落ちる。

「強度を出すには後は落ちるだけ。」
というのはコモンセンスといいたいところだが、
おそらく稽古にきている人間にしか伝わらないだろう。

元々自分がこの言葉を聞いたのは、
ふくらはぎを伸ばす手技を練習している時。
今でもふくらはぎを伸ばす際に「落ちる」という概念を再現することはなかなかできないが、
前回の稽古では「落ちる」が腿の裏を伸ばすときに現れた。

自分もそうだったが、
物を前に押すときは、
パンチをするように自分の腕を「筋力」を用いて行うのが当たり前だと思いがちである。ただ、「筋力」というのはとても小さな力だし、また使っていくと限界がきてしまうものである。

さて、そこで出てくるのが、「落ちる」という力の使い方。
物を前に押すときに、
脱力をする。
力を抜いても腕は前に進む。

文字通りの逆転の発想。
力を使うではなく、力を抜くことによって、
動作を行う。
これぞ師匠の真骨頂という概念(笑)。

落ちることで、「筋力」を使うことのデメリットもほとんどなくなる。
落ちるときに利用するのは、腕の重みと重力。
この2つは、なくなることもなく、とても大きなエネルギーであるのは、想像もつきやすいかと思う。

自分の力を使うのではなく、外力を操ることによって、
それ以上のパワーを出す。その感覚を得るために「落ちる」という概念があるのかもしれないとこの記事を書きながら気づいてしまった。

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