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ビユジサシンテ ~ハクフの歯ブラシ ~

作者:ハリー


 青い海、白い砂浜。大自然と一緒に暮らす島に小さな港町がありました。この港町に住んでいる人ならみんなが知っている、ちょっと変わった船大工さんが住んでいました。名前をハクフといいます。
若いころハクフは船大工の見習いだったので小さな船から、大きな船まで……これまでにいろいろな船を作るのを手伝ってきました。ハクフは生まれつき力が強く、他の船大工さんが二人で3本持ち運べる丸太を、ハクフは一人で10本も持ち運べるほど力持ちで、皆から頼りにされていましたが、力があまりにも強すぎるため、細かい道具などを使う作業は苦手でした。

「おや、どうしたんだハクフ」
「親方すみません、また砕いてしまいました」
ハクフは力が強すぎるので、いつも道具を壊す、のではなく砕いてしまいます。今日もハンマーを粉々にしてしまったので親方に謝りました。
「これで何本目だ?数えておけばよかったわい。わっははは!」
親方はいつも怒らず笑って許してくれますが、砕いてしまったハクフはがっくりと肩を落としてしまいます。
道具だけではありません。生活で使うお皿やコップ、お箸やフォーク、上手く力加減ができずいつも砕いてしまうことにハクフは悩んでいました。

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