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おいしい、は優しくてフラジャイル

去年の夏、高校卒業以来一度も会えないままベルギーに移住した友人が来日することになった。それで、急遽声をかけた友達数人とランチすることになった。
何が食べたいか聞くと「任せたい」という。
困った。私はハレの日に相応しいレストランをほとんど知らない。
それで、絶対知ってそうな友人に相談したところ、
「ここに載ってるお店から選ぶのいいのでは」
と送ってくれたリストサイトが「ビブグルマン」だった。
ミシュランガイドが作っているリストで「良質な食材で丁寧に仕上げており、価格以上の満足感が得られる」がビブグルマン。
知らなかった〜ビブグルマン。みなさん知ってました?

訪れたレストランの話はまたいつか書くとして(最高でした)

また別の日。
一緒に「対話的芸術鑑賞」というのを学んでいる友人が、勉強会の後の時間のため予約してくれたお店が、大層おいしいベトナム料理だった。贅沢な(リッチな)しつらえのお店ではない。でも隅々まで「好き」と「親切」が詰まっている。
お料理はもちろん、ワインやソフトドリンク(お茶など)も良くて、お野菜たっぷり、デザートも官能的。
その日そこで交わされた対話もお料理くらいおいしく、だれもが相手の話を宝物のように聞いていた。
加えてお店のお姉さんも自然で素敵で
なにげないその日が終わることがせつなくなるほど。

忘れないでおきたいと思って、お店の名前をiPhoneにメモしてあとで調べたら、ビブグルマンだった。
え!こんな場所にもビブグルマン!ミシュランガイド恐るべし。

「おいしい」は料理だけではなくて、人と空間が必要。つまり、任せっきりでは現れない。
そして、同じ「おいしい」は二度とない。

「おいしい」は優しくて、動き続ける。
フラジャイルな奇跡だ。


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