見出し画像

バイオインフォマティクスの資格を取るためにメモしまくる件について 構造化学編(タンパク質立体構造による相互作用分析)

タンパク質などの生体高分子が、単独で機能することはほとんどない。
酵素は化学反応を促進するために基質分子を結合する。

酵素以外のタンパク質も他のタンパク質と結合して複合体(超分子)を形成し、その複合体の立体構造が機能に重要な役割を果たす。


立体構造による相互作用解析

タンパク質立体構造の重ね合わせで、配列保存度だけでは不明な相互作用による構造変化を解析できる。

Ex1.糖結合タンパク質のリガンド(糖)を結合していない構造と結合した構造の重ね合わせ

結果:リガンド分子が2つのドメインのあいだに結合することで、タンパク質が開いた構造から閉じた構造に変化することがわかる。


Ex2. タンパク質キナーゼ(タンパク質リン酸化酵素)の活性構造と不活性構造の比較

キナーゼはタンパク質をリン酸化して細胞内シグナル伝達を行なうので、その活性は複雑な構造変化によって厳密に機能制御されている。

・不活性状態→キナーゼドメインのチロシン残基がリン酸化されてO-ホスホチロシンになり、機能に不適当な立体構造をとる
・活性状態→細胞外からシグナルを受けると修飾リン酸が分解され活性構造になる。このとき、不活性状態では立体構造をもたない活性化ループの構造が現れ、安定化される。
活性化ループ=立体構造をとらない(変性している) 領域=天然変性領域(intrinsic disorder region;IDR)
含んでいるタンパク質を天然変性タンパク質(intrinsic disorderprotein;IDP)と言う。

タンパク質の機能制御に深くかかわる。


分子ドッキングによる相互作用予測


タンパク質の相互作用予測は生体分子の理解と制御に重要であり、医薬品の設計(ドラッグデザイン)にも利用。

医薬品は活性部位をブロックして酵素の機能を阻害し、ウイルスの伝播を防ぐ。

コンピュータにより分子間相互作用を予測する方法をドッキングシミュレーション
〈方法〉
①最初にリガンド結合部位を予測
②予測結合部位に対してタンパク質-リガンド間相互作用を詳細に検討する2段階の予測を行なう。

結合部位はリガンド分子の形状に一致したくぼみ(ポケット)や溝(クレフト)である場合が多い。
リガンドはこれら特定の表面上で、水素結合、静電相互作用、疎水性相互作用などのタンパク質内部と同様の非共有結合で安定化される。
これを「鍵と鍵穴」モデルと言う。


相互作用部位をタンパク質表面のアミノ酸の性質から予測する方法も多数考案されている。
・方法
①リガンドとの複合体構造が解明されたタンパク質を調査
②目的のリガンドに類似した分子に接触したアミノ酸の統計からアミノ酸傾向値を求める
③ アミノ酸αが一般に分子表面に観察される割合が pₛ(α)、同アミノ酸がリガンド相互作用部位に現われる割合が pᵢ(α)であったとき、アミノ酸類似性スコアと同様に対数オッズ比
log(pᵢ(α)/pₛ(α))を求め、この傾向値スコアが高いアミノ酸が集中する部位を探索する

・予測された結合部位にリガンドをドッキングするためには、分子シミュレーションによりエネルギー的に安定な位置を探索する

・水素結合可能な位置などの情報をあらかじめ求めて、リガンド側の原子配置と高速に
照合する

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?