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2022年に作った曲まとめ(前編)

こんにちは。気付けばもう12月、1年が終わりを迎える季節になりました。
このnoteはTOKYO6キャラクターのファン仲間たちによるアドベントカレンダー企画「SynthVとかTOKYO6とか Advent Calendar 2022」の担当回です。

先日12/6の今年最後のTOKYO6の日に新曲『君色レター』を投稿し、2022年のオリジナル曲発表はこれで最後となります。自称ボカロPの端くれとしてアドベントカレンダーの1日を担うにあたって、せっかくなのでこの1年間に発表したオリジナル曲を振り返ってみたいと思います。

と思って書き始めていたら、6月の曲時点で余裕で5,000字を超えてしまったので、前後編に分けてカレンダーを2日間担当することにしました。

不香の花 feat.小春六花

2月6日投稿
『かれきにさいた、ふきょうのはな。』

2021年の夏頃に小春六花とSynthesizerVに出会い、その年は誰にも知られることなくボカコレ2021秋や毎月6日は六花の日で壁打ちを続けていました。
そんな自分が2022年よりいわゆるTOKYO6界隈に少しずつ露出し始めるきっかけになったのがこの『不香の花』です。

楽曲としては、これも過去に言及はしていますが、この頃より「毎月6日は六花の日」にて毎月投稿を続けていた風原さんの『Hollow snow』にインスパイアされています。

想いを払って 肩の雪を払って 煌めく街の灯を 心に隠して

風原 feat. 小春六花『Hollow snow』

別れを経て空虚になった心を、冷たい雪が降りしきる小樽の街に重ねた(個人の解釈です)この歌を聴いて得たファーストインプレッションが、

「いやうちの六花はもっと引きずるぜ???」

だったので、そのまま勢いで書き上げました。思い返せば既にこの頃から概念に狂わされていたのかもしれない。

積み重ねた日々まで 崩れ去る気がして 肩の雪さえ 払えないでいる

y.szk(きっくす)『不香の花 feat.小春六花』

うちの六花は肩の雪もまだ払えないくらい打ちひしがれている、というある種のアンサーのような詞もこれが理由です。あと個人的には、Aメロ冒頭の「氷点下2℃の空に」というワードが気に入っています。

レディ・トリックスター feat.夏色花梨

4月12日投稿
『大胆なタクティクスは乙女の特権でしょ?』

夏色花梨クラウドファンディング支援者による一斉投稿企画に参加した、花梨先輩のデビュー曲です。バチクソ強い公式デモソングやバチクソ強い非公式デモソング達に隠れてしまっているものの、音楽もMVも本格的に制作した、今の自分の活動の基礎になっている曲です。

余談ですが、自分のYouTubeチャンネルは1,000再生行けば御の字くらいですが、この曲だけ公式デモソングにサジェストされた影響か、有難いことにこの曲だけ1万再生を超えています。海外兄貴達いつもありがとう。

コンセプトとしては、なんでも卒なくこなして大人びているけれども、わがままなところもあるという花梨のキャラクター付けから連想した「女怪盗」をサウンドとビジュアルに落とし込みました。
特にイントロのキメ等、要所要所で某心の怪盗団を想起させるような仕掛けも織り交ぜつつ、自分なりのボカロフュージョンが作れたと思います。

歌詞に関しては、この曲でmonakaさんとの共作を行い始めています。
1番・2番サビは自分が書き、その他の部分を肉付けしてもらう、という流れを基本に進めていました。

逃げきって見せるわどんな不可能も スリルこそが乙女の嗜みよ

y.szk(きっくす)『レディ・トリックスター feat.夏色花梨』

この詞が自分から出てきた時に勝ったなって思いました(?)

また、ちょうどSynthesizer Vが多言語歌唱に対応したタイミングでもあったため、英語・カタカナ語の表現を多めに取り入れることも意識していました。実際のところはカタカナ発音の方がハマる部分もあったので、日英でトラックを使い分けています。Ver.1.8ではトラック分けすら不要になったんだからSynthVの躍進は凄い。

今もほぼメインでMVのイラストを描いていただいている犬のぬけがらさんにも、この曲から依頼させていただきました。花梨の制服の基本デザインを巧みに怪盗のイメージにアレンジした衣装もとても素敵で、この花梨をうちのPCの壁紙にして、毎日にやにやしています。

花笑み、ひとひら feat.小春六花

4月23日投稿
『ひらりひらり、歌よ届け。』

ボカコレ2022春TOP100参加曲です。花梨デビューから2週間足らずで新曲です。この辺りからTOKYO6界隈の音屋たちの制作スピードがぶっ壊れ始めましたね。
私の活動に触れていただいている方でもこの曲を知っている人は少ないのではないだろうか……というほど隠れているのが少し勿体ない曲です。
もとより小春六花の伸びやかな声にどこか牧歌的な印象を持っており、民族音楽、特にアイリッシュ系のサウンドが合うのではないかと思い挑戦してみました。

ほぼ同時制作だった『レディ・トリックスター』に力を入れるあまり息切れしていた部分もあり、作詞については全編monakaさんにお願いすることにしました。

編曲については民族音楽ということで、これまでと全く違ったアプローチで取り組んで楽しく作れたと思います。学生時代からアコースティックギターをメインに演奏してきたため、こうしたプレイは得意中の得意ということで、ギター録りが捗りました。

ただし、ホイッスル系の音源探しの旅は長かった……結局セールに釣られて買ったKontakt6に落ち着いたのですが、副産物として手に入れたUVIの民族楽器系マルチ音源のWorld Suite2が飛び道具だらけで面白かったので、いつか使ってみたいですね。

オレンジグロウ feat.夏色花梨

5月6日投稿
『後夜祭、花火が上がるんだって。』

5月7日に開催されたTOKYO6オンリーイベント「しおばな祭」の会場BGM企画に応募するために制作、先行でMVを公開した作品です。投稿は5月6日ですが、楽曲自体の応募締め切りが4月末だったので、4月は実質毎週1曲フル尺の曲ができていたことになります。正気か???

そんな限界スケジュールだったことに加え、企画のテーマが「初夏」「青春」「文化祭ロック」であったことから、公式二次創作の設定に基づき、花梨・六花・千冬達小樽潮風高校軽音部の3ピースバンドがもしライブ一発録りをしたら……という想定で、粗削りな演奏、ローファイな仕上げを意識しました。決して補正やミックスが面倒だった訳ではない

歌詞や主題になっている『後夜祭 花火が上がるんだって』ですが、実際に自分の母校の高校の文化祭では後夜祭で花火が上がっていました。青春や文化祭というテーマからすぐ連想したのがその時の思い出であったことから、文化祭の中でも「後夜祭」とそれに伴う「祭の終わり」という部分に意識が持っていかれたのだと思います。

華やかな祭が終わった後、日が落ちてオレンジ色に染まる世界の中で祭の片付けをしているあの何とも言えない寂しい時間を、無骨な3ピースのサウンドに乗せて歌う。これが「エモい」って奴ではないでしょうか。

結果的に会場BGMとして採用していただき、自分も実際に現地で聴くことができました。初めて参加した即売会で自分の曲が流れるという貴重な体験になりました。参加者(公式の人含む)全員が集団幻覚を見ていたような気もしますがまぁよしとしましょう。

モルダバイト feat.小春六花

5月16日投稿
『奇跡はもう、ありふれている。』

小春六花の誕生日に投稿した曲です。この曲もトップクラスの限界制作スケジュールで挑んでいたので、やはり六花は俺たちの原点なのでしょう。
元々自分の楽曲制作スタイルとして、メロディと編曲を進めてから作詞に着手する場合が大半で、詞の参考として色々調べるうちにテーマが揺れることは多々あります。
今回は約2週間前にオケが完成し、しおばな祭直後に作詞を進めていこうとしていたところ、六花の誕生日5/16の誕生石である「モルダバイト」という石を知りました。

ヨーロッパの国々では古くから「神聖な石」とされ、愛情のしるしとして恋人に贈り、二人の幸せを願ったと伝えられています。
(中略)
宝石言葉は「自由・自然行動」で、夢を現実にする力を備え、価値観に捕われないインスピレーションをもたらしてくれると言われています。

『誕生石365日』https://birthstone.i1i1i.net/

いや六花じゃんこれ。

夢を現実にしてくれて価値観に捕らわれない自由なインスピレーションだよ???SynthesizerVの人間に肉薄する歌の力で色々な歌を作る機会を与えてくれた小春六花にピッタリじゃないか……???
4月の花梨先輩デビューやしおばな祭でのTOKYO6界隈の熱量の高さに浮かされたこともあり、「概念に殴られる」ということの意味を完全に理解した結果、少し書き始めていた歌詞をまるっきりボツにしてやり直しました。

このモルダバイトの概念から連想したものの一つとして、小春六花公式デモソングの一つ、たかぴぃさんによる『AIのカタチ』があります。直前に行われた小春六花1stライブでも重要な位置づけだったこの曲に対するアンサーとしてのニュアンスも含めています。

とっておきの魔法で 奇跡に変えるよ

たかぴぃ『AIのカタチ feat.小春六花』

『AIのカタチ』で六花が歌うこれからへの希望、大切なあなたに笑ってもらうためにAIの力、音楽の魔法で奇跡を起こしたい、という思いを先述の小春六花1stライブやこの間の六花との活動を通してしっかりと受け取ったつもりでいます。

とっておきの魔法はもう要らない 奇跡はありふれている

y.szk(きっくす)『モルダバイト feat.小春六花』

小春六花やSynthVの魅力、魔法はこの一年でずいぶん広まったと思います。なので敢えて、「とっておきの魔法」は奇跡なんかではない、当たり前のものになったよ、というメッセージを込めました。
他にも、小春六花1stライブを見て情緒死んだ奴が書いてるので色々と連想する単語が入っているのではないでしょうか。ぜひ探してみてくださいね。

サウンドに関しては、小樽潮風高校の文脈において軽音部でギターを弾いている六花をイメージして、あ〇みょんのような女性シンガーソングライターの系譜に連なるJpopを意識しました。イントロでスライドバーを入れたのも多分あの辺の曲の影響です。

そしてこんな限界スケジュールでMVのイラストをどうするか。ここで泣きついたのが我らが藤堂茶路さんでした。
しおばな祭でご挨拶した翌日(5/8)に概念に殴られてマッハで歌詞をリライトし、ミックスもそこそこに仕上げたデモをスライディング土下座しながら投げつけて、構図は全部お任せにしたら5/11にはもう納品されていました。えっ何それ怖い。

なおそこから動画を命がけで仕上げて何とか間に合わせた模様。AviUtlの基礎はこの限界ムーブで学んだ(学んでない)。

ショーウインドウ・ガール feat.夏色花梨

6月6日投稿
『なりたいじぶん、プロデュース。』

この曲から、本格的に夏色花梨をメインとして起用していくことになりました。また、アイマスPとしてのハンドルネームだったきっくすに活動の名義を統合したのもこの6月からです。

花梨のデビュー曲である『レディ・トリックスター』では少し大人びた、不適な笑みが似合うミステリアスな女性としての花梨を表現しましたが、その対になる、高校3年生の等身大の少女としての側面をフィーチャーした楽曲を目指しました。「レディ」に対しての「ガール」ということですね。

サウンド面では、『レディ・トリックスター』の頃から少しずつ取り入れ始めていたエレピをフィーチャーしつつ、アナログシンセのフレーズやエレドラを取り入れることで、純粋なバンドサウンドからの脱却を試みたそこそこの意欲作でもあります。
Synthmaster Oneを手に入れたタイミングということもあり試行錯誤をしつつ、今までの自分では出てこないようなテンションマシマシのAメロのコードワーク等、おしゃれを追究したサウンドでシティガールな花梨の一面を表現できたのではないかと思います。個人的にはアウトロの盛り上がり感が好きです。


これ以降、合間に過去作のリメイク等も挟んでいますが文字数が爆発してしまうので、完全新作のみ紹介していく形で進めていきます。

後半は明日のアドベントカレンダーとなります。それではまた明日。

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