見出し画像

Covid-19とアラバキロックフェス。 #ARABAKI

【この記事まとめ】
・5,000人いたら、数人は陽性者が出ても不思議ではない(確率論的には)
・会場でのクラスター発生は、自分たち次第できっと防げる。
「陽性者がいた」と「クラスター発生」はぜんぜん別の話)
・アラバキの感染対策ガイドライン、熟読必須。

4月30日~5月2日にかけて開催されるアラバキロックフェス。
このコロナな状況での開催に向けて、感染対策ガイドラインが昨日(4月19日)、更新されました。

(※ページのいちばん下にPDFで詳細なガイドラインが載ってる。ちょっと分かりづらいのが残念だけど、そっち読まないとたぶんけっこう困ると思う)

最初に言うと、このガイドライン、政府や宮城県が定めてる感染防止ガイドラインにほぼ完璧に沿ってる。そこに加えて独自の対策方針まで盛り込まれている。(詳しくは本稿後半で詳述)

まずなんといってもびっくりしたのが「入場者全員に新型コロナの抗原検査を実施します」ということ。すごい、そこまでやってくれるかアラバキ!って感じ。
いや「シャトルバスで来る参加者はバス乗り場で抗原検査したほうが……」とか「リスク考慮して参加断念する人の分は返金措置があれば……」とか「地域制限設けた方が……」とか「全グッズ事前通販してくれえええ」とか、細かいこと言えばいろいろありますけどね。

実際のところ、今回のアラバキ開催に関しては前々からSNS上で賛成/反対の意見が飛び交いまくっていた(いわゆる「荒れてる」状態)。

個人の意見だけど、正直、タイミングも悪かったよなぁ。
今年のアラバキ開催を発表したのが3月11日。この頃の宮城県の新規コロナ感染者数はだいたい30人から50人で推移していて、もう少し遡れば2月中は0人という日も多かった。(アラバキの開催自体は、この2月中には内定していたはず)
大阪府だって、3月11日は新規感染者88人とかだったんだ。

そこから一気に感染者数が増えて(宮城県:一時は200人にまで増加)、県独自の緊急事態宣言まで発令されたから、「こんな状況でフェスなんかやるな!」という意見があることも理解できる。

そして今回のガイドライン更新きっかけでなんだか更に荒れ模様が強まってて、それ眺めながらいろいろ考えることがあって、この文章を綴ってる次第です。

※自分はSNSアカウント自体はすべて非公開にしてるんだけど、アラバキ行く人にも行かない人にも迷ってる人にも読んでもらえれば嬉しいなと思って、このnoteだけは公開設定にしてます。

■現地で何人か「陽性」が出る可能性はある。(あくまで統計的には)

さて、さっきも言った「入場者全員への抗原検査」。

自分は幸運なことにこれまでコロナ感染の疑いもなく、PCR検査も受けたことがなく、だから「抗原検査ってなによ?」ってのが、正直言って最初の感想。調べてみたら、病院で受けるインフルエンザの検査もだいたい抗原検査なんですね。鼻の穴に綿棒つっこむアレ。

(たぶん、アラバキで使われるものと同じ製品の使用ガイド。ぶっちゃけとても痛そうではある……)

抗原検査の詳細とかその検査精度の話とかは一旦さておいて、以下ちょっと数字の話。数式とか出てくるのはここだけなので、少しだけ我慢してくださいね。

今日(4月20日)現在、人口10万人あたりのコロナ陽性者数は、全国平均で21.95人/10万人(約0.02%)。
もっとも陽性者率の高い大阪府が89.41人(約0.09%)、東京都が29.61人(約0.03%)、宮城県は17.96人(約0.02%)で全国10位。
※出典:https://covid-19.nec-solutioninnovators.com/

これを今回のアラバキ参戦者数の上限:5,000人に当てはめてみる。
あ、今回のアラバキ、国や宮城県のガイドラインに従って収容人数を「最大5,000人」に制限してる。ちなみにコロナ前のアラバキの観客動員はだいたい5万人前後で推移してる(2019年は5万8千人)から、この最大5,000人ってのがどれだけ空いてるか、アラバキ経験者なら実感できると思う。

この5,000人の入場者に対して、敢えて陽性者率のいちばん高い大阪府の数字で計算したとして、(89人÷10万×5,000人)で約4.7人
つまり、あくまで計算上ではあるけれど統計的には、現地で数人レベルでは陽性結果が出ても不思議じゃないよ、ってこと。もちろん確率的な話なので実際にはゼロでもおかしくないし、10人前後くらいまでは統計上の誤差の範囲内だろうと思う。

※市中の陽性者率については「無症状・無検査」の潜在的な陽性者が一定数いるはず。ただそれを正確に加味して計算するのは難しいので、敢えていちばん陽性者率の高い大阪府のデータを採用してみました。
※あとは抗原検査キットの検出精度も考慮する必要がある。ただ、より検査精度の高いPCR検査は結果が出るのに数時間~1日程度かかること、熟練した技術者と特別な検査機器がいることを考えると、現地で使うなら抗原検査しかなかったんだろうな、とも思います。

一方、これは市中の陽性者率をベースにした話だから「アラバキを強行開催したから陽性者が出た!」という話ではない。たとえば仙台駅前で無作為に5,000人分の検査をしたら、同様に数人程度の陽性者が検出されてもおかしくない話。

・・・なんだかここ、すっごく誤解されそうなんだよなあ。

結果的にどうなるか分からないけど(陽性者ゼロであることを心から望むけど)、アラバキ後に「アラバキロックフェスで数人の陽性者発生!」って報道されて、SNSで叩かれて……っていう未来がめっちゃ目に浮かぶ。憂鬱。

ともあれ、統計上は「アラバキ会場に数人程度は陽性者がいる可能性がある」ってことは、現実として認識しておいた方がいいと思う。それをどこまでリスクと考えるかは個人の判断なわけだけど。

いちおうここまでをまとめておきます。

・統計上は、5,000人いたら数人程度は陽性者がいてもおかしくない
・でもそれはアラバキ会場だって、仙台駅前だって、山手線の中だって確率論的にはだいたい同じ話。

■「クラスター発生」は、きっと回避できると思うのだ。

さて。

今回アラバキが打ち出したガイドラインの1つめの柱がこの「できる限り抗原検査で検出して、アラバキ会場内にコロナを持ち込まない」なんだろうと思う。
(もちろん「アラバキ会場にさえコロナを持ち込まなければいい」って訳じゃなくて、その前後の移動とか宿泊とかも含めて考えるべきで、だから個人的には「遠征禁止」でもよかったんじゃないかな、とは思ったりしてる)

抗原検査でアラバキ会場へのコロナウイルス持込みをできる限り防いだとして、ガイドライン2つめの柱が「クラスターの防止」だろうと思う。

コロナ禍に突入してから1年余りが過ぎ去って、結局いまだ状況はあんまり良くなってないけれど、それでもこの1年で我々が得た知見が1つあって、それは「濃厚接触さえしなければコロナはまあまあ防げる」ってこと。(もちろん100%ではないけども)

厚生労働省のHPによると現在の濃厚接触の定義は「必要な感染予防策をせずに手で触れること、またはおよそ1m以内の距離で15分以上接触があった場合」とのこと。(マスクしてたか、屋内か屋外か、換気は十分だったか、とかでも判断は変わるようですが)

マスク着けて/距離を1m以上空けて/飲食時も喋らずに/手指を消毒していれば、コロナ感染のリスクは相当に低減できる、ハズなのです。
さらに利己的というかセコいことを言えば、これらを徹底してれば、不幸にも万が一アラバキでコロナが出てしまったときに「あなたも濃厚接触者です」と言われる可能性は格段に下がる。

さてここでもう一度、今回発表されたアラバキの感染対策ガイドライン

いやホントこれ、PDFのすみずみまでよく読んでおくべき。そしてもうちょっと読みやすくしておくべき(笑)
(上のテキストリンクの方をクリックするとPDF版が開きます)

「三密防止を」とか「飲食時は黙食を」とか「ディスタンスを保とう」とか、一見すると最近よく見る言葉が並んでるわけだけども。

細かいところまでよく読むと
・会場内ではすべてキャッシュレス決済
とか
・飲食可能なのは自身のテントサイト内もしくはシート内のみ
とか
・会場外からのアルコール飲料の持込みは禁止
とか
・飲食物/食器類のシェアはご遠慮ください
とか
・一緒にチケットを買った同行者以外との接触はやめて
とか
・テント内でもマスク着用してください
とかとか。

ほんと徹底してる。これ全部きちんと守っとけば、まずクラスターなんか出ないレベルじゃないかと思う。(あと心配なのはマイカー相乗り勢とかかなあ)
逆に言えば、もしこれでアラバキでクラスター出ちゃったらそれはもう主催者側というよりはほとんど参戦者側の責任というか、どっかしらでこのガイドラインに則してない行動があったんじゃないの、って思います。
(まぁ、そうなったら世間はそういうの含めて「アラバキ」や「音楽フェス」を叩くんだろうけど。はぁ憂鬱。)

「そんなのフェスじゃない」「そこまで束縛だらけのアラバキは引く」みたいな意見もけっこう目にするけどさあ。正直「だったら来なけりゃいいんじゃない」としか思えないんだよなあ。

アラバキファンでもない地元の方々が「来ないでくれ」って思う気持ちは、正直、ちょっと分かる。ていうか毎年騒がしくして渋滞起こして迷惑だろうなあ、ごめんなさい、って思うし。
それから「今年はちょっと行けないな」って自己判断して参戦断念する人の気持ちもすごく分かる。宮城県内の医療機関の逼迫状況とかを考えたらそれも正しくて勇気ある判断だと思う。(だから本当は、そういう人たちのために返金措置があってもいいのにな、とも思う)

でも「アラバキファン」「音楽ファン」を自称する人が「こんなルールだらけのフェスは嫌だ」「会場で誰とも喋らない、飲まないフェスなんて楽しくない」って言うのはちょっと、理解できない。

もちろん音楽フェスに何を求めるかは人それぞれだけどさ。
自分だって、好きな曲で盛り上がって周りの知らない人とハイタッチとかしたい。モッシュもダイブもしたい。
久々に会ったフェス友達と飲んで語り合って気付いたら目当てのバンドを見逃してた、みたいな本末転倒(笑)なあの感じが懐かしい。
現地で知り合った人たちと、閉演後にそのまま飲みに行って感想を語り合って、「来年もまたアラバキで!」って言って終電過ぎの仙台駅西口あたりで解散したい。

だけど時代は変わっちゃったんだ。「これまでどおりのフェス」は無理なんだ(今はね)。
2019までと全然ちがう状況の中で、それでも「みんなの前でまた音を鳴らしたい!」という意志で試行錯誤してる主催者やアーティストの方々には敬意しかなくて。
もう一度あの場所に音が鳴り響く景色を見られるなら、ぼっち参戦だってELLEGARDENのライブを静かに棒立ちで観ることだって、自分はまったく厭わないのだけれどなあ。

あ、いちばん理解に苦しむのは「こんなのフェスじゃない!」とか言いながらなんだかんだで結局参戦する人ね。(冷笑)

……さて。
もういちど、ここまでをまとめときます。

・統計上は、アラバキ会場に数人程度は陽性者がいてもおかしくない。
(でもそれはたとえば仙台駅前だって、確率的にはだいたい同じ話)
・会場でのクラスター発生は、自分たち次第できっと防げる。
 そのためのガイドライン、熟読必須。

■いちアラバキファンとして思うこと。

3月11日に今年のアラバキ開催が発表されたとき、本当に嬉しかった。
ほぼほぼ1年間、音楽だけじゃなくいろんな趣味を我慢し続けて、悲しいニュースもたくさん聞いて。

(3月初旬の時点ではだいぶコロナが沈静化してたから)ようやくここまで来たんだなあ、よかったなあ、ってしか思ってなかった。
あとアラバキのチケットがちゃんと買えるのか心配で焦ってた。

本当は冒頭に書こうかどうか迷ったんだけど、今年のアラバキ、入場券と駐車券はとりあえず確保してます。持ち物リストもだいたいできてる。

だけど最後に正直に言うと、参戦しようかどうかギリギリまで迷ってます。

ここまで長々と列記したようなリスク分析は自分なりにできているつもりだけれど、でもやっぱり「もし万が一自分が現地で陽性判定されたら」と考えると怖さは残る。GW明けに職場の先輩あたりから「アラバキでコロナ出たんだろ、お前も行ったのか?」なんて聞かれたらどうしよう、とか思っちゃう。

それでもできる限りの対策は講じて、ギリギリまで情勢を見極めて、本当に行くとしたらガイドラインは厳守する心構えで行くつもり。
少しズルいかもだけど、初日は様子を見て2日目から参戦するのもアリかもな、とか考えたりしています。(実際どこまで対策が徹底されるのかとか、抗原検査で長時間待たされたりしないのか、とかいろいろ気になってる)
あと、某大手ドラッグストアの通販サイトで簡易抗原検査キットは買っておいた。気休めかもしれないけど、自宅で検査してから現地に向かうつもり。

ほんとに、まずは今年のアラバキが無事に終わること、来年以降に続くアラバキになることを切に願う。
そして夏に向けて、ほかのフェスも同じように試行錯誤しながら、いまの時代らしいスタイルで開催できることを心から願っています。


最後の最後に、冒頭にも書いたけどこの記事、アラバキ行く人にも行かない人にも迷ってる人にも読んでもらえれば嬉しいです。よかったら拡散お願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?