縦断と革命の熱風その3〜ボリビア サンタクルス〜

彼の体調が回復すると、ギターを弾いてくれた。彼がその細長い白い指で奏でるクラシックギターの音色は実に素晴らしかった。低い音地響きのように腹の下を震わせ、高い音はカナリアの鳴き声のように脳天を鷲掴みにし引っ張り上げるようだ。
そんな彼のギターを聴きながら過ごしていたある時、宿の主人に親戚の子の成人のダンスパーティーに誘われた。二人で参加してみると、彼は次々に女性に話しかけて、その中で特に美しい二人組の女性たちと会話やダンスを楽しんだ。
彼はダンスが終わると「すごいだろー女の子が次々に寄ってくるだろう」と冷静な面持ちで静かに語り始めた。「すごいですね」と答えると「とにかく喋り続けることだ。澱みなく絶え間なく」と彼は何やら恋愛テクニックを伝授するように語り始めた。「俺が話し始めると女の子が関心を持つだろう?そうするとそこから次々に話続けるんだ。」
「なるほど、そうなんですねー」と答えながら、彼がモテると言うことより、澱みなくスペイン語を話し続ける能力に感心した。
何人かの女の子と踊って大分酔っ払ってしまったのか、結局パーティーのあった家の仮眠用の部屋で寝込んでしまっていた。

ボリビアのサンタクルスではこうしてダンスパーティーに参加したり、ビリヤードを興じたりしていた。

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