月探索物語

2016/10/26

「もうすぐだね」
月子がうつむいて、これからのことを考えていた時に、スーザンから声をかけられた。
「あなたがいなくなると、寂しいわ」
あと1ヶ月もしないうちに地球へ戻ることになっている。
「ここで記憶したこと、忘れないでね。もちろん一旦忘れるんだけど」
忘れるなんてことがあるのか?
月子は自分の中にちゃんと積み重なっているものを感じた。
やっと覚えたのに。
旅立つ直前になってやっと覚えたのに。
「忘れたら、またここに来ればいいから」
と、スーザンの明るい声。

忘れないよ。宇宙の中で自分にしかできないことに関する記憶。そんな大切なこと忘れるはずがないじゃない。

ん、、?
ここはどこ?私は誰?

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