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2024.09/11(水) ロンドン・フィル来日公演 公開リハーサル(KDDIみらい協奏プログラム)

はじめに

初めての「公開リハ」

「KDDIみらい協奏プログラム」の第1回として、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(以下、LPOと略す)の来日公演の公開リハーサルへ学生500名が無料招待された。

公開リハーサルを見るのは初めての経験であった。
我々が演奏会を聴きに行くとき、基本的にはリハで仕上げて完成された状態のものを聴くわけである。しかしリハーサルは違う。指揮者・コンマスを中心にオケ全体が曲を仕上げていく、その途中段階を見ることができるのだ。
当然指揮者が奏者とコミュニケーションを取りながら進めていくわけであるから、指揮者の音楽性や人柄に直に触れることができる貴重な機会でもある。


コンサート概要

KDDIスペシャル ロビン・ティチアーティ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
公開リハーサル


曲目

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
マーラー:交響曲第5番

出演者

指揮:ロビン・ティチアーティ
ピアノ:辻井伸行
管弦楽:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

会場

サントリーホール 大ホール

座席

1階 10列 9番

感想

リハーサルの曲順はマーラー→ベートーヴェン。
冒頭に辻井さんの挨拶があった後、オケが準備に入りマラ5のリハが開始される。
主催側としては「マラ5」よりも「皇帝」のほうが知名度が高い上、辻井氏の知名度も高いので「皇帝」のほうをメインに押し出したかったかもしれないが、実際のリハは3分の2程度がマラ5に割かれたのだった。

マーラー:交響曲第5番

自分としては「マラ5」を楽しみにしていたため非常に嬉しかった。LPOは80年代のテンシュテット期以降、マーラーの作品が重要なレパートリーの1つになっていて、そんなLPOのマーラー第5番を(しかも無料で)拝聴できるのは本当に光栄なことだった。

自分の中にマーラー・ブームが来ていたのも事実だ。初めて聴いたマーラーの交響曲は「巨人」という名で知られる第1番だったが、そのダイナミックさに魅了された。
さらに色々な曲を聴くうちに自分がハマったのは第3番。演奏時間100分という長さを誇り「世界最長の交響曲」としてギネスに認定されていた時期もある。とても長いが聴く者を少しも飽きさせないこの曲に惹かれたのだった。
第3番から派生してマーラーの交響曲を聴く機会がさらに増え、そこで第5番にも大いに魅了された。

前置きが長くなってしまった。
「マラ5」のリハはまず5楽章から入り、その後4,3,2,1と逆順に進んでいった。

4楽章「アダージェット」は、アメリカの映画「ベニスに死す」で使われたこともあるそうで、美しい旋律が特徴的だ。

映画「ベニスに死す」

あのF-Durの美しい旋律が、本当に素晴らしかった。
LPOの演奏が素晴らしいのはもちろんだが、それを引き出すティチアーティ氏の指揮も目を見張るものがあった。無駄のない華麗な動き。ライブでありながら、録音のような冷静さがある。

3楽章の迫力のあるホルンも印象的だった。1人だけ立奏している方がいたが、調べてもそのようなことは出てこないのでよく分からない、、。

1楽章冒頭のTrpソロが聞こえると、どこか「帰ってきた」という安心感もありつつ、同時に哀愁を感じさせられる。個人的にはA-Dur→Gis-mollの進行を繰り返す所、好き。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

休憩後、辻井氏が登場し「皇帝」のリハが開始した。

当然、辻井伸行氏のことは以前から存じ上げていたが、生演奏を拝聴するのは初だった。さらに席の位置がよかったこともあり、彼の演奏する手そのものをよく見ることができた。彼の力強さと軽やかさを兼ね備えた演奏が、本当に印象的だった。


辻井 伸行 氏

自分もピアノをやっているが、見えなくてどのように鍵盤の位置を把握するのだろう、ということは前から思っていた。
今回見たところ、どうやら弾く少し前に両手を広げてピアノの全体の幅を把握しているようだった。そこから、後は感覚で鍵盤の位置をつかんでいるようだ。それで全く音を外さないというのが、正直理解不能、、。

またティチアーティ氏が「練習記号の○からやります」というときに、その部分を軽く歌うなどして辻井氏に伝わるように配慮していたのも印象的だった。国や言語の垣根を超え、音楽によって繋がるという光景を見られたのが嬉しかった。

おわりに

本当に貴重な素晴らしい機会だった。それに尽きると思う。
プロの指揮者の音楽作りを間近で拝見し、得られたものがたくさんあった。
ティチアーティ氏の音楽性だけでなく、奏者たちと合奏中楽しそうにやり取りする様子、そのような人間性にも非常に魅力を感じた。
また国や言語が異なっていても、音楽によって人間同士が繋がれるのだ、ということも改めて強く感じた。

このような素晴らしい機会を設けてくださったKDDI株式会社には心から感謝したい。
今後もこのようなプロジェクトを企画してくださることを、またKDDIに限らず様々な企業によってこのようなプロジェクトが増えることを心から願っている。

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