この2年間のサカナクション

 ちょうど今、アダプトONLINE の配信ライブを観終わりました。

 配信ライブ⇒リアルライブという順番で体験するようなリリース順でしたが、私は、武道館でのリアルライブの後、配信ライブを観ました。
 大したことは書けませんが、この2年間は、「サカナクションに支えてもらった感」が非常に大きいので、何か残したいなと思いました。

1.夜を乗りこなす

 いきなりですが、私はメジャーなものが多分好きではないです。マイノリティでいることに自己陶酔しているから、という理由が一番だと思います。バンドの場合、ライブのチケットが取りにくい、会場がでか過ぎて客が多い、音が反響し過ぎる、よく観えないというのも大きいです。
 サカナクションはメジャーなバンドで、あまり真面目に聴いてきませんでした。フェスで何回かステージ観たり(あと、幕張のワンマンも1回だけ行きました)しましたが、照明がやたらかっこいいバンドだな、くらいの印象でした。

 よく聴くようになったきっかけは、コロナ禍に入ってからの『夜を乗りこなす』という企画でした。過去のライブを無料配信してくれて、色んな時期のサカナクションを聴くことができました。その配信を観る中で、毎回アンコールで演奏する『目が明く藍色』を聴く度に、少しずつ好きになっていった気がします。
 『夜を乗りこなす』という言葉は、当時の自分にとてもしっくり来ました。今も、とてもしっくり来ています。

 コロナの流行りはじめにライブハウスが叩かれ、自分の好きなものが世間から否定され、とても悲しかった。同時に、結局自分はライブが好きでライブハウスが好きでしたが、音楽を生業にしている方々から見れば、私自身が外野のひとでしかないということを強く感じた。
 音楽が好きだが結局、その付き合い方や距離感が分からなくなった。
 『夜を乗りこなす』という言葉、その言葉は、そういった自分の心情を肯定してくれた、ような気がしました。少なくとも、宙ぶらりんな状態を否定せずにいてくれたと思う。

 『アダプト』企画も、『夜を乗りこなす』からの延長で来ているように思います。『乗り越える』のではなく『適応する』。武道館でもMCで仰っていましたね。

2.アダプト ARENA TOUR(武道館)

 2022年1月30(日) に武道館ライブに行きました。武道館広いし、コロナでキャンセルも多いだろうし、そこまで密にならないと思ったら、前後左右めちゃくちゃお客さんがいました。メジャーなバンドの宿命です。

 ライブの構成は、ざっくり前半・後半だった。その前半と後半にそれぞれ起承転結があった。特に前半パートは、ステージ一つ上に更にステージがあり、そこで役者さんが演奏に合わせて動作する、というものでした。
 演劇のようでもあり、インスタレーションのようでもあり、(リアルライブでそれをやるという意味で)シンプルに新しいと思えた。
 もちろん台詞はないですが、何かを我慢し、耐え、待つ動作を印象付けられたステージ。ここまでが、ライブ前半の中の起と承。

 そして、『ティーンエイジ』。この曲のアウトロで、舞台の印象が変わった。何かが弾け、我慢すること、耐えること、待つことをやめた。そのように感じ、自然と涙が溢れた。
 そのまま、ギターのアルペジオが繰り返され、『壁』。目の前に広がる音像が、ライブがどんなものだったかを思い起こさせてくれた。ライブ用の耳栓を、僕は外してしまった。
 前半のラストが、『目が明く藍色』。この2年間何回も家で聴いた曲。やっとライブで聴けました。ダイナミックな演奏と綺麗な映像、報われ、救われたと思える瞬間でした。

 後半は、ライブを意識したセトリだったと思う。『プラトー』が『さよならはエモーション』の続きのような曲に感じて、このアダプト企画を象徴しているように感じた。シンプルにかっこいい曲!!
 新曲『ショック!』もとてもよかった。エンターテインメントとして非常に練られている曲のように感じた。つまりは楽しかった!!
 『忘れられないの』で本編終わり。アウトロのベースとギターが本当に名残惜しい。

 アンコールは『三日月サンセット』『白波トップウォーター』。アンコールで演ってくれるなんて! この2曲は、制作のお供に、夜を乗りこなすためによく聴いていたので、感慨深い。
 『ナイトフィッシングイズグッド』。この辺はずっと泣いていた気がする。「素晴らしさよ」という言葉がずっと心に残った。

3.アダプト ONLINE TOUR

 ライブの後に観ましたこちら。
 リアルライブの方で色々書いてしまったので、あまり多くはないのですが、追加で少しだけ。

 『ティーンエイジ』の起承転結の転の部分は、ONLINEライブでも同じように感じた。音楽でも、感動や共感を完璧にデザインできるということに衝撃を受けた。家の中で一人、パソコンの前で、簡単に泣くことができた。そのことに何だか感心してしまった。

 本編最後の曲は、同じく『忘れられないの』で、その後に新曲で終わった。リアルライブのときのアンコールラストの曲と同じ。
 その曲の冒頭の「正しい正しくないと決めたくないな」という歌詞は、一人で聴くには、直接的過ぎるように感じた。曖昧さを許すこと以外は許さないような。意図的に本編から外したのかなとも思った。

(最後に)

 あまりうまく書けなかった気がしますが、とにかく言いたかったことは、この二年間を含めて、本当に有難うございましたという気持ちです。音楽を止めないでいてくれて、作品を提供し続けてくれて、そのおかげで今こうして生きていると思っています。
 アダプト企画は、これからアルバムも出るし、まだまだこの先も、サカナクションはライブしてくれると思うので、これからも期待しています。この先もチケットは取りづらいだろうけど。

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