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《一眼国》—古典落語に拠るモノドラマ

Itchigankoku
 - Une ville de cyplopes, monodrame d'après le Koten-Rakugo
邦題:一眼国―古典落語に拠るモノドラマ
テクスト:作曲者(古典落語『死神』より)
編成:Barytone, Piano
作曲:2013年
初演:2013年11月7日
公演名:現音・秋の音楽展《アンデパンダン展第一夜》
会場:東京オペラシティリサイタルホール
演奏者:大須賀かおり(Piano) 松平敬(Bass-Barytone)
演奏時間:約16分

2009年のモノドラマ『死神』、今年初旬の2つの小オペラ『なりひら・こぉど』『鰍沢綺譚』に続き、古典落語に題材を求めて作品を編んでみた。今回はのお題は『一眼国』―台本はこれまでと同様、作曲者自身の筆になる。

「目新しい見世物のネタを探している香具師が、六十六部(諸国六十六州を回向する巡礼者)の怪しげな体験談をたよりに“一つ目小僧”を探しに旅に出る。たどり着いたは、とある原。首尾よく一つ眼の子供を見つけ、捕えたまではよかったが…」―さて、この香具師の身に降りかかった運命や如何に。
もとの落語の口演では、在りし日の両国の見世物の雰囲気を鮮やかに伝える林家彦六のマクラなどが印象的だが、現代社会にあっては“差別”や“虐め”といった複雑な問題をもはらむデリケートな題材かもしれない。聴き手それぞれの受け止め方があってよいのだろう。とはいえ、作者としてはまず落語題材そのものが持つ“語り物の妙”を楽しんでいただければと希うのである。

『死神』と同じく、本作品においても演奏をお引き受け下さった松平敬さんと大須賀かおりさんに、深く感謝申し上げます。

(初演プログラム解説文より)

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