[ABT] アボットラボラトリーズ、売上高7.6%増も乳児用ミルク事業減収、中国VBPの影響に注目

# アボットラボラトリーズ株式会社(ABT)決算サマリー

1. 会社概要


アボットラボラトリーズ株式会社(以下、アボット)は、医療機器、診断薬、栄養製品、製薬製品を開発、製造、販売するグローバルなヘルスケア企業です。1888年に設立され、米国イリノイ州のノースシカゴに本社を置いています。アボットは、世界中の150カ国以上で事業を展開しており、従業員数は約10万人です。

2. ビジネスモデル


アボットは、4つの主要な事業セグメントを通じて事業を展開しています。

  • 栄養: 乳児用ミルク、成人用栄養剤、医療用栄養剤など

  • * 診断: 検査機器、試薬、ソフトウェアなど

  • * 医薬品: 心血管系疾患、神経系疾患、感染症などの治療薬

  • * 医療機器: 糖尿病ケア、心臓血管系疾患、神経変性疾患などの治療機器

アボットは、各セグメントにおいて、幅広い製品とサービスを提供することで、顧客のニーズに対応しています。また、研究開発に重点的に投資することで、イノベーションを創出し、市場の競争力を強化しています。

3. 財務状況と業績動向


アボットは、過去数年で安定した収益成長と利益率の向上を実現してきました。2024年第3四半期決算では、売上高は7.6%増加し、調整後EPSは1.21ドルとなりました。これは、アボットの製品とサービスに対する需要の高まりと、効率性向上によるコスト管理の成果によるものです。

4. 今決算の財務指標


2024年第3四半期の財務指標は以下のとおりです。

  • 売上高: 101億ドル(前年同期比7.6%増)

  • * 調整後EPS: 1.21ドル(前年同期比10.3%増)

  • * 調整後売上総利益率: 56.3%

  • * 調整後研究開発費: 売上高の6.5%

  • * 調整後販売費および一般管理費: 売上高の27.2%

  • * 調整後税率: 15%

5. 企業の成長性


アボットは、以下のような成長戦略を展開しています。

  • 新製品開発: アボットは、研究開発に重点的に投資することで、新しい製品を開発しています。2024年第3四半期では、新型血糖値測定器「Lingo」や、心房細動治療のための新型カテーテル「TactiFlex DUO」など、いくつかの新製品が発売されました。

  • * 市場シェア拡大: アボットは、既存製品の市場シェア拡大を目指しています。特に、糖尿病ケア事業では、血糖値測定器「FreeStyle Libre」のシェア拡大が期待されています。

  • * M&A: アボットは、買収を通じて事業を拡大しています。2023年に医療機器メーカーであるアルコン社を買収したことで、眼科事業に進出しました。

6. 市場の成長性


ヘルスケア業界は、世界人口の高齢化や慢性疾患の増加などにより、今後も成長が見込まれています。特に、糖尿病ケア、心臓血管系疾患、神経変性疾患などの治療領域では、大きな成長が見込まれています。アボットは、これらの成長領域で事業を展開しており、今後の成長が期待されています。

7. 今決算の良かった点


  • 売上高の安定成長: アボットは、2024年第3四半期決算において、売上高を7.6%増加させました。これは、アボットの製品とサービスに対する需要の高まりを示しています。

  • * 利益率の向上: 調整後売上総利益率は、前年同期比0.3ポイント上昇しました。これは、アボットのコスト管理の効率化による成果です。

  • * 新製品の発売: 2024年第3四半期には、新型血糖値測定器「Lingo」や、心房細動治療のための新型カテーテル「TactiFlex DUO」など、いくつかの新製品が発売されました。これらの新製品は、アボットの今後の成長を牽引する可能性があります。

8. 今決算の懸念点


  • 栄養事業の国際的な乳児用ミルク事業における売上減少: 2024年第3四半期決算では、栄養事業の国際的な乳児用ミルク事業において、売上減少が見られました。これは、アボットの販売戦略における問題点が原因と考えられています。

  • * 中国におけるVBPの影響: アボットは、中国におけるVBP(ボリュームベース調達)の影響を受けています。VBPは、医薬品や医療機器の価格を競争的に入札する制度です。アボットは、VBPの影響で、診断事業の収益が減少する可能性があります。

9. 今後の見通し


アボットは、今後の見通しについて、以下のように述べています。

  • 売上高成長: アボットは、2024年第4四半期における売上高成長率を9.5%から10%と予測しています。

  • * EPS成長: アボットは、2024年第4四半期における調整後EPSを1.31ドルから1.37ドルと予測しています。

  • * 新製品の発売: アボットは、今後、いくつかの新製品を発売する予定です。これらの新製品は、アボットの今後の成長を牽引する可能性があります。

10. 次回の決算で確認すべき点


  • 栄養事業の国際的な乳児用ミルク事業の売上動向: 次回の決算では、栄養事業の国際的な乳児用ミルク事業の売上動向を確認する必要があります。

  • * 中国におけるVBPの影響: 次回の決算では、中国におけるVBPの影響を確認する必要があります。

  • * 新製品の発売状況: 次回の決算では、新製品の発売状況を確認する必要があります。

11. まとめ


アボットは、安定した収益成長と利益率の向上を実現しており、今後も成長が期待される企業です。しかし、栄養事業の国際的な乳児用ミルク事業における売上減少や、中国におけるVBPの影響など、懸念点も存在します。次回の決算では、これらの点について、注意深く確認する必要があります。


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