2007年に起きたカターニア VSパレルモの暴動とある一人の物語

こんにちは
みなさんは2007年2月に起きたカターニア対パレルモ戦の暴動についてご存知でしょうか。
当時は日本でも報道されたほど、世界的なニュースになりました。
2 febbraio 2007 muore Raciti dopo Catania-PALERMO...

概要はこちら。(Wikipediaから引用)
2007年2月2日、イタリアカターニアにあるスタディオ・アンジェロ・マッシミーノで行われたセリエAカルチョ・カターニアUSチッタ・ディ・パレルモ戦(シチリアダービーとして知られる)で、ファンと警官との間で衝突が起こった。そのさなかに警官隊のフィリッポ・ラチーティ(Filippo Raciti)巡査(40歳)が亡くなり、さらに1人の警官が重傷を負ったほか、100人以上ともいわれる多数の観客が負傷し[5]、14名のカターニアサポーターが逮捕された。
2008年には18歳の少年が警官殺害の容疑で逮捕・収監されたが、8月に証拠不十分で釈放されている。
※実際は当時18年の少年は、2020年まで服役した。

シチリア半島に友人の招待で訪れた際に、森本選手が元々活躍していたことで日本のサッカーファンという縁で、カターニアのフットボールチームのサポーターの方々とお話させていただく機会があり、そこには公で知られているストーリーとは別のストーリーがあったためシェアさせていただきます。

そもそも、フーリガンと警察の歴史は非常に根深い。
フーリガンは元々、フットボールの試合と共に、おらが街の男達が相手チームの街の男達と素手で喧嘩をし、帰る際には友として別れるという文化のものだったそうだ。
あくまで喧嘩は喧嘩で、殺し合いではないと言っていた。
文化的には、日本の暴走族カルチャーに近いものを感じた。
しかし、警察が介入するようになり、警察は武器を使用し”制圧”をするようになり、徐々に敵対する相手が他所の町のフーリガンだけでなく、警察をいう権力にもなってきたとのこと。
このような現象はここイタリアだけでなく他のヨーロッパだけでなく、アメリカ等でもみられる現象である。
この”鶏が先か卵が先か”が問題が描かれた芸術作品をあげれば枚挙にいとまがないため、興味がある人は是非みてみてください。
私が好きなのは、ブラックアンドブルーという映画です。

そのような歴史がある中、この2007年の試合、シチリアダービーで異様な熱気に包まれている中、荒れた試合展開によってフーリガン同士で揉め始めたところ、クルヴァ(フーリガンエリア)だけでなく一般のお客さんがみているようなところにも警察が催涙弾を投げ込み、会場の外に皆が雪崩こみ、現場は大混乱。

公では、紙爆弾が直撃しその後陶器を振り下ろされたことによる内臓破裂により警察が殉職したとされ、当時18才だったAntonino Spezialeという男が殺人罪で2020年まで服役した。

しかし彼らの主張によると、実際はその警察官は別の警察車両に轢かれてしまい、亡くなってしまったとのこと。
裁判でも一貫して無罪を主張するも、一切聞く耳を持たれずに有罪判決とのこと。
このストーリーは欧州だけでなく中東やアフリカのフットボールファンに広がり、多くのスタジアムに彼の自由を願うメッセージが記され、彼は世界一有名なフーリガンの一人となった。








私には彼や彼らが嘘を十年以上つき続けるような男達には見えませんでした。
そして、警察官が殉職した場合、警察組織はなんとしても犯人を作りたいという構図は十分に理解できる。
日本でも大きな話題となった事件、高知白バイ衝突死事故では、冤罪疑惑が非常に強く残るまま、結果としてはバス運転手は有罪判決が下されている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%9F%A5%E7%99%BD%E3%83%90%E3%82%A4%E8%A1%9D%E7%AA%81%E6%AD%BB%E4%BA%8B%E6%95%85

日本ですら起きていることは、海の向こうでも起きても不思議ではありません。
私にはあくまでイタリア司法を非難する権利はない。あくまで話を聞いたゲストにすぎず、実際のところや背景知識がありません。ただ一つ、私は暴動も支持しませんし、暴動に参加したからといって犯してもいない罪を償わなくなってしまったとしたら、それも支持しません。

ただフットボールファンとして、欧州で紡がれてきたフットボールサポーターの歴史と長い時間無実を主張している罪により時間を奪われ、出てきても常に事件の名前が尾を引く男のストーリーを日本にも届けたいと思い、この件を記しました。


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