森へ道

とぼとぼと歩くカバのお尻を追って、ネズミが2匹旅をしている。カバは母をなくしたばかりで、深くて暗い哀しみにいた。2匹のネズミは兄弟で、大きなお尻が面白いと、きゃっきゃと笑って旅を始めた。

カバは住処の沼地を超えて、草原の先の森を目指した。もちろん、森に用はない。皮膚は乾いて、ピンクに光る汗をかいた。たたただ、悲しく、悲しく、悲しく。カバは歩かずにはいられないかった。

2匹のネズミは目の前の、フリフリ揺れるお尻を覗いて、笑いが止まらず草原を歩いた。ネズミはいつも穴ぐらで、親ネズミから守られていた。かわりに自由を知らなくて、フリフリ揺れるお尻があるなど、これまでみじんも知らなかった。

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