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保護猫とはじめて暮らす

うちには今、涼太というチャトラ猫がいる。
かわいい甘えんボーイだ。
涼太を迎えた理由はいくつかあるが、そのきっかけが思い出せない。

でも「さくら猫」を知ったきっかけは、当時の住まいの近くで仔猫が産まれたときだった。
母猫はとある一軒家の駐車場をねぐらにしていて、その家の方からご飯をもらっていたようだ。美しい金色の毛並みの小柄な猫だった。
その猫が5匹の仔猫を産んだ。その家の方は慌ててその母猫の避妊手術をしたようで、彼女は「さくら猫」になり地域猫となって、しばらく愛らしい5匹の仔猫と一緒の姿を見せてくれた。でも仔猫たちは一匹、また一匹といなくなったので、無事に引き取っていかれたのだと思う。
この時にはじめてTNR活動と「さくら猫」のことを同居人に教えてもらった。と、ともに「猫と暮らしたい」という昔から持っていた夢を思い出した気がする。

しかしながら賃貸の住まいはもちろん「ペット不可」。まあいつか偶然の出会いがあれば、なんて言いながら、猫を見たくて、同居人が気になるという「保護猫カフェ」へ行くことになった。
その「保護猫カフェ」はとても清潔で、狭いながらもたくさんの工夫がしてあって、猫たちが伸び伸び暮らしているように見えた。その上、カフェメニューも美味しかったので、たびたび訪れるようになり、インスタグラムをフォローする。
ある日、インスタグラムでそのカフェに黒猫の仔猫がやってきたことを知る。保護されたいきさつと場所、名前に何か運命的なものを感じて会いに行ったら、当たり前だけどめちゃくちゃかわいい。
はじめて「この子と暮らしてみたい」と思ったけれど、ペット不可の住まい。すぐに引っ越せる費用もない。そしてその子はあっという間に「ずっとのお家」に行ってしまった。

コロナ禍とともに保護猫カフェも時短営業になり、会社帰りに癒されに行くことが難しくなった。そんな中、同居人が最寄駅で保護猫サロンの看板を見たという。
遠出もできないし、近所だから散歩ついでに行ってみようとそのサロンに行ってから、「猫と暮らす」ことを本気で夢見た気がする。

まずそのサロンのインスタグラムがよかった。猫たちの名前を写真に記載して投稿してくれるので、そこにいる猫の名前を覚える。行ったら名前を呼んで猫と遊べる。ちょっとした「ウチノコ疑似体験」だ。サロンスタッフの方々はとても気さくで、何でも教えてくださる。そんな中出会ったのが「人は大好き、猫は嫌い」なキジトラ猫だった。

保護猫たちは「ずっとの家」を自分で選べない。
わたしと同居人は裕福でもないし、何より猫と暮らした経験がない。
猫にとって「いい案件」か、と言われたらそうではない。
それでもここで嫌いなたくさんの猫たちと暮らすより、一匹で暮らすほうがラクなのであれば、わたしたちがその子と暮らすのも「アリ」なのではないだろうか。
同居人とわたしとその子、生きづらい3つの生命体で肩寄せ合って共同生活を送りたい。
そう思ったときに「ペット可物件への引越し」を本格的に始動した。

残念ながらそう決意させてくれた子は、その準備期間にサクッと「ずっとのお家」へ行ってしまったけれど、一度ついた火はもう消せなくなっていた。
この頃には、もうどの子とは決めないでいよう、と思っていた。
猫と一緒に暮らせる部屋を見つけて引越しが終わって、そのタイミングでそのサロンで出会った子にしよう。

保護猫と暮らすのだからサロンでじっくり性格を見て選ぶのだ。
物件が見つかりかけている頃、お気に入りのこれまた黒猫がいた。
人懐っこく天真爛漫で性格もよく、キュート。
黒猫は写真映えしないからか人気が低いと教えてもらった。
さらにその黒猫は鼻炎もちで、それも貰い手を選ぶ、とのことで、心はほとんどその子に傾きかけていたところへ現れたのがサロンの新入り猫・涼太だった。

ちなみに最初の運命を感じた黒猫の仔猫、この子だと思ったキジトラ猫、最後のいいなと思った黒猫、3匹ともメスだった。
少なくともわたしの中でメスであることは、たった一つの条件だったような気がする。

その条件もぶっちぎった涼太。
何より「顔がいい」。
結局、顔かよ!と自分でツッコミながらも、無事ペット可物件も決まり、昨年末に引越し終わって、今年の1月末から美しい涼太と同居人と今は暮らしている。

同居人は子どもの頃から犬と暮らしていたし、そもそも動物への知識も高く、愛も強い。
比べるとわたしはまるで役立たずだ。
それでも猫が苦手で人間は大好きな涼太にとって、サロンよりも寛げる場所になるといいなあと思いながら、慣れない日々を送っている。
慣れない日々を送るからこそ、改めて保護猫サロンから譲渡してもらったのは正解だったなと思う。
サロンの方々の手助けとアドバイスなしには、涼太との生活は始められなかった。
そんな慣れないわたしの涼太との生活の様子は、また次の機会に。きっと。

#うちの保護いぬ保護ねこ

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