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「君の好きな花」は何ですか?

「君の好きな花」
という、おかしな名前のお店が福岡にある。
「おかしな」という表現をしたが、「おかしさ」と「ステキさ」は共存できる。ということを感じられるお店でもあった。
という結論めいたことを既に書いてしまったので、もうこの記事の役目は終わった。ので、ここからは長いあとがきになる。

「君の好きな花」という店名の由来は、しっかり伺ったので後段に述べたい。

福岡の中心部からいくぶん外れた場所にこのお店はある。
福岡市中央区平尾3丁目17-13
ラブホ街の一歩手前にあるので、淫美な香りのする地域でもある。
2階はどこかの事務所になっており、その1階部駐車スペースを手前に配した奥まったスペースに店舗を構えている関係で、正直入りにくい。淫美で入りにくいという二重の障壁を越えて行かねば、君の好きな花は見つけられない。
アマゾン緑地の奥にしか咲かない花を見つけに行くくらいの心意気が必要である。

緑に塗られた木製の扉を開けると、ボーダーTシャツに身を包んだ40絡みの男性が浮かない顔で迎えてくれる。
末永店長である。下の名前もお聞きしたのだが、よく聞き取れなかった。すえながナニガシ。

こじんまりとはしているが、その場所は店主のこだわりに満ちた空間であり、ほとんどがオリジナルの商品で埋め尽くされた店内はすぐに見終わる。なぜならこじんまりしているからだ。
浮かない顔の店主は話しかけてみると存外気さくで、こだわりの商品たちをいちいち説明してくれた。

「それはお店のTシャツですねぇ。アイスクリームをイメージしたカラー展開ですよねぇ。それはチョコミントですねぇ」

語尾が「ねぇ」ともっちゃっりしているところが少し気になったが、それは僕が持参した煎餅を食べてもらいながら説明してもらったのが理由であるので、おそらく後日改善されていると思う。

RIDGE MOUNTAIN GEARです。山だけでなくタウンユースにも最適です。福岡でこれだけ扱っているのはあまりないです」

「あまりない」
ということは、「そこそこある」ということだろうとは思ったが、そこは無視した。もう煎餅は喉元を通り過ぎた。

「枝豆のパンツです。枝豆がふんだんです。これ履いてもらうと、もう枝豆がいっぱいです」

ボキャブラリーはいっぱいではないが、オリジナル商品を説明する末永店長は楽しそうである。何よりだ。

アパレルのコラボ商品も多く、『味カレー』で知られる大和製菓とのコラボTシャツはバックプリントで『やまと君』が蓄光で光る!
「これ光るんで撮ってくださいよ!ちょっと外で光溜めて来ますんで、ちょっと待っててください!」
というので、ちょっと待っていたら、全然戻ってこないので外に様子を見に行ったら末永ナニガシは煙草を吸っていた。

末永店長が小刻みに動くので、ブレてしまっているが確かに光っている。


「クジ引いてみますか?一回300円でハズレ無しです。むしろ外れた方が良いもの出る傾向もあります。引いてみますか、みませんか?早く決めてください」とオラオラで煽ってくるので、3回引いてみた。

緑のムカデ。ピンクのトカゲ。黄色のムカデ。
ステッカー。ギンガムチェック缶バッジ。同じステッカー。
が当たった。確かにハズレ無しだった。
ギンガムチェックの缶バッジはチェックの密度違いが数種あり、任意に選ばせてくれた。その辺のテキ屋より相当良心的。

大当たりだと「枡」や「たまご」がもたらされるようなので、確かにハズレという概念は存在しないクジだといえる。良心的。

アジアの人気バンドとのコラボレーションTシャツも公開前に特別に見せてくれた。まだ、デザインは見せられない。という話だったので、一応画像加工をしてみたが、もう公開されているようなので、無駄な時間を費やしてしまった。

※ もう公開されています。
https://kiminosukinahana.com/items/5f08b75d74b4e475c359998d

店舗を開いて一国一城の主となるだけあって、末永店長のトレンドを見極めるアンテナは鋭い。同時にトレンドを追いかけることが目的ではないとも語る。トレンドどころか、新しい価値観を創り出すべく常に店を、商品をチューンナップし、更新していると語る。

そんな「君の好きな花」の現在のイチオシは?

「コマですね。コマになります。老舗の職人さんに作ってもらいました。よく回るんです。コマですから」

確かにどれも「君の好きな花」でしか手に入らない逸品ばかり。
自らが手塩にかけて産み出した商品を語る末永ナニガシの言葉は熱く多弁だ。少し聞き取りにくい部分もあったが、熱量は確かに高い。
これからの商品展開も少し伺えたのだが、その瞳をキラキラと輝かせて語る末永店長を見ていると、このお店がジワジワと支持を広げている理由がわかるような気がした。少し、目が細いので怖いくらいだった。

もし、貴方が福岡を訪れたなら、ラブホ帰りに手持ち無沙汰だったなら、「君の好きな花」をのぞいて見て欲しい。
確かに、ここでしかお目にかかれない商品が貴方の心をとらえるかも知れない。仮に心をとらえないとしても、末永店長のセールストークで商品の魅力に気付かされるはずだ。少しばかり聞き取りにくいとしてもだ。

最後に、この質問の答えを聞かねばならない。
「君の好きな花」という店名の由来は何ですか?

「それは、あなたの好きな花が、この店の中で、あなたの・・・」
大事な部分が聞き取れなかった。

しかし、その答えはあなたが「君の好きな花」を訪れたときに感じ取るものだろう。何度も訪れてその答えを見つけ出して欲しい。

君の好きな花
810-0014
福岡市中央区平尾3-17-13
Instagram  @kiminosukinahana

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