貴方のために笑ってんだ
いつも笑ってるよね。
そう言われて何も言い返せなかった。確かにと納得している自分もいた。
昔から人と関わるのは嫌いじゃなかった。むしろ好きだ。だからたくさんの人を傷つけただろうし、傷ついた。
自分が言った言葉を家に帰ってから考え直す。あの場面で、あのタイミングで最善の言葉だっただろうか。貴方への攻撃に、ナイフになってはいなかっただろうか。私の発した言葉に責任を持てているだろうか。私の無責任な言葉で傷つけていたら次はどんな顔して会えばいいのだろうか。
それは逆もまた然りだった。自分が発した言葉を考えれば考えるほど相手からもらった言葉を素直に受け取れない自分がいた。それは私を否定するような言葉じゃないのか。貴方は私のことが嫌いなのか。
ずっとずっとずっと考えていた。
私の最善は笑顔でいることだった。
その場を乱すことは無い。自分が笑顔でいれば周りも笑ってくれた。
そうしたら、人の目を見て話せなくなった。
笑顔以外の反応が怖くて、自分の言葉で傷つけるのが怖くて。
「いつも私の話笑って聞いてくれるけど、目見て話してくれないよね。」
友達が言った。その時初めてちゃんと友達の目を見た。
「その方が伝わるよ。私の目見てよ。」
こんな言葉かけてくれる人なんていなかった。
そうか、笑ってたって目を見なきゃ伝わらないんだ。
でも傷つけてるかもしれない。傷ついた顔見るのが怖い。
「そんなん嫌なこと言われたら嫌だって言うよ。
貴方なら私から言われたって平気でしょ?」
あぁこの人は言葉も、気持ちも、性格も、
全部大切にしてくれる人だ。私はこの人を逃してはダメだ。学ばなきゃだめだ。傷つけた言葉も喜ぶ言葉も全て目を見て学ぶんだ。
大切な人が教えてくれた。
私は笑いながら貴方の話を聞く。
貴方が私の性格を気持ちを大切にしてくれたように、私も貴方の気持ちを大切にしたい。
笑顔で貴方の話を聞きたい。
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