで最高だった(と書いたあとで16日現在、体調不良で休演されているというお知らせが。くれぐれもお大事にどうぞ)。

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