トレヴァー・ラビン『Rio』

イエスを80年代に建て直した男、トレヴァー・ラビンの34年ぶり!のボーカル入りロックアルバムです!
イエス関連で、僕がいつも一方的に重宝させて頂いてる3つのブログでも、非常に高評価です。
僕も遅ればせながらこのところヘビロテで聴いて、非常気気に入ったので、レビューしたいと思います。

トレヴァー・ラビン『Rio』アルバムレヴュー
https://ameblo.jp/yffcyeshead/page-98.html

トレヴァー ラビン 万華鏡的なバラエティーに富んだ新アルバムhttp://blog.livedoor.jp/rock70s/archives/51655773.html

トレヴァー・ラビン 「リオ」(TREVOR RABIN "RIO")


ただし、上記3つの記事で、ほとんど僕の言いたいことも書かれているので、ほんの少し付け加えたいことについて書いていきます。

まず、二つ目の記事でも少し触れられていますが、69歳にして、音域が伸びていること!
90125イエス時代では聞いたことない高音域が随所に出てくるのです!

元々ジョンアンダーソンほどではないにしろ、クリアのハイトーンの持ち主だったので、加齢による声の衰えはどこまで食い止められてるか、という心配が先に来てました。
もっとも数年前にジョンアンダーソン、リックウェイクマンと共にARWを結成し、長期ツアーでイエスの往年の楽曲を歌い続けており、その時の歌唱力は昔と変わってなかったので、衰えはサ証言だろうとは思ってましたが…

まさか、ここにきて音域が伸びてるなんて!どうなってるんでしょう、69歳!嬉しい誤算です!

せっかくなので少し検証してみました。
90125イエス時代のトレヴァーリードボーカルの代名詞といってもいい2曲が以下の通りでした。
・変革…サビ前のロングトーンがAで正直ライブではいつも苦しそうでした。ちなみにジョンアンダーソンがサビでDまで出してます。 
・リフトミーアップ…後半の印象的なロングトーンのフェイクボーカル部分が、C#、ちなみに小田和正の最高音域「YES-YES-YES」と同じです。

一方、今回の作品はこれらを超える音域を以下の曲で確認できました!
・Big Mistakes…Aメロの最後でC#を軽々出してます!
・Push… 冒頭のメロディでいきなりかけあがる部分で、Dまで行ってます。ジョンアンダーソンと同等です!
・Thandi…BメロでC#出してます。「変革」と違ってこの辺は余裕に聴こえます。
・Goodbye…サビでなんとEまで出してます。しかもこれはフェイク部分ではなく、ちゃんとした歌メロなので、何度も出てきます。
この音域はフォリナーのルーグラムが「ジュークボックスヒーロー」で出してる後半のキメのフェイクボーカルと同じ高さです!
・Paradise…この曲も後半でEをだしてます。ただしこの部分はフェイクボーカル、あるいはコーラスパート扱いかもしれないです。
その他の曲でも余裕でB,Cまで到達してる曲が多く、明らかに音域自体が広がってることが感じられました。

またその音域を生かしたコーラスワークが素晴らしい曲が多くあります。
90125イエスでも「リーヴイット」など、コーラスワークをフィーチャーした楽曲もあり、一番象徴的なのがTumbleweedの冒頭1分ほど続くアカペラで、まるでビーチボーイズのように美しく、最後は一瞬クイーンのコーラスのような展開が聴けます。
ちなみのその後はトレヴァーにしてはめずらしくスローで抑えたトーンの歌ものが続いた後、最後はまるでウエスモンゴメリーのような優しいギターソローで終わるという異色の曲となってます。

全体的にトレヴァーのポップセンス全開で、曲自体のクオリティが高いのですが、嬉しいのが90125イエスを彷彿とさせるサウンドが随所に聴かれる…です。
一緒にやってきたレジェンドメンバーたちの散在感がとっても感じられ、まるで彼らが演奏に参加してると錯覚しそうなくらいです。

全体的にパワフルなロックナンバー、例えば、Big Mistakes、Push、Paradise、Thandiなどの曲ではまるでアランホワイトが叩いてるかのような爽快感のあるビッグでラウドなドラムが聴けます。
実際にこれらの曲のほとんどはARWでドラムを担当していたルーモレノが叩いてます。トレヴァーが90125イエス時代にだしたソロアルバム「キャントルックアウェイ」でも多くの曲で叩いてて、技巧派のドラマーという印象があったのですが、ARWでの生演奏の彼は今一つ、ドライブ感に欠けててそつなくはこなしてるもの、曽越期待はずれな印象だったのですが、ここではいい仕事してます!

特にThandiでは8人イエス時代のオープニング曲であった「ユアズイズノーディスグレイス」での中盤のラヴィンのギターソロとアランのドラムの掛け合い部分に似た展開がエンディングで出てきてニンマリしました。これ、すぐ終わっちゃうので消化不良です。もう少し長く聴きたいよ~

またPushではハモンドオルガンが聴けて、トニーケイを思い出します。
アレンジ自体が90125イエスを強く感じさせるのは、盟友クリススクワイア ならどうするか、みたいなことが頭にあったんじゃないかと思います。
ベースサウンド自体をクリスに似せるなんてことはむしろ避けてると思いますが、全体的サウンドイメージでクリスの存在感を勝手に感じてます。
ジョンアンダーソンについては、今回の高音域、コーラスワークで充分感じられますし、These Tearsが「ホーリーラム」っぽいというか、むしろユニオンイエスの「テイクザウォータトウザマウンテン」っぽくて、こういうのも出来るんだという新鮮な驚きがありました。

こうなるとこのアルバムをひっさげてライブツアーなんかも期待したいですが、どうなりますか。本人もライブツアー実現には乗り気らいので、是非期待したいです。
ただ、そうなった場合に、今回のこの高音域の曲をライブで再現できるのか、というのはちょっと気になりますが…
年齢が年齢なのでやってくれるだけで嬉しいですけどね♪

こんなに出来るのに、映画音楽の世界に行ってしまって、ボーカルロックアルバムを作ってこなかったのは何とも勿体なかったですね。
これからあと10年のうちに出来るだけたくさん作品を発表して欲しいです。


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