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宇佐見りん「推し、燃ゆ」

※ネタバレありません 文藝2020年秋季号に掲載されている、宇佐見りん作「推し、燃ゆ」を読んだ。 この作家の作品は初めてだった。 言語化の鬼。 あらゆる場面、心情が言葉になって自分に染み込んで、湧き上がってくる感じがする。 ある場面で、私は数年ぶりに、小学生の時に目の前で看取った祖父のことを思い出した。 静まりかえった病室のなか、祖母、母、姉、東京から駆けつけた叔母がいた。母が「人って、不思議やな。」と泣きながら呟いたことを。 アルバイトの場面でも、大学生のとき、最