夏を待つ詩(うた)
五月晴れの空 咲き始めたリラが
かぐわしい香りを街じゅうに漂わせている…
この北の街にも もうすぐ初夏が訪れる…
夏が近づくにつれ 夏祭りを思い描いてか
作る帽子も 金魚柄を選んでしまう…
水無月の入りに雨が降り 草花も
ほんの少しだけ潤った…
よさこいの祭りが終わった後
街は 余韻を残すかのように
ひとときだけ静まり返った…
朝 電車に乗ると
樹の深緑が車窓に映えていた
昼下がり 外を歩いていると
ポプラの白い綿が まるで踊るかのように
風に舞っていた…
黄昏時 帰路を歩いていると
駅前通りのアカシアの花が
風に舞い降りていた…
急ぎ足で駅に向かっている途中
横目に 白つめ草が映った…
蒸し暑い夜 喉を潤したジンジャー・エール
雨上がりの朝 刈ったばかりの草原から
緑の匂いがした
青空の下 フリーマーケットは賑わっていた
見つけた袖なしのワンピースは
深い緑色だった…
淡い彩りのルピナスは
何を想って咲いているのだろう?
歩く途中 髪をよきる風は
夏の詩(うた)を運んできた
海も 日ごと 青の深さを増して
いよいよ 夏本番…
※2004年頃、作
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