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かけがえのない旅行

もう十年以上かなり昔にモロッコに行った。
その時、病気をしたままモロッコに行ったみたい。
薬のせい(血管を細くするやつとか)もあったのか、本当に体がひょろひょろでとてもじゃないがバックパックなんてできそうもない体で行ったみたい。
でも、そんな状態でまずどうやって空港からおりてホテルまでいけたのかなあって考えてた。
昔のメールや日記を読んでわかってびっくり。
知らないクウェート人の人がモロッコでトランジットしてどこか別の中東かイギリスに行く予定だったみたい。その人は、モロッコ行きの飛行機に乗っている時に私の隣に座っていて、どうみても私が一人だし弱そうでものすっごい心配したみたい。

「僕は君と同じくらいの歳の妹がいるんだけど、妹には一人でモロッコなんて行かせられない!大丈夫なの?友達も誰もいないんでしょ!?」と驚きと絶句とため息と「あちゃー・・・感」を繰り返された。

それで、そのクウェート人のかたが、トランジットのときに一度一緒にモロッコに入国して、そのあと、周りの警備員や駅の係員とかにバシバシとお金(というか賄賂…)を渡しまくり
「この子を絶対に安全前に****ホテルまで連れて行ってあげて。荷物も全部持ってあげて、安全な席に座らせて、周りの人も助けてあげて!たのむ」
って全てを雇ってくれたみたいだった。
そして「それでも、君がもし警察とか誰かに賄賂を要求されたとしても、君は絶対にお金を払っちゃいけないからね。たとえ公権力を持ってる人でも、信じないで。お金は、払わないこと。絶対に気をつけて。絶対だよ」
そういって去って行った。
それで、どうやらホテルまでなんの苦労もなく全ての人に助けられてベッドにまで辿りついた。

本当に感謝しかない。

そのあとも、多分血管の薬のせいで、モロッコの病院(クリニック)にいくはめになり、案の定病院で
「ちょっと、君血圧が低すぎるよ。これじゃだめだ。ご飯はどうしてる?」
と心配された。

そのあとの日記によれば、その時までほぼ毎日通っていた喫茶店のオーナーがそれを聞いてめちゃくちゃ心配し、私にはミントティーではなく薬草茶をいつも作ってくれていたのだそう。毎日毎日、オーナーが作ってくれた。
調子どう?ご飯食べてる?今日はどうだった?
毎日聞いてくれた。
そして、彼の奥さんに招いてもらってご飯を食べたり、モロッコでの生活の知恵を色々学んだりしていたみたい。

モロッコではよく、観光客をターゲットにした詐欺とか犯罪があるとかはよくきくし、実際にあるんだけど、自分はそれ以前にとてもじゃないが健康とはいえなかったので、モロッコ人にひたすらお世話になってしまった。

ひぇぇ、ものすごいお世話になっている。そのあと、モロッコに郵便で、色々お礼の品(公式のポケモングッズとか子供のおもちゃとか、基本子供向けの安価なものだけど)を送ったのを覚えてるけど、そりゃそうだ。
そして、それもさらっと受け取ってくれればいいものを、もんのすごい喜んでくれて、もうなんだか申し訳なかった。

ただ、モロッコは殺伐としている場所もないわけではないし、普通に危ないことや、アジア人ということもあり毎日いたずらにあうなんてこともある。当時の自分にとってはハードルが低い国では決してなかった。でも、やっぱりあの時の感情は忘れられない。

もうその後、仕事とか、勉強とか色々なことがあって、具体的にどうだったのかは忘れてしまってた。

ただ、何年も何年も、あのとき病気を治してくれたのは薬というより、クウェートの人とかあの土地を踏んだ人を含んだモロッコの地全体だったな。感謝してもしきれないなあとずーっと思い続けてきた。
理由は日記を見返せばわかることだった。


今年は、試験直前の時期なのだけど仕事もやめて、ラマダンをすごそうと思っている。
一つはモロッコ地震で亡くなられてた数千人の方々に私なりに祈りの時間をすごすため。今でも本当に嫌だけど、自分が予備試験の論文受けれたからって嬉しくて、モチベーション高まりすぎた論文試験当日の1日目の朝、私が設定した起床のアラームが鳴った時、モロッコで未曾有の大地震が起きた。私が私のためだけに使った1日で、数千人の人が大事な人を亡くしたことを3日後の試験が終わったあとに知って、心が虚しくなった。愚かすぎたと。
もう一つはパレスチナの人々に祈るため。もうこれは。
ただし、やっぱり薬を常用していて、血管のトラブルがあるので、水を飲まないというのは絶対にできない。なので、一緒に過ごせるだけでもありがたいことだと思って過ごしたいな。

あーーーー!愛おしい!!!!

ということで、今年は行けたらいい。アラビア語もだいぶ読めるようになった。


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