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バイオインフォマティクスの資格を取るためにメモしまくる件について 構造化学編(タンパク質の立体構造を予測する方法)

タンパク質の立体構造を解明することは、そのタンパク質の機能発現のメカニズムを知るうえで大切であるが、実際、実験的に決定されている場合は少ない。
そのため、コンピュータを用いてタンパク質立体構造を予測する方法が開発されている。
立体構造予測法のうち、アミノ酸配列からタンパク質の二次構造を予測する方法を二次構造予測、
タンパク質の立体(三次)構造を予測する方法としては、タンパク質の既知構造を利用するホモロジーモデリング法やフォールド認識法既知構造に依存しない ab initio予測法などがある。

二次構造予測
ホモロジーモデリング法
フォールド認識法
ab initio(アブイニシオ)予測法

二次構造予測

二次構造予測法は、あるアミノ酸配列のなかで二次構造(αヘリックス、βストランド、それ以外)をとるアミノ酸残基を予測方法。

チョウ・ファスマン法などの初期の二次構造予測法・・・立体構造が解明されたタンパク質
を調査→各アミノ酸残基の二次構造傾向値(統計的にそれぞれの二次構造のとりやすさを数値で表わす)を求める→構造未知のアミノ酸配列に適用して二次構造を推定する

現在では、アミノ酸配列も構造が類似している相同タンパク質のアミノ酸配列の情報や、ニューラルネットワークなどの機械学習を取り入れるなどの改良され、予測精度はおよそ80%の正答率まで向上している。


ホモロジーモデリング法

タンパク質の立体(三次)構造を予測する方法

方法:立体構造が解明されたタンパク質
を調査→各アミノ酸残基の立体構造を求める→ 構造が未知のアミノ酸配列(標的)と類似した配列を調査→ 立体構造のアミノ酸残基を構造未知タンパク質の対応するアミノ酸残基に置き換え、挿入・欠失部位のアミノ酸残基を適切にモデリングし、計算により原子間の衝突や化学結合のゆがみを排除すれば、標的の立体構造を予測。

この手法をホモロジーモデリング(homology mod-eling;HM)または比較モデリング(com-
parative modeling;CM) と言う。

アミノ酸配列一致度20%以上が、ホモロジーモデリングが成功するための1つの目安。


フォールド認識法

タンパク質の立体(三次)構造を予測する方法

タンパク質立体構造データが豊富になってくると、傾向として、アミノ酸配列の類似性がほとんどないにもかかわらず、立体構造が酷似している例が多くなってきた。
もう一つの傾向として、見つかる新規フォールド数が年々減っていることなどから、自然界に存在するタンパク質フォールドの種類は限られていると推測される。
これらの事実を利用した構造予測法をフォールド認識法。

立体構造が解明されたタンパク質において、アミノ酸がどのような構造環境(特定の二次構造があるか否か、タンパク質内部に埋もれているか否かなど)になる傾向があるかを解析

大きく2つのタイプに分けられる。1つは、フォールドライブラリの各構造について1次元プロファイル(特性)を導出し、これらのプロファイルにターゲット配列を整列する方法で、もう1つは、タンパク質テンプレートの完全な3次元構造を考慮するものである。

おもに相同な既知タンパク質構造がないのでホモロジーモデリングが適用できない場合に使用される。
この方法は、アミノ酸配列をアラインメントするのと同じように立体構造(3D)とアミノ酸配列(1D)をアラインメントするので3D-1D法、あるいはスレッディング法と言う。

ab initio(アブイニシオ)予測法

タンパク質の立体(三次)構造を予測する方法。

分子動力学シミュレーションにより、タンパク質の折りたたみ(フォールディング)過程をコンピュータによって再現することでタンパク質立体構造を予測する方法。

既知構造の情報を使わないので、上記のいずれの方法もうまくいかない場合でも適用可能。

専用のコンピュータを使った分子シミュレーションでは、60アミノ酸残基程度の大きさのタンパク質について、天然構造と非常によく一致した構造を再現することに成功している。

デメリットとして、計算に膨大な時間を要するため、100 アミノ酸残基を超えるような大きなタンパク質へ適用させるためには、コンピュータの性能をさらに数桁倍に高速化させる必要がある。

他には、標的アミノ酸配列に存在する数残基から十数残基程度の連続した短いペプチド(フラグメント)の構造を予測し、それらの構造をつなぎ合わせて全体構造を予測するフラグメントアセンブリー法もある。

PDB に 登録されている蛋白質立体構造を 10~20 残基毎の部分構造(フラグメント)に分割抽出し、それらを集めたフラグメントデータベースに登録されている。

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