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『日々勉強』

就職活動する中で「あなたが大切にしていることは?」「社会人として大切にしたいことは?」といった質問を、エントリーシートでも面接でもよく聞かれるので、なんだろうと私自身も整理したくなった。

小学6年生の頃、総合の時間で「夢」の授業というのがあった。地元のプロサッカークラブであるサガン鳥栖の選手やコーチ、映画ポケモンの脚本家(こちらもやはり地元である鳥栖市出身)が講演を開いてくれて、いま考えればそれなりに豪華だったと思う。その流れを汲んで2012年冬から2013年春にかけて、今度は自分が将来なりたい職業に、実際に就いている人に手紙を送ることになった。

当時の私の夢というのが外交官であった。伝記で書かれた杉原千畝さんに大層憧れたためだ。担任の先生に内容を相談しながら"外務省御中"と年齢に似つかわしくない手紙を認めたことを、9年も前のことではあるが昨日のことのように今も鮮明に覚えている。「忙しいから返事は届かないかも知れない」と先生や友人には言われたが、外交官が夢だった私は構わず筆を執った。お医者さんや看護師さん、車のデザイナーやゲームのクリエイターに書いた同級生もいた。プロサッカー選手に手紙を書いた親友にサインのおまけまで付いた返事が届いた一方で、私には何の音沙汰もなかった。もともと、そこまでの期待をしていなかったので、大して落胆もしなかったはずだ。

話には続きがある。卒業式を終えて1週間ほど経ったある日。担任から荷物を取りに来てほしいという電話があった。私物は全て家に持ち帰ったはずで疑問に思うも、学校へ向かった。手紙だった。外交官になるために必要な条件、外交官が喜びを感じる場面、逆に苦労する場面は何か。12歳の少年の一生懸命さに応えてくれたことが嬉しかった。外務省がいま特にどの国との関係をより良くしたいと考えているかという質問に対してはぐらかされたのも、今ではご愛敬と思っている。

あれから9年、中学生には社会科の先生、高校では商社マン、今では…と夢はうつってしまった。しかし、外交官として必要な資質に「公務員として日本国民のために働くという責任感」、「どのような環境(場所や人々)にも対応していける順応性・柔軟性」、「世の中のあらゆることに関心を持って勉強を続けること」、「好奇心を持つこと」の4点を外務省国内広報室(当時)に勤める石川薫さんが挙げていたことは人生で忘れたことはない。中学生以降、責任感をもって行動すること、順応性・好奇心をもつこと、世の中のあらゆることに関心を持って勉強を続けることが私の人生の大切な指針になっていたからだ。これからの人生も、些細なことにも意識を向けられるような感度の良いアンテナを自身の中に張り、社会の人々の生活をよりよくするために行動していきたい。

ざき

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