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来春引退の255系「新宿さざなみ4号」のグリーン車で優雅な移動

12月某日、この日は土曜日なのに午前中部活があり、朝早く起きねばならなかったので僕はやや不機嫌でした。

そんな中大学へ向かう道中、ふとあることを思いつきました。

「久しぶりに、“ブルジョワ移動”するか」

ブルジョワ移動、それは一部の鉄道ファンにしか伝わらない用語です。


ブルジョワ移動とは、端的に言えば「短い距離を贅沢な方法で移動する」、鉄道を利用した“遊び”の一種です。

今から約6年前、某有名鉄道系YouTuberが「グランクラスに東京〜上野間だけ乗る」という趣旨の動画を投稿し、ファンの間で話題となったのが始まりでしょうか(諸説あり)。

以来当人含め多くの鉄道好きが短距離でグリーン車を使ったりなどする「贅沢移動」をしており、一種の文化と化しました。

僕らも中高生の時に馬鹿みたいな移動をしたものです。3年前には横浜〜東京の移動に「サフィール踊り子」のプレミアムグリーンを使った旅(?)をYouTubeに投稿しました。

大学生になってからはあまりそういうことをやっていませんでしたので、ちょうどいい。イライラ解消も兼ねて久方ぶりの“遊び”を実行することにしました。


さて何に乗ろうか、考えながら時刻表をペラペラめくり、ある列車に目をつけました。

「新宿さざなみ4号」新宿行き

土休日にしか走らない行楽用の列車です。しかもこの日の使用車両は、去就が心配されている255系!!これは乗らないわけにはいかないでしょ。

早速最近会員登録した「えきねっと」で切符を予約。僕の初えきねっと利用がこの列車となりました。乗車区間は千葉〜新宿、距離は50kmにもなりません。

えきねっとでの購入画面

現在房総特急は、えきねっとで「チケットレス購入」を選ぶと定価の35%引きで購入できるお得なキャンペーンをやっているのですが、千葉〜新宿という短い区間でもその適用範囲内なんですねぇ。びっくり。

一瞬「チケットレスでいこうかな」と考えましたが、どうせならグリーン車で優雅に行こうと決断。40分ちょいの移動で1820円。グリーン料金100kmまで1050円だったのが懐かしい…。

255系のグリーン車は初めて。いつ引退するかわからないのですから、安心して乗れるうちに乗っておきましょう。

※このブログを書いている最中、255系の定期運用撤退が発表されました。乗れるのもあとわずかです。

ポチポチポチ。はい購入完了!


さて夕方5時頃、千葉駅に到着。乗車券をケチるために「大回り乗車」を利用。京葉線でわざわざ蘇我まで周って、やっとこさ着きました。

国鉄色のEF65機関車@蘇我駅

千葉駅は駅ナカが大きく、いつ見ても「すごいなぁ」と思うばかり。ストレッチスタジオまであることには驚きました。仕事帰り(?)の紳士淑女が体を伸ばしていました。

2階構造という充実っぷり

さてホームへ降りると、我がさざなみ4号が内房線内で鹿さんと衝突したとのアナウンスが!最近妙なことに、よく事故に遭遇します。日頃の行いは良いのになぁ。

この日は「新宿わかしお」も運転
そちらはグリーン車なしのE257系5両編成

横を見ると、こちらも風前の灯なE217系がいました。この車両も見れるのもあと僅かか…。

運良く東京行きに遭遇


遅れまして17時40分頃、ようやっと我がさざなみ4号が入線。古めかしくもどこか未来感あるフェイスがカッコいい!!!

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はやる気持ちを抑え、落ち着いた足取りでグリーン車の中へ。“グリーン車道”のイロハのイ、「常に上品であれ」

255系のグリーン車は普通車と“見た目がほぼ一緒”なのが特徴です。一見「これがグリーン車ですかぇ?」と思いたくなるくらい、普通

普通車だと言われたら思わず信じてしまう

しかし座ってみるとなるほど、これはまごう事なきグリーン車です。フカフカで幅の広いシート、深くまで倒れるリクライニング、そしてテラヲ大好き「フットレスト」!!足をピーンと伸ばせば気分は王侯貴族(オーバー)。

着席、即極楽

255系のグリーン車には面白い機構がいくつかありまして、その一つ目が今回指定した席の前にある「謎の壁」。これは昔車内での喫煙がある程度許されていた時代、禁煙室と喫煙室を隔てるために設けたものです。正直意味があるのかわかりませんが…。

座席前に壁を設けただけの分煙

もう一つが、偏心回転機構という座席回転機構です。椅子が回るのは至極普通なことなのですが、255系のグリーン車の座席は他と違って「通路側に一回スライドさせて回す」というちょっと変わったつくりになっているのです。

座席数確保のため2+2の座席配置にした255系、しかしワイドな座席を増やすと通路が狭くなってしまいます。そこでJR東日本が座席数と通路幅を両立させるためにつくったのが偏心回転機構です。これは255系のグリーン車にしか搭載されていない、レアなものです。

座席は回さなかったものの、千葉駅発車直後にやや強い揺れが起きまして、その際「ガチャン」という音と共に横にズレるような感覚があり、この機構があることを実感しました。

読書灯
点けるとラグジュアルな雰囲気に


列車は快調に総武線内を走行。できるだけ長く乗っていたいので「もう少し遅くてもいいんだよ」と心の中で語りかけますが、ただでさえ遅延している255系は聞く耳を持ちません。

荒川とスカイツリー

錦糸町に近づいたころには車窓右手に東京スカイツリーが見えました。新宿さざなみの上り列車は進行右側に座っていると、この時期には色々な夜景が楽しめます。今回右側を指定したのも、四ツ谷らへんで見える「かねふく」の看板を見るため。

※そういえば、あそこの看板は電光式じゃなくなったんですね。ネオンサインを想像していたので、のっぺりとした白地の看板にライトが当たっているだけのを見てびっくりしました。つまらなくなったなぁ。

以前の「かねふく」の看板
引用:Google Maps Ⓒ2023
現在の「かねふく」の看板
引用:Google Maps Ⓒ2023

列車は秋葉原に到着。このときは無論考えもしていなかったのですが、来春のダイヤ改正で新宿さざなみと新宿わかしおの停車駅が削減され、この秋葉原もリストラの対象となってしまったのです。残念。

そして優雅な“王侯貴族タイム”もあっという間に終了。列車は終点の新宿駅に到着してしまいました。残念無念。

いつまた乗れることやら…


製造からすでに約30年の255系、次に乗る日はいつでしょう?そもそも次回乗る日はあるのでしょうか?予定は未定。

回送として千葉へ帰るのを静かに見届け、ホームを後にしました。

最後まで頑張れ、255系!!

いやしっかし、やっぱりグリーン車はいいですね。久しぶり(たった3か月ぶり)に特急列車のグリーン車に乗りましたが、揺れが少なく快適快適。

グリーン車のワルイトコロは一度乗るとクセになってまた乗りたくなるっていうこと。自制しなければいけません。ねぇ、Rさん(笑)?

※そう言っといて彼は数日後、特急あずさ八王子~東京間の移動でグリーン車を選択し、購入したのだった・・・。

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