吹奏楽 小編成の中音楽器について 後編

みなさんこんにちは!今回は小編成バンドにおける中音楽器についての後編
前編 中編をふまえて各問題点の解決方法を書いていきます。

少し長くなりますが私が長年担当してきた分野なので魂込めて書きます!是非最後まで読んで下さいね!

吹き替えについて

 中編でもふれた通り小編成では特定のパートが少ない、いないという事があり他の楽器でカバーしていく必要があります。そこで効果的なのがこの「吹き替え」です。
 例えば
・ホルン奏者がトロンボーンのパート(楽譜)を吹く
・ホルンの音が足りない、弱いのでユーフォニウム奏者がホルンパートを吹いて手伝う 等です。

吹き替えのメリット

 小編成バンドにおいて吹き替えはメリットだらけです。以前も書きましたが一般にでまわっている楽譜は大編成を前提に作られているため、小編成バンドがそのまま演奏するとどうしてもバランスが悪くなるケースがあります。「伸ばしが単音」「大事なメロディーがソロになってしまい埋もれてしまう」等よくありませんか?これらの問題点を解消してよりよい演奏づくりができるのが吹き替えのメリットと考えます。

吹き替えの注意点

 小編成バンドで非常に有益な吹き替えですが注意点がいくつかあります
①著作権の問題
  作曲者や編曲者に無断で楽譜に書かれている内容と違うことをすると著作権の侵害にあたる事があります。また大会やコンテスト等では規約違反になる事もあります。
②奏者への負担増
  吹き替えは元々休みの場面で他のパートを手伝うケースが多く負担が増えます。本来の自分のパートに支障がでないようにしましょう。
③あくまでも代用
 各楽器には各楽器の特徴や音色があります。また作曲者、編曲者の方はその楽器がもつ音色や響きを考えながら楽譜を書かれています。編成上やむを得ず吹き替えをする事があると思いますが、あくまでその楽器の代用という点はおさえておきたいです。  

以上をふまえて吹き替えに関してはあくまでも「こういった手法があります」といった感じでの紹介になりますのであらかじめご了承下さい。
私個人としてはとてもお勧めな手法なのですが・・・

吹き替え事例

 音域や音色等は各楽器異なりますが小編成バンドにとっての中音楽器は一つの集合体と考えます。お互い足りない箇所やしんどい箇所を助け合いながらいい音楽を創り上げましょう!

・ハーモニー


  ハーモニーは最低2和音を意識しましょう!
下の図は小編成バンドでよくある例です

本来はホルンできれいなハーモニーを奏でるところ人が足りず単音でののばしや刻みになってしまいます。ハーモニーがないとサウンドがとても貧弱になってしまいますね、、、
そこで吹き替えを活用し他のパートからホルンの楽譜を吹いてもらってハーモニーを作りましょう。テナーサックスでもハーモニーはできますができれば金管楽器同士でハモった方がサウンドが作りやすいと思います。

2和音になるだけでサウンドの厚みが一気に増しますので是非試してほしいです!

ハーモニーについての補足
 
トップの音(一番高い音)はこの楽器がいい!という決まりはありませんが、上からホルン トロンボーン ユーフォニウム(テナーサックス)と重ねる方が私の経験上安定すると思います。もちろん個人の技量や場面によってこの限りではありませんので是非色々なパターンを試してみてください。
 また小編成バンドにおいては必ず1st 2ndと上から音を重ねなくてもOKだと私は考えます。特にホルン1stの音は高めに書かれている事が多くホルン奏者の負担が大きくなってしまいます。負担を減らすため1stを捨てて2nd 3rdの音を吹くのもOKだと考えます(私もホルン1人の時 不要だと感じた時は2ndや3rdを吹いていました)
 ハーモニーは基本3和音で動くことが多いですが、2人で担当する場合は1つ捨てなければなりません。ハーモニーの話をしだすとキリがないので基本的には1st&2nd 2nd&3rdのように音が離れず近い音同士の方がハマりやすいです。

補足の内容については私の経験に基づくものなのであくまで参考程度にしていただければと思います。是非色々試してあなたのバンドの最適なパターンをみつけて下さい!

・メロディー

 当たり前ですがメロディーはとても大事です。小編成バンドの人の少なさを生かして各楽器でソロをまわしていくという事も出来ますが、ミスってメロディーが抜けてしまうと聞き手側には「あ~ぁ」という印象が残ってしまいます。事故らないためにもメロディーを重ねられる場合は是非重ねてあげましょう!もちろんソロが良いという人もいるので奏者の意見を尊重しながらサウンドを作る事も大事です。
 吹き替え方法はハーモニーの時と基本的には同じ考え方で

基本的には最低2人で演奏し吹き替えで助けに行くパート側に支障がでないようにする等です。

また音域やフレーズによっては同じ中音楽器でも得意不得意があるのでハーモニーの方法と少し手法が変わってきます。

高音域でのメロディー
 ホルンでよくありますが高音域でのフレーズでのメロディーは他の中音楽器ではカバーしにくい場合があります。技術的に可能だったとしても負担がかなり多くなります(トロンボーン ユーフォニウムのハイB♭付近の音が容赦なくたくさんでてきます。
 その場合はトランペットアルトサックスに手伝ってもらいましょう。中音楽器のハイB♭はこれらの楽器にとってはチューニングB♭なので負担もそこまでおおきくありません。音色も比較的近いのでお勧めです!

早い動きでのメロディー
 トロンボーンは楽器の特性上早い動きが苦手です。連符が続き難しそうな場合は無理に助けに行かなくてもいいでしょう。

・裏メロ

  裏メロについてですが小編成バンドにとっての優先度はそこまで高くないと個人的には考えます。もちろん重要な要素ですが大編成と違い小編成バンドは状況によっては何かを犠牲にしなければいけない場面がでてきます。その際にの優先順位はやはりメロディーやハーモニーが優先されます。
あくまでメロディーやハーモニーがしっかり成り立った上で裏メロがいきてくると考えます。

ホルン ユーフォニウム テナーサックスが3本で裏メロを担当しているケースでは周りのバランスを考えて、1本または2本にして他は休んだり別パートを助けに行ったりといろいろ振り分けを考えてみるのも楽しいですよ!

トロンボーンの裏メロが足りない場合はユーフォニウムがカバーするのが良いと思います(楽譜もそのまま読め音色も近いため)もちろんホルン テナーサックスでも問題ありません。

まとめ

 長々と書きましたが結論は
ハーモニーは最低2和音を意識メロディーを極力厚めに裏メロは状況に応じて人数を配置する!の考えをベースに、本来の自分のパートに支障がでないように吹き替えを活用し厚みのある中音域を創り上げていく事です。
 他のパートの動きをすることによって新たな発見があったり、周りとのバランスが考えられるようになり色々視野が広がります。

各バンドによって人数や技量が異なりますので正解はありませんが是非色々試してみてくださいね!

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