UNISON SQUARE GARDEN 歌詞考察    「Phantom Joke」編

こんにちは、わさび醬油と申します。今回は「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア」のオープニング曲 Phantom Jokeの歌詞を考察していきます。アニメをしっかりと見ていたわけではないのですが、アニメの視点も取り入れた内容にしていきたいと思います。初めて記事を書いているため至らない点もありますが、最後まで読んでいただければ幸いです。

アニメのOPを編集で繋げたものがあったので、是非見たうえで読んでください。


曲名「Phantom Joke」の意味

まずは歌詞の考察に入る前に、Phantom Jokeの意味について考えていきたいと思います。日本語に変換すると、phantomは幻や幽霊、Joke は冗談やいたずらとなります。そのため直訳すると「幻のいたずら」となります。しかしこれだといまいち内容がつかめません。

そこで歌詞の中で幻と同じような意味で使われている言葉を手掛かりにしていきます。不条理や常識を無に返す正体不明の引力などが、これに当たると思います。またアニメの世界で言えば、特異点や人類悪といった存在に置き換えられるのではないでしょうか。

※歌詞の考察に当たりその都度言い換えるのは手間なので、今回は似た意味で使われている言葉は、不条理または不幸(常識を壊してしまうほどの)に置き換えていきます。

そして幻を不条理に置き換えると、曲名の意味は「不条理のいたずら」と捉えることができます。
この不条理に対して私たちがどうあるべきか、これがphantom Jokeのテーマになっていると思います。歌詞の考察を通じて、私たちが具体的にどうするべきなのか詳しく考えていきます。

・1番

ずれるピントに迷った 合わせる辻褄を探せ
ほら枯れ葉が舞う やがて蝶になる そしてチューニング合って あとはなんだっけ

いきなり枯葉が蝶に変わるという掴みどころのない歌詞から始まっています。
しかしピントがずれるとあるように、この歌詞は、ヒロインのマシュがメガネをかけた時の視点から書かれているのではないかと思います。実際のOPでも、メガネをかけたマシュがちょうど登場しています。

ピントがずれている時には枯葉に見えていたものが、辻褄=チューニングがあっていくにつれて実は蝶だったと気づいた。このような意味合いではないでしょうか。

そしてメガネのピントが合っていくことを、自分と世界がかみ合っていく様子に重ねているのだと思います。世界とかみ合っていくにつれて日々が日常に変わっていく。こうして出来上がった順調な日々が、次の「急なフェード~」に繋がっていくのではないでしょうか。

急なフェードで焦った 秒速で不条理が始まる
とりあえず選んだせいだから 方をつけなきゃいけないな

順調な生活であっても不条理や不幸は何の前触れもなくやってくる。それでも自分で選択して進んできた人生なのだから、途中で逃げ出してはいけないと捉えることが出来ます。

アニメでも、主人公たちがウルクでの生活に慣れてきた矢先に、その日常が崩れていきます。それでもこの世界を救うと決めていたからには、最後までやり遂げるという主人公の決意を表しているのではないでしょうか。

退屈の理由は 思考停止のevidence
守るものも守れないならでしゃばるなよ

evidenceは日本語にすると証拠となります。そのため前半部分は、日々をつまらないと感じるのは何も考えてない証拠だと受け取れます。しかし不条理が中心となっている歌詞の中、この訳では違和感が残ります。
そこで今回は、退屈を時間を持て余すというもう1つの意味で考えてみます。そうすると不条理を前にして時間を持て余しているだけなのは、自分に何が出来るのか考えていないからとなります。このように捉える方がいいのではないでしょうか。

後半部分については、他人に向けた言葉ではなく、自分に言い聞かせているものではないかと思います。どんなに厳しい状況でも自分にとって守るべき大切なもの、例えば信念を、途中で投げ出すことはするなというメッセージではないでしょうか。

共感も栄光も賞賛も欲しがるのは野暮ってこと
正体不明の引力が常識を無に帰す引き金を引いてしまうから

正体不明の引力は不条理と置き換えていきます。不条理によって常識が崩れてしまったら、自分の価値観も分からなくなってしまいます。そして価値観が揺らいでしまったら、今まで手に入れてきた賞賛や栄光の価値も変わってしまうのではないでしょうか。
だからそれらだけを求めることに大した価値はないという意味合いだと思います。

※この歌詞は共感や賞賛をすべて否定しているわけではないと思います。しかしこれらはすべて他人からの評価として成り立つものです。常識が通用しない世界では、他人から与えられたものよりも、自分の決意や信念の方が信じることが出来るのではないでしょうか。

冗談じゃねえよphantom's begun! 嘘にまみれきって蜃気楼
心までかすんで蜃気楼 善々悪々も審議不能になる
全部嫌になった それさえも幸せな結末だ

続いてサビの考察に移っていきたいと思います。
最初の部分はそのまま不条理が始まったなんてふざけるな!と捉えられます。

次は蜃気楼が2回繰り返されている部分です。蜃気楼は幻や幻覚という意味でよく使われます。今回は同じ意味のphantomを不条理に置き換えてきたのですが、蜃気楼はそのまま幻と捉えていきます。
常識が無になった世界では、何が真実なのか分からなくなり、自分の心さえも幻のように信じることが出来なくなってしまう。そして最後には善悪の区別さえも出来なくなってしまう。このような意味になっているとおもいます。

そしてこのような状況では、抵抗を続けるよりも、すべてを投げ出して諦める方が幸せだと一瞬でも思ってしまうことがあるのではないでしょうか。

だめだ そんな悲しいこと言うな まだ世界は生きてる
君が泣いてたって生きてる だからこの空の先を見たい
邪魔すぎる運命のターゲット睨みながら
言えそうで良かった「まだ愛していたい」

「そんな悲しいこと」のそんなは、直前の「全部嫌に~」の部分です。理不尽を前にしてすべてがどうでもよくなったとしても、それでも世界は続いていく。だからこそ、空の先=未来を捨てないで欲しいというメッセージが込められていると思います。

次の運命のターゲットは、直訳すると運命の相手になります。運命の相手と聞くと、第一印象では赤い糸でつながれた人が出てきますが、ここでは不条理を打ち破るために越えなければならない存在と捉えるのがいいと思います。
また睨むは、その存在から目を背けず立ち向かうことを意味していると思います。
そしてその決心がついたなら、不条理も不幸もあるこの世界でも愛していたいと思えているのではないでしょうか。


ここまではサビの歌詞をアニメから離れて考察をしてきたのですが、サビはアニメのストーリーが強く反映されています。アニメの敵(特異点)は、人類を消してしまう存在です。そのため「まだ世界は生きてる」の歌詞は、不幸があっても世界は続いていくではなく、自分には世界を救うためにまだ出来ることが残されているとなるのではないでしょうか。
このようにサビは全体的に、悲惨で厳しい状況を目の当たりにしても必死に戦い続ける主人公藤丸の心情が歌詞になっていると思います。

・2番~

次に2番の考察に移っていきたいと思います。個人的にphantom Jokeは、1番から2番なるにつれて時間が進んでいっていると思います。1番では「まだ愛していたい」だった歌詞が、2番3番では「まだずっと」に変わっていることも、その1つだと思います。そのため2番の歌詞は、1番で1つの困難を乗り越えた先の世界として考えていきます。
歌詞の構成が時間軸になっていることは、前期のOpでは1番が、後期のOPでは2番が使われていることに関係しているのかもしれません。

激流は続く 暗い底はまだ見えない
ふざけるな おい誰だ 無下に弄ぶな

1つ困難を乗り越えた、しかし事態はよくなるどころか暗い底=終わりさえ見えないといった状況だと思います。こんな状況では、誰かがすべてを仕組んでいるように感じ、ついかっとなってしまうこともあるのではないでしょうか。

熱くなってもご注意 悪はたまに正義を隠してる
裏腹は暴かなきゃ 結末に理論は不整然

内容は歌詞から離れますが、ユニゾンのCDの帯には毎回キーワードチックな言葉が書かれています。ちなみにphantom Jokeは「正義も悪も見極めなくちゃね」です。ちょうどこの部分と対応した内容になっています。もしかするとこの歌詞は田淵さんにとって思いのこもった部分なのかもしれないですね。

歌詞の内容については帯のキーワードのそのままだと思います。敵であっても、その人なりの正義や理念があります。つい熱くなって敵の全てを悪と考えてしまっては、大切なものを見落としてしまうというメッセージではないでしょうか。

アニメでも、藤丸が敵であるケツァルコアトル達の思いを理解したことで、仲間として協力してくれるようになります。このようなストーリを受けた歌詞になのかもしれません。

またFGOを通じての敵(特異点・人類悪・バビロニアでのティアマト)も、人が人であるが故に持ち合わせてしまう歪みから生まれた存在です。ティアマトも、子に愛されたい、自分から離れていかないでほしいという母の思い、人なら当然に持っている願いが暴走してしまった故の存在です。いくら黒幕であるとはいえ、その感情がすべて間違っているとは言えないですね。

無慈悲に泣く声も 無力に止まる足も
未来の足かせになるから 目を覚ませよ
「このままがいい」だとか「生きたい」も願うだけじゃダメってこと
大切なフレーズをこぼすな 物語がゴミになる

前半部分シンプルに無慈悲に対して泣いているだけ、足を止めているだけでは、何も変わらないと捉えていいと思います。

後半部分も、ただ願うだけでなく、大切なフレーズ=自分の信念を持ち続け進んでいかなければ、物語=今まで積み上げてきたものと未来が崩れてしまうといった内容だと思います。

アニメの世界では、特異点を倒さなければ人類史が消滅してしまうため、「このままがいい」や「生きたい」も不可能になってしまいます。だからこそ自分の決意を曲げず抗い続けなければいけないのではないでしょうか。

華麗に舞ってPhantom`s begun! あまりにきらめいて蜃気楼
心を動かして蜃気楼 明々暗々基準も不可解だ
全部なくなって消えたって ありえそうで笑っちゃう

続いて2番のサビを見ていきます。
今までと同じく考えると、不条理が作った世界や幻が、華麗に舞い、明るくきらめき、最後には心までも動かしてしまうとなります。今までの不条理に抗うという内容と逆の意味ですが、時間が経つにつれ不条理がそれ程までに強くなってしまったと捉えられのではないでしょうか。

最後の部分は、不条理が自分が積み上げてきたものをすべて飲み込み消し去ってしまう、そんな未来もありそうで笑っちゃうと捉えられると思います。

だけど忘れないでほしい まだまだ旅は終わらない
納得するまで終わらない つまりこの空の先を見たい
邪魔すぎる恐怖のスパイダーネット穿ったなら
強くなれる前途証明の時間
悲しくちゃ終われない 覚悟の幕が上がる
悲しくちゃ終われない「まだずっと愛していたい」

はじめの箇所は単語が違いますが、1番のサビ後半部分と同じような意味だと思います。どんなに厳しい現実でも、自分が諦めない限り世界は続いていく。このことを忘れないで欲しいとなるのではないでしょうか。

次にスパイダーネットの箇所を見ていきます。スパイダーネットはクモの巣なので、クモの巣上に張り巡っている恐怖となります。そして前途には未来という意味があります。恐怖に打ち勝ちことが出来たなら、ちょっとでも確実に今よりも強くなれているはずだという内容だと思います。


最後の箇所に移っていきます。個人的にはPhantom Jokeの中で一番好きな歌詞です。「悲しくちゃ〜」とありますが、悲しいという単語は1サビでも使われています。ここでも同じ意味合いで、不条理を受け入れたままと捉えていきます。
そうすると不条理を受け入れたままじゃ終われない、抗い続ける覚悟を決めろ。このままじゃ終われない、不幸を乗り越えた先でこの世界をまだずっと愛していたいとなると思います。

ここまで何回も不条理に抗うが登場してきましたが、より明確な言葉になったことで覚悟が強くなったと受け取ることが出来るのではないでしょうか。また「愛していたい」も「ずっと」が加わることで、その気持ちが強くなったと捉えることが出来ます。

正体不明の引力が常識をかき乱しても抗うのをやめない
冗談じゃねえよphantom's begun! 嘘にまみれきって蜃気楼
心までかすんで蜃気楼 善々悪々も審議不能になる
全部嫌になった それさえも幸せな結末だ
だめだ そんな悲しいこと言うな まだ世界は生きてる
君が泣いてたって生きてる だからこの空の先を見たい
邪魔すぎる運命のターゲット睨みながら
言えそうで良かった「まだ愛していたい」
悲しくちゃ終われない「まだずっと愛していたい」
I`ll never catch bad fake (fate)



最後の部分ですが、重複の箇所が多いため大部分は省略します。そのため重複していない最初と最後の歌詞について考えていきます。

初めの歌詞は1番に出てきた歌詞が少し変わっています。2サビの覚悟の幕をうけて、折れることのない信念や覚悟を表しているのではないでしょうか。

最後の歌詞を見ていきます。fakeは日本語にすると偽物という意味なので、phantomと同じ意味で捉えられます。直訳すると不条理なんて決して受け入れないとなります。
今までに何回も出てきた言葉ですが、曲の最後の最後で一番はっきりとした言葉で表現されているのではないでしょうか。

ちなみにOPでは、アニメのタイトルにちなんでfakeの部分がfate(運命)に変わっています。個人的には自分に起きる不幸や不条理は幻のことではなく現実のことなので、fateの方がしっくり来てたりもします。

・まとめ

考察の中で何回も登場しましたが、「不条理を受け入れるな。抗い続けろ!」がPhantom Jokeに込められた一番のメッセージだと思います。アニメの世界とは違い、私たちの世界では不条理がすべてを滅ぼしてしまうといったことは起こりません。しかし生きているうちは、大なり小なり不条理や不幸は絶えずやってきます。ユニゾンの曲なので直接的な歌詞はほとんどありませんが、そんな厳しく、辛い状況に立ち向かう背中を押してくれる歌詞になっていると思います。

最後になりましたが、今回は自分なりの考えをまとめてみました。あくまで一個人の考察なので、この部分はこのように考えられるのではないかといったことがありましたら教えていただけると嬉しいです。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。